異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

前向きに、前向きに①

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 オブルリヒト王宮生活、二日目の朝――私は、あまり眠れなかった。
 まぁ、五日間も眠っていたらしいので、そのせいかもしれないのだけど、眠れなかった原因としては、いくつもの心配事のせいだと思うんだよね。

 自分の事、ユーリたちの事、ナディア様の事、ジュンの事……。

 こうして考えると、全ての元凶は、ジュンなのではないかと思う。
 だって、私にしろ、ナディア様にしろ、あの女が危害を加えようとするのが原因だからだ。

 夜、眠っているところを襲われるのではないか?
 食事に毒を入れられるのではないか?
 誰かを操って、私を襲わせようとするのではないか?

 ジュンは私を殺せば、盾の聖女の力、つまり回復や防御魔法を手に入れ、自分がジュニアスやオブルリヒト王国の望む聖女になれると思っているようで、本気で私を殺そうとしてくる。
 まぁ、私を殺そうとする理由は、他にもあるのだと思うけど。

 彼女は、自分の前世――元の世界での自分がどんな人間だったか、知られたくないのだろうと思う。
 外見も、内面も、あまり良い人間だったとは言えないだろうから。
 なので、私を殺して口封じしたいのではないかと思っているんだけど……多分、この考えは合っているのではないかと思う。

 ジュニアスやノートンは、自分たちは、矛と盾の二人の聖女を揃えておきたいから、手出しをさせないって言ってはいるけれど、彼らの話を素直に信じる事はできなかったし、あいつらに頼りたくない。

 ナディア様の事は心配ではあるけれど、ナディア様にはアニーさんが居る。
 だから、まずは自分の事を考えるとして――私は早くここから出て行きたかった。

 だけど、どうやって逃げたらいいのか。逃げてどこに行けばいいのか、わからない。
 ユーリたちの元に戻りたいけれど、そうすると彼らの迷惑になるのではないかと、いろいろと考えてしまう。
 それに、彼らは今の私を受け入れてくれるのだろうか。
 私に関わってしまったばっかりに、面倒な事に巻き込まれたと思っているのではないだろうか。
 私のせいで、怪我をしてしまったと思っているのではないだろうか。

 短い間だったけど、アルバトスさんの家でみんなと暮らしたの、楽しかったなぁ。
 あの家に戻りたい……みんなの元に戻りたい……。
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