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学園戦争の章《起》
第93話~戦線投入、序列1位~
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学園の大講堂に生徒達が招集されていた。
割天風が直々に登壇し話をするというのだ。
講堂には殆どの生徒と7人の師範が集結していた。
後醍院茉里は美濃口鏡子の後ろに並んで立っていた。
周りを見れば剣特の生徒の列に茜リリア、火箸燈、祝詩歩の姿もあった。
しかし、体特の生徒の列にはカンナも斑鳩も光希も蔦浜もいない。槍特の列には斉宮つかさの姿もない。
茉里が他の生徒に興味を示しているのを不思議に思ったのか、前に立っている鏡子が話し掛けてきた。
「千里がいないわ。茉里、何か知らない?」
「いえ、何も知りませんわ」
新居千里がいない事については茉里にも心当たりはなかった。カンナ達がいない理由とは別の理由だろうという事しか思い当たらない。
しばらくすると、割天風が講堂に入って来てゆっくりと壇上に上った。割天風の後ろに黒いローブを被った人物がピッタリと付いてきていた。さらにその後には医師の栄枝の姿があったが、栄枝は壇上には上らず師範達の隣へ移動すると腕を組んで割天風とローブを被った人物を眺めていた。
黒いローブを被った人物は割天風に比べると遥かに小柄で女性であるように思われた。
「鏡子さん、あの方は?」
「私が唯一この学園で勝てない生徒よ」
「それじゃあ、序列1位の!?」
茉里の言葉に周りの生徒達もざわついた。
「鏡子さん、序列1位って本当ですか!? 本当に存在してたんですか!?」
「鏡子さん、鏡子さん! 反逆者狩りなんかに序列1位が動くのでありますか!?」
茉里の背後から桜崎マリアとアリアの姉妹が声を掛けてきた。2人とも序列1位の生徒に興味津々である。
「静かにしていなさい、あなた達。全て総帥からお話があるわ」
鏡子は落ち着いた声で言った。桜崎姉妹は大人しく整列した。
「諸君、わざわざ集まって貰ったのは他でもない。反逆者制裁の件だ」
割天風は大きな声で予想通りの話を始めた。となりのローブの女はピクリとも動かない。ローブのせいで正面からでも良く顔が見えない。
「反逆者は掲示板に記したように、体術特待クラス、澄川カンナ、斑鳩爽、剣術特待クラス、畦地まりか、外園伽灼の4名。それに加え、先程報告があった体術特待クラス、篁光希、槍術特待クラス斉宮つかさの2名も追加となる」
茉里ははっとした。2人もばれたのか。出来るだけ、ここにいるリリア達とは目を合わせないようにした方が良さそうだ。
「現在村当番の和流馮景、瀬木泪周以外のここにいない生徒も反逆者とみなす」
その言葉に一同騒然とした。
新居千里がいない。あの女は反逆者ではない。関係ない。茉里が咄嗟に手を挙げて意見しようと思った時だった。前に立っていた鏡子が右手で茉里を止めた。
「総帥。ここに、弓特の新居千里がいませかんが、彼女は反逆者ではありません。ここにいないからという理由だけで反逆者扱いは如何なものかと」
鏡子の凛とした発言に場が静まり返った。
割天風は眉をピクリと動かし鏡子の方を見た。
「なんじゃ? 新居千里が反逆者ではないという証拠があるのか? 理由もなく、この場を欠席するような生徒じゃ。所詮はその程度。反逆者と見なしても差し支えあるまい。他にも何名か顔の見えない者もおるが、各寮長、鏡子のように何か意見があるなら申してみよ」
割天風の言葉に剣特の最前列にいた影清が口を開いた。
「剣特は異議はありません。この際剣特のメンバーを一新するのもありかもしれませんがね」
影清の発言にリリア達剣特の生徒達は一気に沈んだ様だった。
「体特は……寮長が反逆者。槍特はどうじゃ?」
割天風は講堂を見回し、3人しかいない体特の生徒をちらりと見ただけですぐに隣のローブの者に聞いた。
