“孤蝶”雑多ログ

緋影 ナヅキ

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羽をもがれた蝶は

羽をもがれた蝶は 3

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〘副会長side〙


 会長である龍雅をはじめとした私達生徒会は現在、とある個室の扉前に立っていました。

 周囲は早朝の特別校舎のように静まり返り、時々ガラガラと点滴スタンドの音や小さな話し声が微かに響くぐらいです。

 
 緊張、しているのでしょうか。
 何時いつだって自信に満ち溢れ、私達を引っ張ってきた龍雅は、酷く強張った表情をして眼前の扉を睨みつけていました。

 …まぁ、分からない訳でもありません。

 私だって、己が犯してしまった数々の罪の重さを今、どうしようもなく実感しているのですから。
 例えどのような理由があったのだとしても、他の誰もが私達の罪の存在すらをも認めないとしても。



 ─自分自身はそれを、到底赦せない、赦されたくないと思っている。
 



 此処は、華織学園系列の大学病院。

 先日事故に遭ってしまった水無月が運び込まれ、約半月間もの間ずっと眠り続けていた場所。
 
 3日前にようやく面会が許され、学園が休みであるこの日早速生徒会全員で訪れた。

 …彼の状態を一目見る為に。

 ……彼に、謝る為に。
 


 
 コンコンッ

「ず、といる、の…め、わく、なる……いこ」

 しびれを切らした花ヶ崎が珍しく先陣をきって扉を開け、白い病室へと吸い込まれた。瓜二つの顔を見合わせた永瀬兄弟も手をつなぎ、躊躇いなくその後に続く。

 
 それでも龍雅は未だ、下の方で固く拳を握って立ち止まっていました。


「彼らに先を越されてしまいましたよ。いいのですか、バ会長?」 

 これが今の私にできる、精一杯の励ましと鼓舞。
 

 長い付き合いからそれを正しく認識した龍雅は呆れたような、安堵したような表情を微かに浮かべ、肩と手の力を抜きました。

「…フッ、主役は最後に登場するもんだろ」

「まぁ、今の貴方は主役ではないですけどね」 
  
 おもむろに普段通りの不敵な笑みを顔にのせ、堂々とのたまうそれに指摘を入れる。

 気にした様子を見せず、今度は躊躇いなく開いた扉へと歩を進める龍雅の右後ろに付きながら、少し遅れて私も足を踏み入れました。


 少しでも彼に償いをしたいと、そんな願いエゴを抱えて。






「…誰だアンタら」



 長い銀髪を結わえずに下ろし、赤と碧のオッドアイをもった見覚えのないはずの青年が、強い殺気を向けてくるまでは。

 水無月と同じ顔を無で染め、水無月のを少し低くしたつまらなそうな声で、その一言を言われるまでは。

 誰よりも水無月に懐いていた花ヶ崎の瞳が哀しげに揺らぎ、黒く染まっていくのを感じるまでは。

 



 確かに私は、都合の良い願い希望を抱いていた。





 
〘副会長side end.〙 
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