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第3章・冒険者デビュー
ジルさんとの再会
しおりを挟む「ありがとうございます!」
ゴムレスさんは私とユリウスのギルドカードを、Gランクとして登録してくれた。
これで何か依頼を受けたら、冒険者デビューって事だよね。
すごくわくわくするなぁ。
「おいおいお嬢ちゃん、Gランクなのに、なんでそんなに嬉しそうなんだよ。Gランクってのはな、一番下のランクなんだぞ」
ゴムレスさんが呆れたように言ったけれど、元の世界でオタクだった私には、コツコツとレベルを上げていくという楽しみもあるんだよね。
まぁ、こんなふうに思っているのは私だけだろうけどね。
この世界の人は生活が懸かっているから、きっと少しでも早く上のランクになりたいと思うのが普通なはずだし、そう考えると、確かにゴムレスさんが呆れるのも頷ける。
「お前らには早く上のランクになってもらいてぇから、今日はいくつか依頼受けていけよ」
「はぁい、頑張りまーす。あ、そうだ、ゴムレスさん、私、ポーションを作ってきたんですけど、また買い取りをお願いします」
「あぁ、じゃあ、買い取りカウンターに行け。ジルを呼んでくれるはずだ」
「わかりました! ありがとうございました!」
ゴムレスさんにお礼を言って、私とユリウスは買取カウンターへと向かった。
買取カウンターでジルさん呼んでもらうと、すぐに来てもらう事ができた。
「お久しぶりですね。いろんな人がお二人を探していたんですよ。どこに行っていたんですか?」
「リュシーさんのお店で買った物の加工に一週間くらいかかるらしかったので、街を出て狩りをしたり、薬草を探したりしていたんですよ」
ジルさんの質問に答えてくれたのは、ユリウスだった。
先程ゴムレスさんに聞かれた時は、質問に質問で返して誤魔化したけれど、何回も使える手じゃないし、ジルさんが相手だと、私はボロが出てしまう可能性もあったし、ユリウスが答えてくれて良かった。
ちなみに、サーチートの口はユリウスによって塞がれていた。
私同様、サーチートもうっかり本当の事を言ってしまいかねないからね。
「そう言えばジルさん、お礼を言うのが遅くなったけど、良い店を紹介してもらって、ありがとうございました」
どこにいたかという追求から逃れるために、ユリウスは話題を変えた。
「いえいえ、気に入っていただきました?」
「えぇ、とても。あの加工技術はすごいですね」
ユリウスがそう言うと、ユリウスの手から逃れたサーチートがカウンターに飛び移り、言った。
「ジルさん! ユリウスくんの言っている事は、本当なんだよ! ユリウスくん、あの店でたくさん買い物をしたんだよ!」
ちっちゃい手を思い切り広げて、ユリウスがたくさん買い物をした事を、一生懸命にジルさんに伝えるサーチート……可愛いなぁ。
お店で買い物した事は知られても大丈夫な本当の事なので、私もユリウスもサーチートを見てほっこりとした。
「えぇ、リュシーから聞いています。たくさん買い物をしていただき、ありがとうございます。彼も喜んでいました」
ジルさんは少し照れたように言った。頬がちょっと赤くなっている。
彼女の反応を見て、もしかして、と私は思った。
「あの、ジルさんとリュシーさんって、もしかして、特別なご関係なんですか?」
小声で問いかけると、ジルさんは耳まで赤くなりながら、小さくこくりと頷いた。
二人はお付き合いをしているらしい。
美男美女の、お似合いのカップルだ。
そういえば、スタイリッシュ・アーマーのソフィーさんも、ジルさんと親しそうだった。
きっと、ジルさんはよくあの店――いや、リュシーさんの家に行っているんだろうな。
二人の馴れ初めとかをいろいろと聞きたいけれど、ジルさんはお仕事中だから、我慢しよう。
それにしても、恋愛事に縁がなかった私が、人のコイバナに興味を持つようになるなんてね。
昔は全く興味なかったし、むしろ聞きたくなかったのに、人って変わるものなんだなぁ。
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