「異議なし」
その者が発言したことにより、そのローブの者が学園序列1位神髪瞬花だという事が、全生徒に知れ渡った。都市伝説が存在した事が証明された瞬間だった。
もちろん、場は騒然とした。ついに伝説の女が公の場に出て来たのだ。
「言い忘れたが、今回は事件の早期解決の為、この序列1位である、神髪瞬花を使う」
「あれが、神髪瞬花か」
影清が呟くのが聴こえた。序列4位の影清でさえ、見た事もなかった程の人物というわけだ。
「さて、師範諸君。そちらは御影臨美がいないようじゃが、異論はあるか?」
「待ってください! 総帥!」
栄枝が血相を変えて意見した。
「御影がいないのはここにいない生徒の診療をしているからとは考えられないでしょうか? もしかしたら、新居千里も具合が悪く医務室にいるのかもしれません」
栄枝は最もらしい意見で反論した。
「何を焦っておる栄枝。あの女は我々教員の中で一番後から入った新入りじゃろ。生徒達とも歳は近い。最も生徒達と親しかった女じゃ。反逆者の肩を持つ事があっても不思議はないじゃろ」
剣特師範の太刀川が冷酷に言い捨てた。栄枝は言葉を失い俯いた。
「重黒木も浮かない顔をしておるなぁ。まぁ、自分の教え子の上位2名が反逆者になってしまったんじゃ。それは辛いか。だがな、重黒木よ。お前の指導が足りないからこうなったとも言えなくはないぞ」
「仰る通りです。太刀川師範」
重黒木は素直に頭を下げた。
「栄枝先生の仰る通り、新居千里は医務室にいる可能性もあります。あの子が反逆者なわけがない。私は弓特の生徒達に誇りを持っています。弓特に反逆者は1人もおりません!」
鏡子の言葉が茉里の胸に突き刺さった。自分が反逆者である事を隠してここにいる事に対して罪悪感を感じずにはいられなかった。
鏡子が宣言したので他の生徒達も鏡子を見た。リリア、燈、詩歩の3人は鏡子を見ながら茉里の事も見ていた。リリアと目が合った。しかし、目を逸らしてしまった。
「お前がそこまで言うのなら、信じよう。しかし、分かっているな鏡子。もし、弓特から反逆者が出たら、その時は自らの手でその反逆者を処断せよ。そして」
「私の首も差し出しましょう」
誰1人口を開かなかった。ただ割天風が頷いただけだ。
割天風はまた講堂を見回した。
「良いか、弓特以外の生徒でここにいない者は村当番を除いて皆反逆者とみなす。まずはお主らで手分けして探せ! 見付けたら拘束し儂の元へ連行。暴れるようならその場で殺して構わぬ。援護が必要なら招集用の角笛を吹け。角笛の音を聴いた者は速やかに援護に迎え。授業は反逆者を全員処断するまでは行わぬ」
全員が一斉に返事をした。徹底的に統率が取れている様子に茉里は少し寒気がした。
各自が講堂から出て反逆者の搜索に向かう中、鏡子が話し掛けてきた。
「茉里、あなたは千里を探して私の所へ連れて来なさい」
「はい。畏まりました」
「どうかしたの? 元気がないわね、珍しい」
「澄川さんは共に闘った戦友ですから」
鏡子の目付きが変わった。
「あなたの事だから大丈夫だと思うけど、同情しちゃ駄目よ」
「勿論です。ご心配には及びませんわ」
茉里は一礼すると講堂を後にした。
「千里、どうしたんですかね? 鏡子さん」
「反逆者に捕まってるって可能性はありませんか?」
マリアとアリアは心配そうに言った。
「なくはないわね。反逆者は皆上位序列だし。でも、私は俄には信じられないわ。澄川カンナが反逆者だなんて。それに、瞬花まで出すなんて」
鏡子は壇上に割天風と立っていたローブで顔も見えない女を見た。
鳥肌が立った。
顔は見えないがこちらを見たような気がした。
「鏡子よ、久しぶりの再開じゃろ? 挨拶でもしたらどうじゃ?」
割天風は壇上から恐怖に顔が引き攣っていた鏡子に話し掛けた。
まだ退出していない弓特の生徒達は全員鏡子を見た。
「その子。挨拶どころか、会話出来ないじゃないですか」
割天風は鏡子の皮肉を鼻で笑うとローブの女を連れ壇上から降りていき講堂を出て行った。それに続き師範達も退出した。
