“孤蝶”雑多ログ

緋影 ナヅキ

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真琴の春休み(1年) ※未完

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 そうして、そのまま走り続ける事約10分。
 慶との待ち合わせ場所だという、駅の噴水広場にやって来た。

「全く…かえちゃん達さぁ、俺が何か予定あったりしてたらどうするの~?」

「えー?マコちゃんに予定?」

「そんなのないでしょー?」

「「だって、マコちゃんがさっき暇だって言ってたもん!!だから大丈夫!」」

「うっ…確かに言ったけどぉ~」

 違う、言いたいのはそういうことではないんだよ双子…。
 ガックリと、歩きながら大袈裟に項垂れてみた。
 双子はそんな俺を見てケラケラ笑っている。

「はぁ、まぁいいかぁ…。それで、ここのどこで待ち合わせしてるの~?」

「「えーとねー、……あ、あの人が沢山いるところだよー!!」」

 双子が指の指す方を見ると、確かに1箇所だけものすごい人だかりの場所があった。割合い的に若い女性が多い。
 おそらく、その中心にいる人物を見ようと集まって来ているのだろう。

「うわぁ~…あそこに行かないといけないのかぁ」

「ねぇ多分さ」

「あの中心にいるのって」

「「けいっちだよねー」」

「それは俺も思ってた~」

 さてどうして行こうかと、少し立ち止まって考える。双子はそんな俺を見上げた後、慶がいると思われる場所に向かって叫んだ。

「「おーい!!けいっちー!!!」」

 ぴょこん、と中心にいる焦げ茶色の頭が反応した。

 かくいう周りの女性達はというと、こちらを見たかと思うと、まるでモーセの如くこちらへ続く道を開けた。その間僅か2秒ほど。

「「「「………」」」」

 流石にこうなるとは思ってもいなかった俺達は、脳の処理が追いつかず数秒間固まってしまった。


 ハッ!と、一足早く現実に帰ってきた慶は、出来たばかりの道をパタパタと走って来た。

 その様子は、迷子になった犬が飼い主を見つけて駆け寄って来ているようだった。
 あぁほら、いつも眠たげな焦げ茶の目をきらきらさせて、同じく焦げ茶の尻尾をブンブン振ってるよ…かわいいなぁ…(幻覚)


「ねぇ、あの無気力イケメン、めっちゃ可愛くない??」
「分かる。飼い主見つけた大型犬みたい」
「あ、それだわ」

「あぁ、ワンコっぽいイケメンがチャラい美形とかわいい美少年双子に向かって走ってる…萌…」
「あぁ…ワンコ×チャラ…いや、双子×ワンコ…?いやいや、もしかしたら…ブツブツ」


 どうやら女性達も、ワンk…おっと、慶がこちらへ走ってきているのを見て癒やされてるらしい。何人かで固まってコソコソ会話している。
 だが何故だろうか。何を言ってるのかは聞こえないが、最後の人がこちらをチラッと見てきた時に寒気がした気がした。



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