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第1章・異世界転移と異世界転生
創世王と神聖女①
しおりを挟む「ちょっと待って、ユリウス! 私を特別な存在みたいに言わないでよっ!」
私だってステータスに神聖女とか書かれてはいるけれど、どうすればいいかわからない。
「だいたい、神聖女って、一体何者なの? 何した人なわけ?」
「あー、それは、ね……」
ユリウスは立ち上がると、本棚から一冊の絵本を持って戻ってきた。
ちなみに私たちは、まだ人前に出られない格好のままで、目のやり場に困っていると、再び逞しい腕に捕まえられて、横にされてしまった。
「創世王と神聖女のことは、この絵本で大体のことはわかると思うよ。この世界の人間は、みんなこれで知るんだ」
「へぇ、そうなんだ」
渡された絵本を見ると、表紙には、創世王と神聖女、というタイトルが。
そのまんまだなぁと思いながら、本を開く。
ちなみに私がこの世界の文字が読めるのは……魔法が何でも使えるってところから考えても、何かしらの補正がかかっているんじゃないかなと思う。
便利でとてもありがたい。
絵本を開いた最初のページには、褐色の肌、銀色の髪、金色の瞳の男の人と、その隣に白い肌、黒い神、青の瞳の女の人のイラストがあった。
「え?」
と驚くと、
「まぁ、神聖女の姿は正確には言い伝えられていないから、本によっていろんな記述があるんだけど、俺が持っている絵本は、オリエの色と同じだね」
とユリウスが言った。
「君の事は最初から気になっていたけれど、君が今の姿になってからは、本当にどうしようもなかったよ。胸が高鳴って、同時に張り裂けそうだった。ジュニアスに連れて行かれてしまったからね。本当に、無事でよかった」
私を抱きしめる腕に、ぎゅ、と力が込められた。私もユリウスの体に腕を回す。
ユリウスに辛い思いをさせたくないから、これからはできるだけそばにようと思う。
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