鏡子はしばらくその場で何か考えていたが、マリアに話し掛けられるとようやく講堂を出て行った。
割天風が直々に登壇し話をするというのだ。
講堂には殆どの生徒と7人の師範が集結していた。
後醍院茉里は美濃口鏡子の後ろに並んで立っていた。
周りを見れば剣特の生徒の列に茜リリア、火箸燈、祝詩歩の姿もあった。
しかし、体特の生徒の列にはカンナも斑鳩も光希も蔦浜もいない。槍特の列には斉宮つかさの姿もない。
茉里が他の生徒に興味を示しているのを不思議に思ったのか、前に立っている鏡子が話し掛けてきた。
「千里がいないわ。茉里、何か知らない?」
「いえ、何も知りませんわ」
新居千里がいない事については茉里にも心当たりはなかった。カンナ達がいない理由とは別の理由だろうという事しか思い当たらない。
しばらくすると、割天風が講堂に入って来てゆっくりと壇上に上った。割天風の後ろに黒いローブを被った人物がピッタリと付いてきていた。さらにその後には医師の栄枝の姿があったが、栄枝は壇上には上らず師範達の隣へ移動すると腕を組んで割天風とローブを被った人物を眺めていた。
黒いローブを被った人物は割天風に比べると遥かに小柄で女性であるように思われた。
「鏡子さん、あの方は?」
「私が唯一この学園で勝てない生徒よ」
「それじゃあ、序列1位の!?」
茉里の言葉に周りの生徒達もざわついた。
「鏡子さん、序列1位って本当ですか!? 本当に存在してたんですか!?」
「鏡子さん、鏡子さん! 反逆者狩りなんかに序列1位が動くのでありますか!?」
茉里の背後から桜崎マリアとアリアの姉妹が声を掛けてきた。2人とも序列1位の生徒に興味津々である。
「静かにしていなさい、あなた達。全て総帥からお話があるわ」
鏡子は落ち着いた声で言った。桜崎姉妹は大人しく整列した。
「諸君、わざわざ集まって貰ったのは他でもない。反逆者制裁の件だ」
割天風は大きな声で予想通りの話を始めた。となりのローブの女はピクリとも動かない。ローブのせいで正面からでも良く顔が見えない。
「反逆者は掲示板に記したように、体術特待クラス、澄川カンナ、斑鳩爽、剣術特待クラス、畦地まりか、外園伽灼の4名。それに加え、先程報告があった体術特待クラス、篁光希、槍術特待クラス斉宮つかさの2名も追加となる」
茉里ははっとした。2人もばれたのか。出来るだけ、ここにいるリリア達とは目を合わせないようにした方が良さそうだ。
「現在村当番の和流馮景、瀬木泪周以外のここにいない生徒も反逆者とみなす」
その言葉に一同騒然とした。
新居千里がいない。あの女は反逆者ではない。関係ない。茉里が咄嗟に手を挙げて意見しようと思った時だった。前に立っていた鏡子が右手で茉里を止めた。
「総帥。ここに、弓特の新居千里がいませかんが、彼女は反逆者ではありません。ここにいないからという理由だけで反逆者扱いは如何なものかと」
鏡子の凛とした発言に場が静まり返った。
割天風は眉をピクリと動かし鏡子の方を見た。
「なんじゃ? 新居千里が反逆者ではないという証拠があるのか? 理由もなく、この場を欠席するような生徒じゃ。所詮はその程度。反逆者と見なしても差し支えあるまい。他にも何名か顔の見えない者もおるが、各寮長、鏡子のように何か意見があるなら申してみよ」
割天風の言葉に剣特の最前列にいた影清が口を開いた。
「剣特は異議はありません。この際剣特のメンバーを一新するのもありかもしれませんがね」
影清の発言にリリア達剣特の生徒達は一気に沈んだ様だった。
「体特は……寮長が反逆者。槍特はどうじゃ?」
割天風は講堂を見回し、3人しかいない体特の生徒をちらりと見ただけですぐに隣のローブの者に聞いた。
「異議なし」
その者が発言したことにより、そのローブの者が学園序列1位神髪瞬花だという事が、全生徒に知れ渡った。都市伝説が存在した事が証明された瞬間だった。
