初夜に放置された花嫁は、不誠実な男を許さない~不誠実な方とはお別れして、誠実な方と幸せになります~

明衣令央

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15・さて、あれは誰の差し金でしょうか



 その後、セシリアとジゼルは、馬車の待機所までレオンに送ってもらった。
 セシリアたちが待機所に着くと、ちょうどグランチェスター侯爵家の馬車が待機所に着いて、アルバートが姿を現した。

「セシリア、心配をかけないでくれ……。心臓が止まるかと思ったよ……」

 アルバートはそう言うと、セシリアを抱きしめた。
 セシリア自身も、アルバートに内緒で外出してしまったため、アルバートや屋敷で待つ家族に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「心配かけてごめんなさい」

 と素直に謝ると、アルバートはセシリアの耳元で、「本当に無事で良かった」と呟いた。

「グランチェスター侯爵閣下、お初にお目にかかります。自分は、レオン・ハートレイと申します」

「レオン卿、この度は本当にありがとう」

 アルバートはレオンの手を取ると、固く握りしめた。

「レオン卿、君がいなかったら、娘はどうなっていたことか……」

「いえ、セシリア嬢はお強い方です。自分は彼女のような強い女性を初めて見ました」

 そう言ったレオンが、セシリアを見ると、また頬を染める。
 褒められているとは思うのだが、どうして彼は自分を見ると、顔を赤くするのだろうと、セシリアは思う。

「セシリア嬢をさらおうとした者たちは、捕らえております。後日、セシリア嬢にお話を伺うことになると思います。その際には、ご協力をお願いします」

 そう言ったレオンに、セシリアもアルバートも頷いた。





「お父様、本日は本当に、申し訳ありませんでした」

 帰りの馬車で、セシリアはもう一度アルバートに謝罪した。
 アルバートは困ったようにセシリアを見つめ、

「お前が安心して外出するには、まだ早かったようだな」

 と言う。
 セシリアは頷き、アルバートの顔を見つめ返した。

「それで、お父様……何か、おわかりになりましたか?」

 ルミナスバードで父に助けを求めたが、その後すぐにセシリアはレオンに助けられた。
 そのことを確認したアルバートがセシリアを迎えに来るまで、何もしていなかったはずがない。
 セシリアの予想通り、騎士団での尋問報告を待つことなく、アルバートは今回の騒動の黒幕を突き止めていた。

「レインズ男爵が雇ったらしい……。うちからの慰謝料請求の話を聞いて、自棄になったということだろう」

「そうですか……なんて迷惑な……」

 ふう、と呆れたように息をついたセシリアの隣で、口元を引きつらせながら、

「旦那様、お嬢様、消しますか?」

 とジゼルが言う。
 ジゼルは、かすり傷とはいえセシリアが傷を負ったこと、そして自分が彼女の危機にそばにいなかったことが、許せないようだった。

「そうですわね……それもなしとは言いませんが……あぁいう方々には、惨めに生きていく方が、辛いのではないかしら」

 セシリアがそう言うと、あぁ、とアルバートも頷いた。
 グランチェスター侯爵家からの慰謝料請求の他、今回の件も含めレインズ男爵家の悪事は、これから白日の下にさらされるだろう。

「あとのことは、騎士団と王宮法務局に任せよう。全てを明らかにされて惨めに生きていくか、処刑されるか……どちらにせよ、わざわざこちらが手を回す必要はないよ」

「えぇ、そうですわね」

 アルバートの決断に、セシリアは微笑みながら頷いた。



「セシリアー! 無事かー!」

 屋敷へと戻ると、祖父が自慢の槍を手にして馬に乗り、今にも飛び出そうとしているところだった。
 必死に止めている祖母と母の姿に、セシリアはまた申し訳ない気持ちになってしまった。


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