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幼少期
授業➅
しおりを挟む「ア、アンジュ?!」
思いっきり抱き着かれた兄様は、しっかり私を受け止めながらも更に顔を赤くして狼狽えてしまった。
「はぁぁ……ザライド兄様、なんでそんなにかわいいんですか?私を萌殺したいのですか?そうでしたら成功です私は瞬殺されましたもう兄様がかわいくて尊い…」
ついつい、前世ほのかだった時の影響で、限界ヲタクなマシンガントークをぶちまけてしまった。
あ、ヤバい。やってしまった。
兄様を見ると、私が言った事の意味が理解できないのか、それとも、突如双子の妹が意味不明な事を怒涛の如くぶちまけたという事実に呆気に取られているのか、ぽかんとしていた。
多分、いや絶対両方だろうな。
小さめな声で言ったせいからか、アルには聞こえてなかったみたいで、頭に「???」を浮かべながら微笑ましそうにニコニコ笑っている。
うん、アルはセーフだね。
「…?アンジュ、君がモエ?トウトイ?って言ってたような気がするけど、それってどういう意味なの?」
あぁうん、ごまかせそうだから兄様もセーフ、だよね?
「に、兄様、私はそんな言葉言ってませんよ」
「え、でも…何か言ってたような…」
「兄様の気の所為です」
「でも確かに聞いたような…」
「気の所為です」
「でもやっぱり…」
「気の所為です」
「本当に…?」
「はい、気の所為です」
私はとにかく、何とかごまかす為にすごく必死だった。
その熱意が女神様に届いたのか、最終的には兄様を無事ごまかす事に成功した。
よしっ、これで大丈夫だ。
私はようやく兄様から離れながら、内心ガッツポーズを決めた。
「…それでザライドは、何か魔力操作のコツを掴めたかい?」
「何となくで、だけど…」
「え!兄様すごいです!!」
あの説明で、何となくでもコツを掴めただなんて…。
妹は心の底から兄様を尊敬します。
「でも、それを言葉にするのは難しいな…。教えられなくてごめんね、アンジュ」
あぁ…兄様に教えて貰おうと思ったのに。
でもまぁ、それなら仕方ないか。
「強いて言うなら、魔力が身体を回っている感じがしたよ。でも、集めるのが難しくて…」
だからぐるぐるだったのか…。
というか兄様、それは結構いいヒントになると思います。
それにしても、魔力が身体を回っている、か…。
身体を回っているって事は、血液に魔力が含まれているのををイメージしたらいいのかもしれない。
集中する為に目を閉じ、血液と共に流れている魔力が少量だけ、右手でせき止められて溜まるのをイメージする。
すると、段々右手に魔力が集まっていく感覚がした。
目を開け右手を見ると、金色に輝くモヤモヤが球体になって浮かんでいた。
これは、もしかして成功と言えるのでは…?
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