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第2章・のんびりまったりスローライフ?
大丈夫、そばに居るよ②
しおりを挟む確かにそうかもしれない。
毒を消したとしても、あの巨大熊と戦った時の疲れのせいで熱が出てしまった可能性もあるだろう。
発熱が原因なら、体力のあるユリウスなら、一晩眠ったら目を覚ますかもしれない。
「そして、もしも何かしらの呪いがあったとしても……私は、あなたがそばに居れば、ユリウスは大丈夫なのではないかと思います。オリエさん、もっと自信を持ってください。あなたは聖女であり、何よりもユリウスが選んだ伴侶なのですから……」
アルバトスさんはそう言うと、そばに居て看病してあげてくださいね、と続け、サーチートとのテレパシーを終えた。
ユリウスの事を、もっと心配してくれてもいいのにと思ったけど、考えようによっては、大した事はないのかもしれない。
どちらにせよ、しばらく様子を見るしかないって事なのかな。
「オリエちゃん、どうするの?」
スマホの画面をお腹にしまったサーチートが、心配そうに私を見上げる。
どうするって聞かれてもねぇ、アルバトスさんに言われた通り、今晩様子を見て、体調が戻らないようだったら、またアルバトスさんに連絡しようかと……。
私がそれを伝えると、サーチートもジャンくんもモネちゃんも、頷いてくれた。
熱が高いユリウスの看病のために、私は女将さんから洗面器を貸してもらった。
その時に、村長さんが今日は宴会をするって言ってくれていたけれど、ユリウスがこんな感じなのでと丁重にお断りする。
それから、もう少し泊まらせてほしいとお願いすると、女将さんは気にしないでいいと言ってくれた。
「ユリウス、大丈夫?」
額に手を当てると、まだ熱が高い。
私の真似をして同じようにユリウスの額に手を当てたサーチートが、四十度だよ、と言う。
「サーチート、熱も測れるの?」
「うん、わかるよ」
こくんと頷くサーチートを抱き上げて、今度は小さな手を自分の額に当ててみる。
「オリエちゃんは三十六度二分の、平熱だよ」
「そう、ありがとう」
私は平熱、ユリウスは高熱……どうやらサーチートが言っている事は本当だろう。
サーチートって、いろんな事ができるなぁと改めて思いながら、私は女将さんから借りた洗面器に水を入れ、氷魔法を唱えて作った氷を放り込んだ。
「オリエちゃん、看病って、どうするの?」
「ん? そうだね、熱が出ていて苦しそうだから、この氷水でタオルを濡らして、汗を拭いてあげたりとか、そんなものかな。あとは……」
「あとは?」
「ただ、そばにいてあげる事、かな。ユリウスのそばに居て、ここに居るよ、早く元気になってねーって言う事くらいかな」
私がそう言うと、サーチートは、それはいいね、と嬉しそうに頷いた。
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