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第45話 (no side)
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〘noside〙
副会長と転入生が正門前を完全に立ち去った後。
門前近くに生えている、沢山の木々のうちの1本。
その上には複数の怪しい人影があった。
「フフ腐腐腐…って今頃笑ってるはずだったのにぃぃい!!」
「…王道じゃなくてアンチだったか。…チッ、アンチタヒね」
「非王道展開ktkr!!!!!ヒャッフー!!!」
三者三様と言えば聞こえはいいが、これはただのカオスである。
突然情緒不安定になる者。
まともかと思いきや、唐突に毒を吐く者。
シンプルに頭がオカシイ者。
これらは普段、親衛隊や周りの生徒にキャーキャーワーワー叫ばれている人種である。
上から順に、お姫さまみたいな可愛い系美少年、寡黙な騎士系イケメン、キラキラした王子様系イケメン。
3人はよく一緒にいることもあってか、ロイヤル3人組と呼ばれている。普通にイタいしダサい。唯一の救いは、そのことにこの3人が気付いていないことだろうか。
もし気付いてしまったら、間違いなく3人中2人は卒倒するだろう(脳内で)。そして恐らく、残りの1人は全く気にしないでいつも通り過ごすに違いない。
誰がどれかは、皆さんの想像にお任せしよう。
きっと、どれでも面白いことには違いないのだから。
さて、ロイヤル3人組(笑)の会話に戻ってみよう。
「もうなんなの!?やっと、やっっっと王道が見れると思ったのにさ……。これは酷すぎるよぉぉぉぉぉおお!!!!」
「うるせー。気持ちは解るが突然耳元で叫ぶな。ここから突き落としてやろうか」
「腐ォォォォ!!!!!!これはもしや副会長総受け展開ですかそれとも巻き込まれ平凡クン受けかッ!!?ハッ!もしかしたら夢の偽チャラ総受けが見れr─あbnhべvzx不pf8@ct?!?!?!」
「うっせーつってるだろうがっ!!」
ゴンッッ!!と、とてつもなく痛そうな音をたてて騎士系イケメン(以下騎士クン)に頭を殴られた王子様系イケメン(以下王子様)。
残念(笑)は、殴られた頭を撫でながら騎士クンを、涙を瞳いっぱいに溜めた恨めしそうな目で見上げた。
一方の騎士クン、想い人である残念(笑)に涙目の上目遣いで見られて、内心かなりタジタジである。普段から必死の思いで理性を保っているのだが、今回のは結構キたようだ。今すぐお持ち帰りしたいのを頑張って押し留めている。
そして、その光景を誰よりも近くで見ている可愛い系美少年(以下姫さん)はというと。
めっちゃ嬉しそうに、美味しくて新鮮な腐を摂取していた。一瞬たりとも見逃さまいと、ほぼ瞬きすらせずにじっと目に焼き付けている。
ここにカオスが再び爆誕していた。
先に戻ってきたのは騎士クンだった。
騎士クンは残念(笑)の頭を片手で抑えて、力づくで目線を下に向けさせた。
残念(笑)が色々文句を言っているが、華麗にスルーしている。
ふと思い至った騎士クンは、姫さんの方にそっと顔を向ける。
当の姫さんは、いたって真面目な表情で頷いたかと思うと、グッと親指を立てた。それはそれは、実にイイ笑顔で。
騎士クンはそれを見なかったことにした。
現実逃避とも言う。
「チッ…ほら、そろそろ行くぞ。いくら授業免除を勝ち取ってるとしても、授業受けるにこしたことはねぇからな」
「うん、そうだね…って、やばッ!!あと10分で1限目始まるじゃん!!そこの残念(笑)、そんなことしてないで早く行くよ!」
「好きでしてたわけじゃないのにwwテラヒドスwww……ん?というか残念(笑)って何?!残念(笑)って!!」
「反応するまでのタイムラグが長いね」
「…さっさと来い」
「はーい」
「ねぇ残念(笑)って流石に酷くないっ?!ってちょっ、置いてかないでー!!!」
慌ただしい音がしたかと思うと、それは瞬く間にどんどん遠くなり、すぐに聞こえなくなった。
後に残るのは、ただ風に吹かれてサワサワと葉を鳴らす木々と巨大な正門だけであった。
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