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第1話 「発現」
しおりを挟む彼は、漆黒の色に焦げたコンクリートの上にたち、彼の目の前に広がる炎を眺めていた。彼は前からクルデーレ研究所の警備隊が迫って来ていることを察知した。
「8人…いや10人か?」
ここで炎の能力を出して、警備隊を倒そうと考えるが、まだ炎の能力は発現したばかりで、あの炎の竜巻で能力を使いきってしまったのだ。
彼は、その炎に焼かれて溶けていった仲間を思い、死ぬ決意をしていた。
「俺が、殺してしまったのか…」
警備隊がドアを開け、銃を向けた刹那
上空から半魚人が現れ、警備隊に向けて腕を振り、爪から硫酸の雨を浴びせた。警備隊の体はドロリと溶けて、阿鼻叫喚をあげながら蠢いている。
「オイオイオイいくら能力なくなったからって何もしないはないだろ?体術で撃退しろよ?実技トレーニングで教わったじゃねえか」
半魚人のヴェノムはその姿に似合わぬフランクな口調で、鋼鉄のサイボーグのパイロに話しかけていた。
「ヴェノム、お前も見ただろ?俺の仲間が、実験によって、苦しめられていた所を!?それで、俺、何か、もう怒りでいっぱいになって、気がついたら…」
「パイロ、もうよせ。自分を責めるのはやめろよ。
それより、俺たちをこんなメチャメチャにして苦しめやがったやつらをとっちめてやろうぜ」
そうして二人は燃えていく研究所を後にした。
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