異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

一体、どうしてこうなった!②

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 森の中に入って数分後、馬車が止まった。降りろと言われ、目的地に着いたのかと思ってそのまま素直に従うと、オルブリヒト兵は私に剣をつきつけてきたのだ。

「ジュニアス王子からは、お前の事は好きにしてもいいと言われている。まぁ、太った醜いお前相手は、そんな気は起こらないがな」

 兵士たちは笑いながら、私からリュックを奪い取ると、中に入れていた革袋を奪い取り、リュックサックを投げ捨てた。
 兵士たちが奪った革袋は、これからの生活のためにと、あの王子――ジュニアスが私に渡してくれたお金だった。

「これは後から山分けだ。あとは、他に何か価値がありそうなものはあるか?」

 乱暴に放られたリュックの中から飛び出たスマホと財布が、地面に転がっている。

「なんだ、これは。人形か?」

 と言って、一人の兵士が蹴ったものは、私のスマホだった。
 スマホケースがハリネズミのぬいぐるみタイプになっているもので、あまりの可愛さに、一目惚れしたスマホケースだ。
 触り心地はふわふわで、愛らしいつぶらな瞳がとても可愛いハリネズミのぬいぐるみ。
 サーチートと名付けて、いつも話しかけていた。

「その子を蹴らないで!」

 と叫んでサーチートに駆け寄ると、

「何言ってんだ、これはただの人形だろうが!」

 と笑う兵士は、サーチートを思い切り踏みつけ、私の体を突き飛ばした。
 そして、みっともなく地面に転がった私に、再び剣を突きつける。

「悪く思うなよ? 聖女様と共にここに来たお前の存在は、この国にとってかなり面倒な存在らしくてな、始末させてもらうぜ」

 くそう、兵士に指示をしたのは、あのジュニアスとかいう王子だろうか?
 それとも、王様の方だろうか?
 どちらにせよ、私は奴らに騙されたのだ。
 ものすごく悔しい。絶対死んだら化けて出てやると、心に誓う。

「では、死ねっ!」

 そう言って、三人の兵士たちは、剣を振り上げた。
 あれに斬られたら痛いんだろうなぁと思いながら、私はみっともなく頭を抱えて蹲り、来るであろう痛みに備えていたんだけど、痛みは全然来なかった。
 それどころか、

「うわっ!」

「ぎゃあっ!」

「ぐわっ!」

 と、兵士の方が悲鳴を上げている。
 一体どういう事なのだろうと顔を上げた私に、初めて聞く可愛い声がかけられる。

「オリエちゃん、大丈夫?」

「え?」

 顔を上げた私を見つめていたのは、黒いつぶらな瞳のぬいぐるみだった。
 ぬいぐるみは私を心配そうに見上げ、くい、と可愛らしく首を傾げる。

「え? なんで? どうなってるの? なんで?」

 私のスマホケースのハリネズミのぬいぐるみが、動いて喋っていた。
 ぬいぐるみは私の顔を見つめ、嬉しそうに笑い、短い手足をばたばたさせながら、

「ぼくの名前は、サーチート。オリエちゃんの、スマホだよっ!」

 と、可愛らしい節をつけながら歌い、踊ったのだった。
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