甘×恋クレイジーズ

枕崎 純之助

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第二章 クレイジー・パーティー・イン・ホスピタル

第24話 静けさを取り戻した病院で

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「ああ。もしもし。八重子やえこか。今終わったぞ。ああ。無事だ」

 新宮しんぐう総合病院の入口の前では甘太郎あまたろうがケータイで八重子やえこへと仕事の結果報告を行っていた。
 甘太郎あまたろうとなりには恋華れんかの姿があり、こちらもケータイを操作しながら米国のカントルム本部へ任務の報告を行っていた。
 彼らの目の前では他の病院から急行した救急車数台の他に、パトカーも数台が集まってきていた。
 それらは全て赤色灯せきしょくとうともすこともサイレンの音を鳴らすこともなく静かにこの場所へ急行した。
 この場にいる救急隊員、警官らは全員、霊的な事件に精通した特殊とくしゅな人員であり、恋華れんか甘太郎あまたろうには事情を聞くだけで、必要以上の詮索せんさくはしてこなかった。

 院内中を巻き込んだ騒動そうどうは終結した。
 結果として、この夜に総合病院の病棟びょうとうにいた全二百余名は全員が感染者となっていた。
 彼らはみな恋華れんかによって修正プログラムをほどこされ、一人残らず正常化を果たした。
 今はみなまだ意識を失ったままだが、目覚めれば元の人格を取り戻すだろう。
 恋華れんかはケータイの操作を終えると、同じく電話を終えた甘太郎あまたろうと目を合わせてに落ちない表情で言った。

「ワケが分からない状況ね」

 階段フロアにおいて闇穴やみあなに吸い込まれた他の感染者らは、再び姿を現した時にはすでに修正プログラムがほどこされ、正常化を果たしていた。
 恋華れんかが彼らを直接修正していないにも関わらずである。
 そしてそれはこの事件の主犯格とおぼしき氷上ひかみ恭一きょういちにも同様のことが言えた。 
 この病院の新任で脳外科医のうげかい氷上ひかみは、甘太郎あまたろう穿うがった闇穴やみあなの中に引きずり込まれ、再び姿を現したときには意識を失っていた。
 すぐに恋華れんかが霊具【スクルタートル】を使って氷上ひかみを検知したところ、その体内からはすでに不正プログラムの痕跡こんせきは失われていた。
 甘太郎あまたろうらの背後で救急車数台が走り去っていく。

「ケガのひどい人が出なくてよかった」

 救急車を見送りながら恋華れんか安堵あんどの言葉を口にする。
 今回の一件で死者は一人も出なかった。
 新宮しんぐう総合病院はすでに医療機関としての機能を停止させているため、感染していた人々の中で比較的ひかくてきケガの具合が重い人を優先的に他の病院に移送するのだ。
 そして氷上ひかみを乗せたパトカーは前後を同じパトカーに守られて走り去っていく。

氷上ひかみって奴も結局は敵の手駒てごまだったってことか」
 
 甘太郎あまたろはそうつぶやきをらした。
 事件は一件落着したかに見えたが、恋華れんか甘太郎あまたろうはまだ厳しい顔つきのままだ。 
 結果として、氷上ひかみ恋華れんかが追っていた敵の一味の一人でしかなかったのだ。
 目標である本当の黒幕くろまくにはまだ手がとどかない。
 それでも氷上ひかみという重要な手がかりとなる人物を捕らえたことは決して無駄むだではなかった。
 氷上ひかみ身柄みがらは日本の警察けいさつにおける専門部署に預けられ、彼を取り調べるために米国のカントルムより派遣はけんされる専門家の到着を待つこととなる。
 恋華れんか甘太郎あまたろうは次の一手を打つべく、今宵こよい騒乱そうらんの舞台となった病院を後にするのだった。
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