24 / 91
第二章 闇の魔女ミランダ
第10話 大激怒! ケンカ上等!
しおりを挟む
「あのケモノ女ぁぁぁぁぁぁ!」
ミランダは怒りの声を上げるとドンッとテーブルの上に乗っかってモニターを睨みつける。
ちょ……やばいぞ。
「お、落ち着いて。ミランダ」
「どきなさい! アルッ! 売られたケンカは買ってやる!」
僕はミランダを落ち着かせようとしたけど、彼女はもう怒りのスイッチが入ってしまったみたいで、歯をむき出しにして吼えるような声を上げた。
爆弾鳥の爆風によって傷ついた彼女の額にはわずかに血が滲んでいたけれど、怒りに興奮する彼女はそんな傷の痛みすら感じていないようだった。
さらにまずいことに騒ぎを聞きつけた店員さんたちが駆け寄ってくる。
「お客様! おケガはございませんか?」
ミランダはそんな店員さんたちを見下ろすと、怒りで歪んだ笑みをその顔に浮かべ、テーブルの上にしゃがみ込む。
「おケガですって? この私が? ククク……」
彼女は喉を鳴らして笑うと、壊れたメガネを拾い上げてそれを自分のアイテム・ストックにしまい込んだ。
そして再び立ち上がり、怒りをふりまくように店員さんたちを怒鳴りつける。
「そんなもんあるわけないでしょ! 私を誰だと思ってんの!」
ゲッ!
ミ、ミランダ?
ちょ、ちょっと待っ……。
ミランダは僕の制止を振り切ると、怒りのままに町娘風の装備を解除して、本来の彼女の装いである深闇の黒衣を装備してしまった。
途端に彼女の雰囲気がガラリと変わり、いつもの迫力満点の魔女ミランダがその場の雰囲気すらもガラリと変えてしまう。
凶悪無比と謳われた魔女の姿を間近で見た女性店員さんが、腰を抜かしたようにその場にへたり込んだ。
「や、闇の魔女……ミランダ」
すっかり怯えて呻くようにそう声を絞り出す女性店員さんを見下ろすと、ミランダは不機嫌さを隠そうともせず、とうとう禁断のセリフを口にしてしまった。
「ええそうよ。我こそは……我こそは闇の魔女・ミランダ! この砂漠の街を砂と塵になるまで滅ぼしてやる!」
……あちゃあ。
ミランダが完全にボス・モードになっちゃった。
必死に正体を隠してた今までの努力が水の泡だ。
「ミランダだ……」
「あれが闇の魔女か」
「襲撃は明日なのにどうして?」
その場にいた他のお客さんたちからもどよめきの声が上がり始め、店内はざわめきに包まれた。
そんなことはお構いなしにミランダはモニターを睨みつけると、画面上の双子を指差して怒声を上げる。
「そこの双子! どうせすぐ近くにいるんでしょ? だったらここでケンカの第2ラウンドといこうじゃないの。二度と私にちょっかい出せないよう、前以上にコテンパンにしてやるわ! さっさと出て来なさいっ!」
こうなるともうミランダは止まらない。
僕も腹を据えた。
メインシステムを呼び出して装備している兜をアイテムストックに戻すと、呪いの蛇剣・タリオを握り締めた。
僕もミランダと一緒に戦うしかない。
そして念のため、今は遠く離れているジェネットに緊急事態発生のメールを送っておいた。
モニターの中では双子が互いに目配せをしてニヤリと笑っている。
僕は直感した。
ミランダの言ったことは本当みたいだ。
あの2人はどこかからミランダを監視していたんだ。
お忍びでこの街を歩き回るミランダを。
「おまえがこっちに出向くんだよ。アタシたちはおまえの足の下にいるんだからなぁ」
「何ですって?」
キーラの言葉に眉根を寄せて、ミランダは下を向いた。
すると彼女が乗っているテーブルの表面に、緑色に輝く円形の不思議な魔法陣が出現したんだ。
そして一瞬にして、足元の魔法陣にミランダが吸い込まれていく。
「ミ、ミランダッ!」
僕は慌ててミランダを引き留めようとその魔法陣に向かって身を投げ出したけど、ミランダはあっという間に消えてしまって間に合わなかった。
そして魔法陣もすぐに消えてしまった。
そ、そんな……。
テーブルに突っ伏した僕はすぐに顔を上げると、モニターの中の双子を睨みつけて精一杯の怒鳴り声を上げた。
「ミランダをどこにやったんだ!」
すると双子が映るモニターが別の画面に切り替わる。
そこはどこかの地下空洞のようで、その中に一人、ミランダが立っていた。
「ミランダ!」
僕は声を上げた。
彼女が立っている広い場所はゴツゴツとした岩肌の地面であり、その背後には透き通った水面が広がっていた。
すると画面はそのままでキーラの声が鳴り響く。
『そこはこのジェルスレイムの地下に広がる地底湖だ。そこなら広さも十分だし誰にも邪魔されずにやり合えるぜ』
