72 / 277
第1章・異世界転移と異世界転生
再会②
しおりを挟む「何のつもりだ、ユリアナ! 一体どうやってここへ……お前には、王宮に入る許可を出してはいないぞ!」
腰に下げていた剣を引き抜き、鋭い剣先をユーリに向けて、ジュニアスが言った。
「あなたの許可など、どうでもいい。私は、オリエを迎えに来ただけだ」
私を背に庇い、ユーリが言い放つ。
私は嬉しくて、安心して、ユーリの背中に自分のおでこをくっつけた。
ユーリ、本当に私を迎えにきてくれて、ありがとう……。
「ユリアナ! その女は聖女だ。連れて行くとなれば、これは間違いなく国家反逆罪だぞ。オリエ、ユリアナたちと行けば、ユリアナもアルバトスも犯罪者だ。地の果てまで追いかけて、必ず殺す! それに、そいつらが住むシルヴィーク村の住人も、同罪だ。一人残らず、皆殺しにしてやる!」
「え? そんなっ……」
ユーリとアルバトスさんだけじゃなく、シルヴィーク村のみんなを殺すって、そんなのひど過ぎる……。
「なぁ、オリエ、わかるだろう? ユリアナたちと、シルヴィーク村を守るためには、ここに残って、私のものになればいいんだ……」
権力を笠に、ジュニアスは汚い手を使ってきた。
だけど、ユーリやアルバトスさん、シルヴィーク村のみんなが殺されるのは嫌だった。
だからジュニアスの言葉に従うべきかと迷っていると、
「オリエがジュニアスの元に行っても、ジュニアスは私や伯父上を殺すと思うよ」
と淡々とユーリが言った。
「村のみんなだって、そうだ。だから、君が本気でジュニアスのものになりたいというなら別だけど、そうでないなら、私たちに君の運命を、かけてくれないか?」
「ユーリ……」
「もちろん、私たちも何も考えずにここに来ているわけではないさ」
ユーリはそう言うと、ちらりとアルバトスさんへと目を向けた。
アルバトスさんは優しく緑の瞳を細めて笑って、頷いてくれる。
私は、ジュニアスのものになんかなりたくなかった。
私は、サーチートやユーリ、アルバトスさんの元に居たい。
「わかった! 迎えにきてくれてありがとう、ユーリ、アルバトスさん!」
頷くと、ユーリが嬉しそうに笑う。
ユーリが笑うと、私も嬉しかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
189
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる