異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

文字の大きさ
303 / 370
第4章:ゴブリン・スタンピード

犯人の少年②

しおりを挟む


「アントニオ……そんなはずない……アルバトスはそんなことをする奴じゃないぜ」

 首を横に振りながらそう言ったのは、ゴムレスさんだった。ローレンスさんも頷き、発言する。

「そうですよ。確かにアルバトスは頭の良い人間でしたが、だからこそ、こんな意味のないことなど、決してしませんよ」

 アントニオさんは、「やっぱ、そうだよなぁ」と呟くと、困ったように笑い、ゴムレスさん、ローレンスさん、クラウドさんの三人を見た。

「俺もそう思った。だが、俺はあいつとそこまで親しかったわけじゃない。だから、お前らに来てもらったんだ。アルバトスと親しかったお前たちの意見が聞きたくてな」

「なるほど、俺が呼ばれたのはそういうわけだったのか」

 納得した、とクラウドさんが頷いた。

「もちろん俺も、アルバトスがそんなことをするはずないと思う。ローレンスも言ったが、そんなことをして何の意味があるんだって話だよ。あいつは本当に優しい奴だし、自分の持っている力を他の奴らが暮らしやすいように使うことはあっても、傷つけるようなことに使うことなんてしないさ。逆にこんなことをしそうな奴は……」

 クラウドさんは何かを言いかけて、口を閉ざした。
 誰の名前を言おうとしたのかはわからないけれど、ゴムレスさんもローレンスさんもクラウドさんも、みんながアルバトスさんのことを信じていることを目の当たりにした私は、感動してちょっと泣きそうになってしまっていた。
 信じあっている男性同士の友情って、いいよね!

「じゃあ、今度は王子様の話を聞くことにしようぜ」

 アントニオさんはエミリオの猿轡を外すように光の翼の冒険者に指示した。
 エミリオは何度か咳き込んだけれど、俯いたまま言った。

「僕に指示したのは、アルバトスだ……。アルバトスが全ての黒幕だ。本当、なんだ……」

「王子様は、この一点張りなんだよ」

 アントニオさんは呆れたようにエミリオを見る。
 もうアントニオさんの中では、エミリオの言っていることは嘘だということになっているのだろう。
 だから次は、本当の黒幕を暴かなければならないんだけど、エミリオはアルバトスさんが黒幕なのだと繰り返すばかりらしい。

「アルバトスが全部悪いんだ! アルバトスが僕に、黒魔結晶をばらまけと、動物や魔物を狂暴化させるために使えと命令したんだ! アルバトスが! アルバトスが全部僕にやらせたんだっ!」

「嘘だ! 君は嘘をついている!」

 アルバトスが悪いのだと繰り返すエミリオに反応したのは、私が抱っこしていたサーチートだった。
 サーチートは私の腕から飛び出すと、エミリオの前にあったテーブルに飛び移って転がり、

「君はひどい奴だ! ぼくは絶対に君を許さないぞ! くらえ! チクチクアターック!」

 と叫び、いつものふわふわの体を硬化させ、エミリオに体当たりしたのだ。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~

けろ
ファンタジー
【完結済み】 仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!? 過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。 救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。 しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。 記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。 偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。 彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。 「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」 強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。 「菌?感染症?何の話だ?」 滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級! しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。 規格外の弟子と、人外の師匠。 二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。 これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

処理中です...