異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

文字の大きさ
110 / 370
第1章・異世界転移と異世界転生

箱庭の鍵①

しおりを挟む

「ただし、結界の外は、危険な場所だという事を、みなさんには理解していただきたいのです。街道へと続く村の入り口には、今もオブルリヒト兵が見張っていますし、結界外の森の中には、害意を及ぼす動物、魔物たちが溢れているでしょう」

 それを聞いた村の人たちは震え上がり、ざわめき始める。

「危なくないんですか?」

「えぇ、もちろん、危ないですよ」

「そんな危ないところ、私たちに行けるはずないじゃないですか」

「そうだそうだ! 鍵があっても、外に出たら殺されてしまう危険があるじゃないですか!」

 村の人たちの意見は、もっともな事だった。
 アルバトスさんは頷くと、

「そうなんです。危ないんですよ。だから、あなたたちにはできるだけ、結界内に居てほしいと思っています。ですが、どうしても外に出なければならない時が、あるかもしれませんね」

 と続ける。
 だけど、そんな殺される可能性もある危険な場所に、誰が向かおうというのか。
 村の人たちはみんな首を横に振り、行けるはずがないだろうと言う。
 そんな中、

「大丈夫だ、俺が行こう」

 と言ったのは、ユリウスだった。
 村の人たちは驚き、みんな首を横に振った。

「ダメですよ、ユリウス様に、そんな危険な事をさせるわけには行きません」

「そうですよ! 外に行かなくてもできる生活を送ればいいんです!」

 そう言う村の人たちを、私は優しい人たちばかりだと思った。
 ユリウスやアルバトスさんたちが、彼らを何としてでも守ろうとした気持ちがわかる。
 だけどユリウスは深い息をつくと、首を横に振り言った。

「ありがとう。みんなの気持ちは、とても嬉しいよ。だけど、この件に関しては、伯父上はもともと、俺にやらせるつもりだから」

「え?」

「そうですよね、伯父上」

 みんなの視線がアルバトスさんに集まり、その視線を受け、アルバトスさんは笑顔で頷いた。

「もちろんです。こんな危なそうな事、あなた以外にやらせるわけにはいきませんよ」

「だ、そうだよ」

 ユリウスは苦笑し、自分を心配する村の人たちを見た。

「みんなが俺に優しくしてくれたみたいに、俺も、みんなのために何かをしたいって思っている……もしも結界の外に用事があるのなら、遠慮なく俺を使ってほしい」

「ユリウス様っ……」

 みんな、ユリウスの言葉に感動しているようだった。
 いいなぁ、こういうの。
 互いが互いを想い合ってる感じが、すごくいい。
 私もユリウスと一緒に、この優しい人たちの力になりたい。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

処理中です...