もちろん、場は騒然とした。ついに伝説の女が公の場に出て来たのだ。
「言い忘れたが、今回は事件の早期解決の為、この序列1位である、神髪瞬花を使う」
「あれが、神髪瞬花か」
影清が呟くのが聴こえた。序列4位の影清でさえ、見た事もなかった程の人物というわけだ。
「さて、師範諸君。そちらは御影臨美がいないようじゃが、異論はあるか?」
「待ってください! 総帥!」
栄枝が血相を変えて意見した。
「御影がいないのはここにいない生徒の診療をしているからとは考えられないでしょうか? もしかしたら、新居千里も具合が悪く医務室にいるのかもしれません」
栄枝は最もらしい意見で反論した。
「何を焦っておる栄枝。あの女は我々教員の中で一番後から入った新入りじゃろ。生徒達とも歳は近い。最も生徒達と親しかった女じゃ。反逆者の肩を持つ事があっても不思議はないじゃろ」
剣特師範の太刀川が冷酷に言い捨てた。栄枝は言葉を失い俯いた。
「重黒木も浮かない顔をしておるなぁ。まぁ、自分の教え子の上位2名が反逆者になってしまったんじゃ。それは辛いか。だがな、重黒木よ。お前の指導が足りないからこうなったとも言えなくはないぞ」
「仰る通りです。太刀川師範」
重黒木は素直に頭を下げた。
「栄枝先生の仰る通り、新居千里は医務室にいる可能性もあります。あの子が反逆者なわけがない。私は弓特の生徒達に誇りを持っています。弓特に反逆者は1人もおりません!」
鏡子の言葉が茉里の胸に突き刺さった。自分が反逆者である事を隠してここにいる事に対して罪悪感を感じずにはいられなかった。
鏡子が宣言したので他の生徒達も鏡子を見た。リリア、燈、詩歩の3人は鏡子を見ながら茉里の事も見ていた。リリアと目が合った。しかし、目を逸らしてしまった。
「お前がそこまで言うのなら、信じよう。しかし、分かっているな鏡子。もし、弓特から反逆者が出たら、その時は自らの手でその反逆者を処断せよ。そして」
「私の首も差し出しましょう」
誰1人口を開かなかった。ただ割天風が頷いただけだ。
割天風はまた講堂を見回した。
「良いか、弓特以外の生徒でここにいない者は村当番を除いて皆反逆者とみなす。まずはお主らで手分けして探せ! 見付けたら拘束し儂の元へ連行。暴れるようならその場で殺して構わぬ。援護が必要なら招集用の角笛を吹け。角笛の音を聴いた者は速やかに援護に迎え。授業は反逆者を全員処断するまでは行わぬ」
全員が一斉に返事をした。徹底的に統率が取れている様子に茉里は少し寒気がした。
各自が講堂から出て反逆者の搜索に向かう中、鏡子が話し掛けてきた。
「茉里、あなたは千里を探して私の所へ連れて来なさい」
「はい。畏まりました」
「どうかしたの? 元気がないわね、珍しい」
「澄川さんは共に闘った戦友ですから」
鏡子の目付きが変わった。
「あなたの事だから大丈夫だと思うけど、同情しちゃ駄目よ」
「勿論です。ご心配には及びませんわ」
茉里は一礼すると講堂を後にした。
「千里、どうしたんですかね? 鏡子さん」
「反逆者に捕まってるって可能性はありませんか?」
マリアとアリアは心配そうに言った。
「なくはないわね。反逆者は皆上位序列だし。でも、私は俄には信じられないわ。澄川カンナが反逆者だなんて。それに、瞬花まで出すなんて」
鏡子は壇上に割天風と立っていたローブで顔も見えない女を見た。
鳥肌が立った。
顔は見えないがこちらを見たような気がした。
「鏡子よ、久しぶりの再開じゃろ? 挨拶でもしたらどうじゃ?」
割天風は壇上から恐怖に顔が引き攣っていた鏡子に話し掛けた。
まだ退出していない弓特の生徒達は全員鏡子を見た。
「その子。挨拶どころか、会話出来ないじゃないですか」
割天風は鏡子の皮肉を鼻で笑うとローブの女を連れ壇上から降りていき講堂を出て行った。それに続き師範達も退出した。
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