大勢の前で婚約破棄を言い渡されましたが、それは幸せへの道の第一歩でした

明衣令央

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63.癒しの歌

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「ハルカゼ、ホムラ、スイレイ! 私たちを守ってくれてありがとう! でも、もう止めて。このままだと、たくさん人が死んでしまう! あなたたちの仲間にも、戦うのを止めるように言って!」

 アリアがそう叫ぶと、グリーン、レッド、ブルーのドラゴンは動きを止めた。
 アリアは周りを見回した。
 ゴールドドラゴンと、ブラックドラゴン……コウリンとカゲツヤが居なかった。
 二匹はどこに行ったのだろう?
 気にはなったが、今はここに居るハルカゼたち止めるのが先だとアリアは思い、もう一度ハルカゼたちに頼んだ。

「お願い、ハルカゼ、ホムラ、スイレイ、ウクブレストの人たちを、殺さないで!」

 アリアの願いに、三匹のドラゴンたちは仕方がないなというように、仲間のドラゴンへと吼えた。
 それに従い、ドラゴンたちはウクブレスト軍への攻撃を止める。

「ありがとう……」

 アリアは礼も兼ねて歌を歌った。
 その歌は、ドラゴンたちに優しく降り注がれた。
 ウクブレスト軍と戦った際に傷ついた体が、歌の癒しの効果により、治っていく。
 傷が治ったドラゴンたちは、どこかへと飛んで行った。

「ありがとう、またね」

 去っていくドラゴンたちに、アリアは呟いた。
 ドラゴンに愛され守られる自分たちは、本当に幸せだと思う。

「アリア、お疲れ様。でも、もう少し、歌ってやってくれるかい?」
「は、はい、構いませんけれど……」

 ステファンから何か報告を受けたリカルドに頼まれ、アリアは頷いた。
 思いきり息を吸い込み、歌う。

 アリアの歌は、ドラゴンの傷だけを癒したわけではなかった。
 ドラゴンに襲われながらも、ディスタルとスザンヌを逃すために戦った、瀕死のウクブレスト兵の傷にも作用していたのだ。
 
「なんて優しい歌なのだろう……体はまだ動かせないが、痛みは引いていく……」
「スザンヌ様の歌も素晴らしかったが、いつも何かに追い立てられるようだった……それに比べて、なんて癒される歌なのだろう……」
「あぁ、やっと戦いから解放されるんだ……もう戦わなくていいんだ……」

 ウクブレスト兵は微かに聴こえるアリアの歌声に、みんな涙して聴き入っていた。
 それを彼女が知るのは、もう少し後の事だった。
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