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第1章・異世界転移と異世界転生

時空の鏡②

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 時空の鏡を通して雷を纏った剣を突き立てられた元の世界の私は、感電したようにビクビクと大きく体を震わせた。
 それと同じ事が、この異世界に居る私にも起こっていた。

「い、いやああぁぁぁっ!」

 全身が痺れ、上手く呼吸ができなくなっていた。
 立っていられなくなって、その場に崩れ落ちて倒れてしまう。

「オリエ!」

「オリエちゃんっ!」

 ユーリとサーチートの声が聞こえた。
 助けてほしくて、精一杯手を伸ばすけれど、今の私には二人の声がどこから聞こえたのかが、わからなくなっていた。

「はぁ、あ、ああっ」

 なんとか呼吸を整えようと、必死に深呼吸を繰り返すが、上手くいかない。

「ほう、これは……」

 ジュニアスとノートンは、私と時空の鏡を交互に見ながら、ニヤニヤと笑っていた。
 鏡は常に私に向けられていて、鏡の中の元の世界の私のそばには、お医者さんや看護師さんが居たのだけれど、時空を超えて突き立てられた雷の剣が見えないようで、どうして突然苦しみだしたのかがわからないみたいだった。
 そして元の世界の私は、ビクビクと体を震わせ続けていたが、やがてピクリとも動かなかった。

 自分が死んだ――殺されてしまった事を、私は理解し、私を殺したジュニアスとノートンを睨みつける。

「いい目をするな」

 ジュニアスは楽しそうに私を見下ろしていた。

「さて、これからどうなるのだろうな」

 本当に楽しそうにしやがって、こいつ、ぶん殴ってやりたい……。
 だけどそう思うだけで、私は体を動かす事ができなかった。
 もう、ジュニアスとノートンを睨みつける事もできない。
 息苦しくて、体の中が何かでかき回されているみたいで、力が入らない。

「オリエ!」

 ユーリの声が聞こえたが、聞こえただけで、私にはもう何もする事ができなかった。
 ただ、ユーリが私の事を、必死に助けようとしてくれているのはわかった。

「ジュニアス、やめろ、オリエに触るなっ!」

「ユリアナ、邪魔をするな。お前はオブルリヒトの王家の者だ。そしてこの女は、オブルリヒトが召喚した聖女だ。ウインドウォール!」

「う、わぁっ!」

 会話から察するに、ジュニアスは私を助けようとするユーリを、またウインドウォールで吹き飛ばしたようだ。
 吹き飛ばされたユーリは、大丈夫だろうか。
 ユーリが心配だったけれど、今の私には、もう意識を保つ事が難しくなっていた。

 ユーリ、ごめんね。

 心の中でユーリに謝って、私は意識を手放した。

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