異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第5章・ゴブリン・デスマーチ

ジュニアスの本性

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「くそ! ジュンめ! 俺よりも先に逃げるなど、どういうつもりだ!」

 王都まで戻るための馬は、ジュンが乗って行ったもの以外は、ゴブリンキングに怯えて逃げて行ってしまった。
 だからジュニアスが王都に戻るためには、自らの足を使う他ない。

「一体どうして俺がこんな目に遭うのだ! おい、貴様ら、ゴブリンキングと俺の間の壁になれ! しっかりと俺を守るのだ! あと、逃げた馬を連れ戻して来い! 今すぐにだ!」

 負傷した兵士たちにジュニアスは命じる。
 一刻も早くこの場から離れなければならないのに、何をモタモタしているのだと思う。

「冒険者どもは、まだゴブリンジェネラルで手一杯のようですね」

「早くゴブリンジェネラルを倒し、ゴブリンキングを片付けさせよ! それから馬だ! 早く手配しろ!」

 ジュニアスとノートンの会話を聞いていた兵士たちは、俯いて怒りに震えていた。
 この王子は、己が今世のルリアルーク王だと世界中に宣言したのではなかったのか?
 それなのに、傷つき倒れる兵士や冒険者を残して、自分だけ逃げようとしている。
 こんな男が今世のルリアルーク王なのか?
 そして、このオブルリヒト王国の、次の王でもあるのか?
 これが、この王子の真の姿なのか?
 この国は大丈夫なのか?
 そんなことを思いながらも、兵士は立場上、ジュニアスやノートンに従うしかなかった。

「うわっ!」

 背後から来た衝撃に、兵士ともどもジュニアスは吹き飛ばされた。
 ゴブリンキングが攻撃してきたようだった。
 自分を守る盾となるべき兵士が吹き飛ばされてどうするのだと、ジュニアスは苛立った。

「ノートン! 何とかせよ!」

 自分の体の上で気絶した兵士の体をどかしながら、ジュニアスはノートンを探した。
 だがノートンも兵士と同じように気を失ったようで、今この場にジュニアスを守ってくれる者は、誰も居なくなっていた。
 ちらりと冒険者たちへと目を向けたが、彼らはまだゴブリンジェネラルと戦っているようだ。

「くそ! 役立たずどもがっ!」

 悪態をつきながら立ち上がると、ジュニアスは母方の祖父から贈られたミスリルソードを引き抜いた。
 頼る者が居ないのなら、己が戦うしかないのだ。

「グアアアアーッ!」

 だが、ゴブリンキングが吠え、また腕を振り回しただけで、ジュニアスは吹き飛ばされてしまった。
 その際、ミスリルソートを手放してしまい、ジュニアスから数メートルはなれた場所に転がる。
 剣を取りに行って、ゴブリンキングと戦うか。
 それとも、少しでも遠くへと逃げるか。
 ジュニアスは迷いもせずに、逃げることを選んだ。

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