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第30話
しおりを挟む「あぁ実はな、その転入生の出迎えを生徒会にしてもらうことになったからだ」
うわぁー…嫌な予感見事に的中…
「ねぇ…それってさぁ…本当に生徒会じゃないとダメなの~?」
一塁の望みを持って、恐る恐る尋ねる。
お願い委員長、ダメじゃないと言って。
「生徒会は一応華織学園の代表だからな。それに、これは昨日理事長が決定したことだから、恐らく覆せないと思うが?」
oh………まぁいいか…うん、決まったことなら仕方ない。
それに、行くのが俺にならなければいいだけだし。
うん、それならまだ大丈夫。希望はある。
うんうん平気平気と、頭を振っているのを若干怪訝そうに見ながら委員長は話を続ける。
「後から資料はいくと思うが、大体の概要は言っておく。転入生の名前は柳瀬春人。受けた編入試験では、いくつか満点をとったらしい。まぁ、国語は合格ラインギリギリだったようだが」
は?満点?それも複数??
いきなりぶっこまれた事実に混乱する。
華織学園の編入試験はかなりレベルが高い。1教科でも満点なんてまずとれるはずがない。それを複数教科分。本当意味が分からない。普通なら裏口入学を疑うが、合格ラインにギリギリな教科もあるということによりそれは否定されるだろう。
俺は外部生なので、当然その試験は受けたことがあるが、全体的に難易度の高い問題が多かった覚えがある。応用ですらなく発展問題だらけだった。しかも、高校で習うはずの内容も少し出ていたし。
先程も言ったように数学は基本得意な方なのだが、実は図形と証明だけはすごく苦手なのだ。だからその部分の勉強を、独りでなんとかしていた覚えがある。あぁ、本当頑張ったなぁ…(遠い目)
「…とまぁ、そんなところだな。因みに来る日時は後程生徒会室の各パソコンに送られるそうだ」
「それを会長達にも伝えたらいいんだねぇ?」
「あぁ、頼む」
「分かったよぉ~」
ふざけた敬礼をしてみせると、委員長は微笑ましいものを見るかのような目をして、ポンポンと頭を撫でてきた。
「???」
ふとそれに、何故かひどく懐かしさを覚えた気がした。
そう、大分昔に何か、今の状況と似たようなことがあったような…?
しかし、頭を撫でていた手が離れていくと同時にその考えも霧散し、すぐに忘れてしまった。
「それじゃあ、今度こそ俺は行くよぉ。まったねぇ、委員長」
「あぁ、それではな」
今度こそ委員長と別れ、出口へ向かいながらポケットに入れておいたスマホを見ると、俺が目を覚ましてから既に10分以上経っていた。
あぁ…もう寝れないな
ぼんやりと、頭の片隅でそんなことを思った。
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