異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

文字の大きさ
112 / 152
第7章

第9話 処刑

しおりを挟む
 俺は吊るされている。
 高さは大体、二十メートルくらいあるのではないだろうか。
 宙に吊るされているため、足がどこかに乗っているような感触はもちろん無い。
 怖すぎて、今にも発狂しそうだ。
 まぁ、吊るされた直後は発狂し続けていたんだけれど。
 吊るされながら、色々なことを考えてしまう。
 例えば、どうやって殺されるのかと思うと、それにって恐怖で死にそうだ。
 首をこのまま吊られるのだろうか……とか、この高さから落とされて死ぬのかな……とか、吊られていて見えない後ろから兵士達に刺されて死ぬのだろうか。
 色々と悪いことが過ぎる。
 すると、バカでかい音で何かのアナウンスが入る。

『これより、一時間後。罪人の処刑を行う。罪を犯したものはこうなる。目に焼き付けとけ。繰り返す……』

 一時間後。と、いうアナウンスが流れると俺に見えるようにしている、嫌味なのか、時計台にある時計が見える位置に回転している。
 はぁ? 何だよ、この馬鹿げた国はよ。
 ……てか、死刑? 一時間後!?
 今回ばかりは、復活とかそういう問題じゃないだろう。
 何といっても、こんなに大きく公開されていて生き返るなんて、どう考えてもおかしいからな。

 あぁ。もう! どうすんだよ!
 恐怖で震えが止まんねぇし。てか、俺が何したってんだよ。

「離せよ!! クソが!!」

 怖さを振り払うために叫ぶ。
 俺は叫び続けたが何も起こらない。

 十分。また、十分。と、刻一刻と過ぎていく。
 残り三十分になると、下に豆粒のような人がたくさん現れ始める。
 下のざわめきが小さいながらに聞こえてくる。
 嘲笑っているのか、それとも悲しい目で見てきているのか分からないが、いずれにしろ腹が立つ。
 人が集まってきてから、また叫ぶ。

「クソが!! この国は腐ってんぞ! 俺が何したって言うんだ!!」

 周りが更にざわめき始める。
 他の住民も同じことを思い、助けてくれればいいのだが……。
 すると、下の方から声が聞こえる。
 叫んでいるのか、両手を口に当てているように見える。

「うっせぇぞ! 逆らった、お前が悪いんだ!! 国を馬鹿にするな!!」

 はぁ? お前らだって、おかしいと思わないのか? 貴族みたいな奴らだけ、楽な生活してんだぞ?
 だが、そいつと同じ意見のやつがほとんどらしく。「そうだそうだ!」という声や「大人しく死ね」という声まで聞こえてくる。

 ……どうやら、俺の思いは届かなかったみたいだ。
 サン・チュ、エミリー、ごめんな。
 陽葵さんに学や翼……。この世界で会い、助けてくれた人、全員に謝りたい。
 俺はこんなところで死んでしまうからだ。それも、自分が不注意だったせいで。

 そして、諦めて俯いていると下の方で何かが起きていることに気づく。
 鎧を着た、何かが兵士達を次々に倒していたのだ。
 そして、一人たりとも血を流させることは無かった。
 あの強さは遠くから見ても誰か分かる。確実にエミリーだ。

 ……ありがとな。

 そして、下の住民達がいる方で誰かが高い台に立っている。
 すると、声が聞こえてくる。

「あの人が吊るされるのはおかしいと思いませんか?」

 マイク越しに話しているのが分かる。
 この声は確実にサン・チュだ。

 ……助けてくれてるのに俺が諦めていいのか?

「おい! 話を聞け! 俺はこの街のおかしな状況を救うために質問をしただけだ!
 何かバレたくない情報があったのかは知らないが処刑されてしまう!
 おかしいだろ! この国の『クソ貴族共』が!」

 ……下からは抗議の声も聞こえたが「確かに……」と、言うような声も徐々に聞こえ始める。
 処刑まで残り五分。
 頼む……! 間に合ってくれ!

「処刑の前に話を聞かせろ!」

 等、町人の不満の声が聞こえ始めるが時間は残り二分。
 ……間に合わないのか?
 絶対にこんなところで死にたくねぇんだよ!

「クソ貴族が! 人の話を少しは聞けぇぇぇぇ!!!」

 俺は最後の抵抗をするように叫び続ける。
 すると、後ろから足音が聞こえてきた。

 トン。トン。トン。

 後ろの確認は出来ないが恐らく、処刑官だろう。

「さっきから聞いていればクソ。クソ。クソ。お前こそふざけんなよ? 罪人が!」

 マイク越しでそんなことを叫ぶ。
 失言だな。馬鹿め。
 町人の不満は大爆発。

「ふざけんな!」や、「理由を話せ!」など、様々な声が一斉に上がる。

「お前ら町人も付け上がったもんだなぁ。まとめてぶっ殺すぞ?」

 町人達は静まり返るように、しーん。と、黙る。

「ここまで来て、独裁主義者に負けんのかよ! 絶対に嫌だぞ!」
「さぁさぁ。残り一分となりました。お前らもしっかり見とけよ。この高さから落とされる人間の末路を!」
「……うっせー! まだ、助かるかもしんねーだろ!」
「ごちゃごちゃとうるさいな。大人しく死ね!」

 と、背中を思いっきり叩かれる。
 赤く腫れ上がっているだろう。かなりの威力だ。
 だが、死ぬとなれば、そんなことを気にしている場合ではない。
 抵抗をし続ける。

「うるせーな。後、十秒で殺してやんだから待てよ」

 ……もうおしまいか。
 頭で時間を数えたくもないのに数えてしまう。

 五、四、三、二、一……。

「死ねぇぇぇぇ!」

 俺を括りつけていた物が斬られる音がする。
 この高さから落ちるとなると、死ぬとか、そんなことは考えられなかった。
 恐怖で何も言えなかった。
 俺はただ目を閉じた。

 バッ

 上から落ちていく感覚が無くなる。

 ……死んだのか?

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜

2nd kanta
ファンタジー
 愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。  人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。 そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。 しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...