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第1章・異世界転移と異世界転生
再会①
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「召喚が使えるとは大したものだが、そんな間抜けな獣を喚びだして、どうするつもりだ?」
召喚魔法を使ったけれど、喚びだしたのは小さなサーチート。
サーチートを以前に見てはいるものの、間抜けな姿しか見ていないジュニアスはそう言ったが、サーチートに刺された事がある兵士たちは、
「ジュニアス様、あの魔物は危険です!」
と騒ぎ立てていた。
その兵士たちの声が聞こえたのだろう、サーチートは私の腕から飛び降りると、体の針を逆立て、兵士たちにドヤ顔で笑いかける。
私は顔を引きつらせた。
どうしてこの子は、こんなにもお調子者なんだろう。
まぁ、そのあたりも含めて可愛らしくはあるんだけどね。
「オリエちゃんをいじめると、ぼくがチクチクアタックをお見舞いするぞ!」
ドヤ顔でサーチートがそう言うと、
「ははっ、それは、勘弁してもらいたいものだな」
笑いながらジュニアスが、指先をサーチートの小さな体へと向けた。
ジュニアスが小さく何かを唱えると、彼の指先が起こした風が、サーチートへと向かう。
サーチートの小さな体はその風を受けると、コロコロと地面を転がり、私は転がったサーチートを慌てて回収した。
サーチート、今はチクチクアタック、止めておいたほうがいいよ。
「さて、オリエ。もう一度言おうか。張り切って召喚したその生き物は、少し風が吹けば地を転がってしまうようだが、それでどうするつもりなのだ?」
確かに、どうしようか。
私が言葉に詰まっていると、代わりに答えたのは、サーチートだった。
「大丈夫だよ! ぼくとオリエちゃんが一緒に居れば、何だってできるんだ!」
サーチートはその体のどこから出したのかはわからないけれど、棒のようなものを握っていて、私を見つめ、言う。
「オリエちゃん、これに火をつけて!」
「え? わ、わかった!」
言われるままに、サーチートが持つその棒へと、小さくファイアと唱えて火を点けると、棒の先に灯った炎が一度大きく燃え上がり、気が付くとそばに誰かが居た。
「サーチートくん、 偉かったですね。ちゃんと役目を果たしましたね」
と言った男の人の声を、私は知っていた。
「先生!」
と言って、私の腕から飛び出したサーチートが、その人へと飛びついた。
「待たせてしまったね、オリエ」
ぽん、と私の肩に手を置いた人の声も、私は知っている。
「迎えに来たよ、オリエ。やっと君に会えた」
ユーリはそう言うと、綺麗な金色の瞳を細めて、優しく笑った。
召喚魔法を使ったけれど、喚びだしたのは小さなサーチート。
サーチートを以前に見てはいるものの、間抜けな姿しか見ていないジュニアスはそう言ったが、サーチートに刺された事がある兵士たちは、
「ジュニアス様、あの魔物は危険です!」
と騒ぎ立てていた。
その兵士たちの声が聞こえたのだろう、サーチートは私の腕から飛び降りると、体の針を逆立て、兵士たちにドヤ顔で笑いかける。
私は顔を引きつらせた。
どうしてこの子は、こんなにもお調子者なんだろう。
まぁ、そのあたりも含めて可愛らしくはあるんだけどね。
「オリエちゃんをいじめると、ぼくがチクチクアタックをお見舞いするぞ!」
ドヤ顔でサーチートがそう言うと、
「ははっ、それは、勘弁してもらいたいものだな」
笑いながらジュニアスが、指先をサーチートの小さな体へと向けた。
ジュニアスが小さく何かを唱えると、彼の指先が起こした風が、サーチートへと向かう。
サーチートの小さな体はその風を受けると、コロコロと地面を転がり、私は転がったサーチートを慌てて回収した。
サーチート、今はチクチクアタック、止めておいたほうがいいよ。
「さて、オリエ。もう一度言おうか。張り切って召喚したその生き物は、少し風が吹けば地を転がってしまうようだが、それでどうするつもりなのだ?」
確かに、どうしようか。
私が言葉に詰まっていると、代わりに答えたのは、サーチートだった。
「大丈夫だよ! ぼくとオリエちゃんが一緒に居れば、何だってできるんだ!」
サーチートはその体のどこから出したのかはわからないけれど、棒のようなものを握っていて、私を見つめ、言う。
「オリエちゃん、これに火をつけて!」
「え? わ、わかった!」
言われるままに、サーチートが持つその棒へと、小さくファイアと唱えて火を点けると、棒の先に灯った炎が一度大きく燃え上がり、気が付くとそばに誰かが居た。
「サーチートくん、 偉かったですね。ちゃんと役目を果たしましたね」
と言った男の人の声を、私は知っていた。
「先生!」
と言って、私の腕から飛び出したサーチートが、その人へと飛びついた。
「待たせてしまったね、オリエ」
ぽん、と私の肩に手を置いた人の声も、私は知っている。
「迎えに来たよ、オリエ。やっと君に会えた」
ユーリはそう言うと、綺麗な金色の瞳を細めて、優しく笑った。
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