その声はミランダにも聞こえているようで、画面の中で彼女は不機嫌そうに腕組みをしたまま言い放つ。
『あっそ。いいからさっさと降りてきなさい。今度は泣きながら土下座させてあげる』
ミランダは怒ってはいるけれど、決して臆したり気負ったりはしていなかった。
いつもの彼女だ。
だけど僕は不安を覚えた。
あそこは敵が用意した敵の舞台だ。
どんな罠が仕掛けられているか分からないぞ。
あの双子の狡猾さを前にして絶対に油断は禁物だった。
『相変わらず威勢のいいことだな。けどおまえの相手をするのはアタシらじゃねえよ』
キーラがそう言うやいなや、ミランダの前方10数メートルのところにさっきと同じ魔法陣が現れ、そこから一人のキャラクターが出現した。
その姿を見て僕は信じられない思いで声を漏らした。
そ、そんな……。
「ア……アリアナ」
そう。
ミランダの対戦相手として地底湖に現れたのは双子ではなく、あろうことか魔道拳士アリアナだったんだ。
ミランダは怒りの声を上げるとドンッとテーブルの上に乗っかってモニターを睨みつける。
ちょ……やばいぞ。
「お、落ち着いて。ミランダ」
「どきなさい! アルッ! 売られたケンカは買ってやる!」
僕はミランダを落ち着かせようとしたけど、彼女はもう怒りのスイッチが入ってしまったみたいで、歯をむき出しにして吼えるような声を上げた。
爆弾鳥の爆風によって傷ついた彼女の額にはわずかに血が滲んでいたけれど、怒りに興奮する彼女はそんな傷の痛みすら感じていないようだった。
さらにまずいことに騒ぎを聞きつけた店員さんたちが駆け寄ってくる。
「お客様! おケガはございませんか?」
ミランダはそんな店員さんたちを見下ろすと、怒りで歪んだ笑みをその顔に浮かべ、テーブルの上にしゃがみ込む。
「おケガですって? この私が? ククク……」
彼女は喉を鳴らして笑うと、壊れたメガネを拾い上げてそれを自分のアイテム・ストックにしまい込んだ。
そして再び立ち上がり、怒りをふりまくように店員さんたちを怒鳴りつける。
「そんなもんあるわけないでしょ! 私を誰だと思ってんの!」
ゲッ!
ミ、ミランダ?
ちょ、ちょっと待っ……。
ミランダは僕の制止を振り切ると、怒りのままに町娘風の装備を解除して、本来の彼女の装いである深闇の黒衣を装備してしまった。
途端に彼女の雰囲気がガラリと変わり、いつもの迫力満点の魔女ミランダがその場の雰囲気すらもガラリと変えてしまう。
凶悪無比と謳われた魔女の姿を間近で見た女性店員さんが、腰を抜かしたようにその場にへたり込んだ。
「や、闇の魔女……ミランダ」
すっかり怯えて呻くようにそう声を絞り出す女性店員さんを見下ろすと、ミランダは不機嫌さを隠そうともせず、とうとう禁断のセリフを口にしてしまった。
「ええそうよ。我こそは……我こそは闇の魔女・ミランダ! この砂漠の街を砂と塵になるまで滅ぼしてやる!」
……あちゃあ。
ミランダが完全にボス・モードになっちゃった。
必死に正体を隠してた今までの努力が水の泡だ。
「ミランダだ……」
「あれが闇の魔女か」
「襲撃は明日なのにどうして?」
その場にいた他のお客さんたちからもどよめきの声が上がり始め、店内はざわめきに包まれた。
そんなことはお構いなしにミランダはモニターを睨みつけると、画面上の双子を指差して怒声を上げる。
「そこの双子! どうせすぐ近くにいるんでしょ? だったらここでケンカの第2ラウンドといこうじゃないの。二度と私にちょっかい出せないよう、前以上にコテンパンにしてやるわ! さっさと出て来なさいっ!」
こうなるともうミランダは止まらない。
僕も腹を据えた。
メインシステムを呼び出して装備している兜をアイテムストックに戻すと、呪いの蛇剣・タリオを握り締めた。
僕もミランダと一緒に戦うしかない。
そして念のため、今は遠く離れているジェネットに緊急事態発生のメールを送っておいた。
モニターの中では双子が互いに目配せをしてニヤリと笑っている。
僕は直感した。
ミランダの言ったことは本当みたいだ。
あの2人はどこかからミランダを監視していたんだ。
お忍びでこの街を歩き回るミランダを。
「おまえがこっちに出向くんだよ。アタシたちはおまえの足の下にいるんだからなぁ」
「何ですって?」
キーラの言葉に眉根を寄せて、ミランダは下を向いた。
すると彼女が乗っているテーブルの表面に、緑色に輝く円形の不思議な魔法陣が出現したんだ。
そして一瞬にして、足元の魔法陣にミランダが吸い込まれていく。
「ミ、ミランダッ!」
僕は慌ててミランダを引き留めようとその魔法陣に向かって身を投げ出したけど、ミランダはあっという間に消えてしまって間に合わなかった。
