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65.戦いの後
しおりを挟む「アリア、お願いがあるんだ。どうか、フレルデントの王宮に戻ってほしい」
「え? 」
怪我の手当や雑用など、何だって自分ができる事を手伝おうと思っていたアリアは、リカルドからそう言われ、首を傾げた。
「戦いはハルカゼたちのおかげで、ほぼ何もせずに終わった。フレルデント兵には大きな怪我をした者は居ないし、ウクブレスト兵には重傷者が多いけれど、もしもの事を考えて、手当や世話は兵士に行わせる。僕はこの戦いの後始末をしなければならないから、君のそばにずっと居られない。それに、きっとまたサリーナが心配しているんじゃないかな?」
「リカルド様……」
「ね、お願いだから。王宮で僕の帰りを待っていてほしい」
「そうですね……はい、わかりました」
アリアは素直に頷いた。
このままここに居れば、忙しい彼に心配をかける事しかできないようだ。
もう危険はなさそうだし、それなら、リカルドの望み通り、王宮に戻って、彼の帰りを待っていようと思う。
「ありがとう、アリア」
安心したように笑い、リカルドがアリアを抱きしめた。
「後始末が終わったら、すぐに戻るから。あと、護衛はクリスに頼んだよ。クリスと一緒に、王宮に戻ってくれ。クリス、よろしく頼むよ」
「はい、リカルド様! 任せてください! アリア姉様は、僕が必ず無事に王宮へ送りますから!」
クリスはそう言うと、胸を叩いた。
「アリア姉様! いい? 僕のそばから離れちゃダメだよ!」
「はいはい、わかりました」
「クリス、アリアをよろしく」
リカルドはアリアをフレルデント王宮に戻すために、馬車を用意してくれた。
「じゃあね、アリア。気をつけて」
「はい、リカルド様も……」
リカルドに見送られ、アリアはクリスと共に馬車に乗り込み、フレルデント王宮へと向かう。
その途中、アリアたちを乗せた馬車は、怪我をしたウクブレスト兵の姿が見える場所を通った。
もう戦いは終わった。
難しい事はわからないけれど、もう誰も傷ついたり死んだりしてほしくないとアリアは思った。
「す、すみません、馬車を止めてください!」
「クリス? どうしたの?」
クリスが突然御者をしている男に声をかけ、馬車が止まると同時に馬車を飛び出して行った。
「どうされたんですか?」
「ごめんなさい、わからないのですけど……」
クリスはウクブレスト兵の元へと走って行ったが、すぐに真っ青な顔で戻ってきた。
「クリス、どうかした? 何があったの?」
「姉様!」
「クリス? どうしたの?」
クリスはアリアの手を両手で掴むと、震えた声で言った。
「姉様、お願いがあるんだ。どうか、僕の友達を助けてほしい……。僕の友達が、今回の戦いに参加していたんだ。ひどい怪我で、とても痛そうで苦しそうで……だからアリア姉様! 姉様の力で、あいつを助けてあげてほしいんだ!」
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