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第3章・冒険者デビュー

ギルドもいろいろ大変らしい①

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「ところで、今日は何かありましたか?」

「あ! そうだった!」

 私はジルさんに、またポーションの買い取りをお願いしたい事を伝えた。

「今回は、中級と下級を作ってきたんです。よろしくお願いします」

 作ってきたポーションを差し出すと、はい、とジルさんは頷いて、私が渡したポーションを手に取った。

「鑑定」

 と言ったジルさんの目が、また金色に輝く。そして鑑定を終えると、

「中級、下級共に、(+)が付いている質の良いポーションですね」

 と、にっこりと笑って褒めてくれた。

「買取価格は、中級が一本九百ルド、下級が二百ルドでお願いしたいのですが、いかがですか?」

「はい、それでいいです」

 ポーション作りは楽しいから好きだし、結構簡単に作れる事がわかったから、値段はいくらでも構わなかった。

「では、これが代金です」

「ありがとうございます」

「ところで、お二人の冒険者ランクは、どうなりました?」

 ポーションの代金を渡してくれる時、ジルさんがこっそりと聞いてきたから、私もこっそりと、「Gランクです」と答えると、ジルさんは苦笑した。

「ギルドマスターから、ランクを上げて登録するっていう話は、ありませんでした?」

「それは、ありましたけど……みんなGランクから始めるものなんですよね? 何か申し訳ないし、それに裏がありそうだったから……」

 私がそう言うと、確かにねぇ、とジルさんは頷いた。

「どうかしたんですか?」

「いえ、実際、裏はありましたから……」

 ジルさんはそう言うと、だけどギルドもいろいろと大変なんですよ、言って苦笑する。
 今、高ランクを含め、大勢の冒険者が王都オブリ―ルへと向かってしまったため、この商都ビジードの冒険者ギルドでは、高ランクの依頼が滞ってしまっているのだそうだ。
 そんな時、謎の黒魔結晶が刺さった巨大熊を、一人で倒す実力があるユリウスが現れた。
 何故か冒険者ランクがブランクだというが、実力は確かなのだから、高ランクに上げて滞っている依頼を受けさせればいい――というのが、ゴムレスさんの考えだったらしい。

「そういう事だったのか……。そんな理由だったのなら、悪い事をしたかな……」

 ジルさんの話を聞いたユリウスが、ぽつりと呟いた。

「でも、他の方々と同じようにGランクからという事でギルドマスターが納得したのなら、それで良いのだと思いますよ。やっぱり、他の冒険者の事もありますから。ただ、冒険者ギルド側としては、早く上のランクになっていただきたいですけどね。あの、依頼の受け方の説明、しましょうか?」

「はい、お願いします」

 ジルさんの申し出にありがたく頷くと、

「本当に初心者なんですね」

 と笑われてしまった。
 まぁ、初心者といえば初心者であり、違うともいえる。
 ゲームでは何度も受けた事はあるんですけどね。

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