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第3章・冒険者デビュー
ホイホイ&キラー②
しおりを挟む「サーチート! 一体どうしたの!」
泣きながら走って来た小さな体を受け止める。
サーチートを追いかけて来たゴブリンたちは、ユリウスに斬られて地面に倒れていた。
バタッ、ドサッと、次々にゴブリンの死体が積み上がる。
数が三十体以上だから、私も手伝おうと思ったんだけど、ユリウスはちらりと私を見ると、いい、と言った。
今はさっきよりも数が多いし、ゴブリンは次々に襲い掛かって来る。
ユリウスも耳を斬り落とすのではなく、確実にゴブリンを仕留めているから、ここは全部彼にお任せした方がいいだろう。
それなら今私がすべき事は、サーチートに何があったのかを聞く事だな。
「ねぇ、サーチート、何があったの?」
「さっぱりわけがわからないんだ。あいつらが突然、ぼくに襲い掛かってきたんだよ」
「そうなの?」
「そうだよ! あのね、オリエちゃんたちと別れた後、ぼくは森の中で、ものすごいものを見つけたんだ。すっごく驚いて、すっごく嬉しくて、一人で大騒ぎしちゃったよ。そうしたらあいつらが現れて、突然ぼくに襲い掛かってきたんだよ!」
サーチートは興奮気味に、大声でそう言った。
サーチートを狙っているのか、ゴブリンたちがギャアギャアと叫ぶ。
この反応は、一体何なのだろう?
ゴブリンたちは、サーチートが見つけた何かを奪おうとして、襲ってきたの?
それとも、サーチート自身を、何らかの理由で襲った?
その理由、なんとかして知る方法はないかな?
鑑定とかで、わかんないものかな?
「よし! 鑑定!」
私は襲い掛かって来てはユリウスに倒されているゴブリンを鑑定してきた。
鑑定では詳しいレベルやステータスはわからなかったけれど、今ゴブリンたちがどういう状態なのかという事は知る事ができた。
【ゴブリン 状態:興奮 小動物のキンキン声が気に障っている】
「へ?」
「本当に突然襲い掛かってきてさ、わけわかんない! 嫌になっちゃうよね!」
サーチートはそう言うと、チラリと自分を見るゴブリンたちへと視線を向け、あかんべーをする。
小動物って、サーチートの事だよね?
キンキン声って……確かにサーチートの声は、高くて子供みたいな声だけど、この声がゴブリンにとって、そんなに嫌なものなのかな?
私は次に、サーチートを鑑定してみた。
ゴブリンと同じく詳しいレベルやステータスはわからないけど、今のサーチートの状態が表示される。
【サーチート 状態:スキル発動中 ゴブリンホイホイ】
「ぶはっ!」
ゴブリンホイホイって、何だよ!
私は思わず吹き出してしまい、サーチートを抱えたままよろめき膝をついた。
「オリエ? どうした?」
ゴブリンを蹴り飛ばしたユリウスが、私を振り返った。
サーチートを鑑定で見た後だったから、ユリウスの状態も表示される。
【ユリウス 状態・スキル発動中 ゴブリンキラー】
うわぁ、ゴブリンホイホイに、ゴブリンキラーだって。
ゴブリンにっては最悪の、最強凸凹コンビの誕生だよ。
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