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領地

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アルポスの街の領主は、大勢の家臣や領民を引き連れて新たな領地へと旅立った。
ギルドマスターの家は、物凄い豪邸だったのは驚きだ。
今は受付のおっさんが家族や親戚の家族と仲良く暮らしている。

アルポスの名をイサムの街に変更。
それを書状にして国王や貴族に送るのも俺の仕事らしい。

そして、税金を7対3の比率を5対5に引き下げを決行。
5対5が周りの領地を敵対させない、ギリギリの線らしい。宰相からの助言だ。
ここまで税金を取っていたとは知らなかった。

それでも発表すると領民は、歓喜を上げて叫び踊った。

「なんて優しい領主様だ。残って正解だったぞ」

「これで借金が返せる。なんてありがたい方なのだ」

「バンザイ、バンザイ」



俺はスラム街に赴いている。
そして新しく任命した執行官が言い放った。

「これよりスラムの住民に鑑定の儀式を執り行う。そして鑑定結果で領主様が雇い入れる。安定した暮らしがしたければ鑑定儀式を受入れよ。イサム領は人手不足で、このようなチャンスは二度と無いぞ」

ほぼ全員が並んだようで長い列が出来ている。

並んだ全てのスラム住人を鑑定しまくったぜ。女や幼い子供まで・・・
以前に鑑定して知っていたが、出るは出るは、レアスキルや魔法士のオンパレードだ。
全てを家臣として雇い入れた。

土魔法士の2人には、徹底的に教え込んでスラム住民が新たに住む家を建てさせた。

建てる家の土地は、スラムのボロ家が建ち並ぶ土地だ。その家をぶっ壊した。
追い出されたスラム住民は、出て行った家臣や住民の空き家で共同生活をしている。
新たな家に住めると、毎日入替わりに見に来てはああだこうだと話して帰っている。

出来上がる予定の家は、5階建てマンションで住居スペースも大きく取った高級感が溢れる建物だ。
土魔法士も最初は戸惑ったが、俺がマンション1棟をドドドッとぶっ建てた。
それを見本に2人して、まあまあなマンションを建てたよ。


出来上がったマンション2棟の抽選会が始まろうとしている。

「あなた、頑張って」

「おとうさんガンバ・・・」

「任せてろ!」

家族に声援されて執行官が見てる前で回しだす。

「ガラガラガラ、コロン」と赤い玉が落ちた。

補佐官がハンドベルを「カラン、カラン、カラン、カラン」と鳴らした。

「大当たりーー!!好きな棟の部屋の鍵を選んで、いつでも住んで下さい」

「やったぞーー」と手を上げて喜ぶ亭主。

そんな亭主をほっといて「ミイちゃんは、どこが良い」

建物地図を見たミイちゃんは「ここが良い」と510号室を指差した。



「わお!なんて広い部屋だ。それに、この景色の眺めはなんなんだ」

「あれもこれも家がちっちゃいよ」

「そうだな・・・小さいな・・・」

「おとうさん、おとうさん」

「なんだね・・・」

「この部屋で寝て良いの・・・出て行けーーて言われない」

「ここで寝て良いんだぞ。この領地の兵士として雇われたから心配しなくていいぞ」

「おとうさん、ありがとう」

子供は父親に抱き付き、足に顔をスリスリして喜んでいる。
それを見ていた母親は、ポツリッと涙した。




青いトカゲに乗った男が「ポッサム村ってここか」
赤いトカゲに乗った男が「地図ではここだな。井戸が急に枯れたと報告には書かれてるな」

1人の男がうやうやしくお辞儀をして「よくぞ、いらっしゃいました。村長のサムと申します。話していた通りに井戸が枯れてしまい難儀なんぎしてます」

「その井戸に案内してくれ」



「こちらで御座います」

男は井戸を覗き込んだ。

「これは・・・グイグイの仕業だな」

「そのグイグイとは、なんですか・・・」

「水が大好きなグイグイと言う土系魔物の事だ。この井戸の水源でガブガブと水を飲んでいるに違いない」

「水源でしたら昔から、あのトーテ山です」

「分かった!ジュンク、行くぞ」

言うと同時に青いトカゲで駆けている。

「せっかちな奴だな。村長、必ず井戸を復活させてみせるから心配するな」

「よろしくお願いします」



ジュンクがたどり着いた時には、戦いが始まっていた。

魔物の8つの足がグイグイと地面を突き刺し、男は避けるのに必死だ。
この行動が名の由来だ。

「まだ終わってないのか・・・土攻撃のイライの名が泣くぞ」

「ほざいたなぁー!」

イライは大きくジャンプして2つの足を斬り飛ばした。
ぐらついたグイグイに、ジュンクの火球が命中して大きな穴を開けて仕留めた。

「イライ、3体のグイグイが出てきたぞ。俺のルーンブレイドを受取れ!」

受取ったルーンブレイドて「スラッシュ」と叫んだ途端にグイグイを2つに斬り分けた。
更に「ハイスラッシュ」で残った2体のグイグイを消滅させている。

「ジュンク、横取りは失礼だぞ。もう少しで仕留めたのに・・・」

「イライは土魔法士だから土系の魔物は苦手のはずだが」

「俺には苦手の文字はない」

「これで水脈は回復するだろう。イライには、まだまだ仕事があるはずだ。田畑の拡張で頑張れば良いではないか」

「それもそうだな」




大地に麦畑が広がる光景があった。
その麦を刈り取る人々には、笑いがあった。村での収穫が大幅にアップした事を実感していたからだ。
それに街からやって来た2人が、知らせた税率の5対5が更に喜びを2倍にしている。



「刈りたての麦が美味しいか、アオ」

頭を上下させて返事するアカトカゲ。

持って来たのは村長であった。
山積みにあった麦が残り少なくなった事に気付いたアオは、となりの麦を喰いだした。
何を勝手に喰うのと怒るアカ。

そんなアオとアカが喰い終わった。

「そろそろ次の村に行こうぜ。俺らを待ってるはずだ」

手綱を使って走れと命令を伝えと、アオは走りだす。

「又も勝手に突っ走るなよ」

アオの後を追い駆けるジュンクであった。


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