そして魔法陣もすぐに消えてしまった。
そ、そんな……。
テーブルに突っ伏した僕はすぐに顔を上げると、モニターの中の双子を睨みつけて精一杯の怒鳴り声を上げた。
「ミランダをどこにやったんだ!」
すると双子が映るモニターが別の画面に切り替わる。
そこはどこかの地下空洞のようで、その中に一人、ミランダが立っていた。
「ミランダ!」
僕は声を上げた。
彼女が立っている広い場所はゴツゴツとした岩肌の地面であり、その背後には透き通った水面が広がっていた。
すると画面はそのままでキーラの声が鳴り響く。
『そこはこのジェルスレイムの地下に広がる地底湖だ。そこなら広さも十分だし誰にも邪魔されずにやり合えるぜ』
その声はミランダにも聞こえているようで、画面の中で彼女は不機嫌そうに腕組みをしたまま言い放つ。
『あっそ。いいからさっさと降りてきなさい。今度は泣きながら土下座させてあげる』
ミランダは怒ってはいるけれど、決して臆したり気負ったりはしていなかった。
いつもの彼女だ。
だけど僕は不安を覚えた。
あそこは敵が用意した敵の舞台だ。
どんな罠が仕掛けられているか分からないぞ。
あの双子の狡猾さを前にして絶対に油断は禁物だった。
『相変わらず威勢のいいことだな。けどおまえの相手をするのはアタシらじゃねえよ』
キーラがそう言うやいなや、ミランダの前方10数メートルのところにさっきと同じ魔法陣が現れ、そこから一人のキャラクターが出現した。
その姿を見て僕は信じられない思いで声を漏らした。
そ、そんな……。
「ア……アリアナ」
そう。
ミランダの対戦相手として地底湖に現れたのは双子ではなく、あろうことか魔道拳士アリアナだったんだ。
0
あなたにおすすめの小説
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません
しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」
――それは私を縛る呪いの言葉だった。
家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。
痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。
でも、、そんな私、私じゃない!!
―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。
「私の人生に、おかえりなさい。」
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
黄金の魔族姫
風和ふわ
恋愛
「エレナ・フィンスターニス! お前との婚約を今ここで破棄する! そして今から僕の婚約者はこの現聖女のレイナ・リュミエミルだ!」
「エレナ様、婚約者と神の寵愛をもらっちゃってごめんね? 譲ってくれて本当にありがとう!」
とある出来事をきっかけに聖女の恩恵を受けれなくなったエレナは「罪人の元聖女」として婚約者の王太子にも婚約破棄され、処刑された──はずだった!
──え!? どうして魔王が私を助けてくれるの!? しかも娘になれだって!?
これは、婚約破棄された元聖女が人外魔王(※実はとっても優しい)の娘になって、チートな治癒魔法を極めたり、地味で落ちこぼれと馬鹿にされていたはずの王太子(※実は超絶美形)と恋に落ちたりして、周りに愛されながら幸せになっていくお話です。
──え? 婚約破棄を取り消したい? もう一度やり直そう? もう想い人がいるので無理です!
※拙作「皆さん、紹介します。こちら私を溺愛するパパの“魔王”です!」のリメイク版。
※表紙は自作ではありません。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
感情の贈与税 〜光の加護より、確かな契約。没落令嬢による国家再生録〜
しょくぱん
恋愛
「君のような地味な女、僕の隣にふさわしくない」
魔王軍を討伐し、凱旋した公爵令息カシアンが放ったのは、婚約者エレナへの冷酷な決別だった。
彼の傍らには、可憐な「救国の聖女」レティシア。
だがカシアンは忘れていた。彼の眩い金髪も、魔王を圧倒した剣技も、すべてはエレナが十年間「愛の贈与」として捧げ続けた魔力の賜物であることを。
「……承知いたしました。では、滞納分を含め、全魔力を今この場で『徴収』いたします」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる