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しおりを挟む「アンズ、目を開けて」
「あぇ……?」
「僕たちが出逢った場所だよ」
“シンデン”から転移したようだ。天使族は時空を飛び越えて移動することが可能だ。トワの指示通り、ゆっくりと目を開ける。
すると目の前に光の粒が集まったかと思えば、パッと周りの物体が形成された。
「…ここは……」
俺たちは宇宙に浮かぶ艦船のコックピットにいた。俺の職場だ。周りには誰もいない。否、恐らく誰かしら居たんだろうが、この天使が追い出したんだろう。
「懐かしいね。アンズは弱った僕を救ってくれた。人類にとって天使は憎い存在だろうに。……アンズは周囲の反対を押し切って、僕を助けてくれた……」
俺はトワに横抱きにされてる。トワは懐かしむようにそう言って、抱く力を強めた。
「……」
俺はそんな大したことをしたつもりはない。当時、この飛行型軍用艦船は実技訓練用戦闘機を運ぶ輸送艦として飛行していた。そんなある日、目の前に降ってきたのがトワだった。どこかで戦闘してきたんだろう。トワの翼は灰色に濁りボロボロだった。乗組員と学生は皆、『天使だ! 撃て!』と叫んだ。大戦直後の憎しみからか、誰一人としてトワを助けようとしなかったのだ。
「…あの時、僕はこの船を破壊するつもりだったよ。弱ってたとはいえ、こんな船とニンゲンくらい直ぐに壊せた。でもアンズが『あの天使は弱ってる! 手当てが必要だ!』なんて可愛いことを言うから破壊することを止めたんだ」
「………その話、もう何度も聞いたぞ……」
照れ臭くなって唇を尖らせた。するとトワは「ふふ」と微笑み、頬にキスをする。
「馴れ初めは何度でも語りたくなるものだよ」
「……そう、か……よ」
…馴れ初めって………
「ああ、アンズ、大変だ」
「?」
トワは声を上げた。俺は怪訝な顔をする。トワの声の調子に違和感を覚えたからだ。
…なんというか、演技臭い。
「見て。自動操縦モードが解除されてる。アンズ、操縦して。正面の星に追突しちゃう」
「えっ、お、おう……」
トワは俺を爪先からゆっくりと下ろす。床は冷たかった。裸足だからひんやりとした感触だ。乱れた軍服を引っ張り、勃起した下半身を隠しながら、左右に持ち手があるハンドルを握った。
基本的に宇宙を巡る船は自動操縦モードだ。それが解除になっていた。スイッチが壊れてるのか何度も押してもオンにならない。星は間近に迫っている。危ないところだった。間一髪で旋回する。
「危ないな……。管理者は誰だ…?」
操縦席に座ろうとしたときだ。背中に温もりが触れた。
「アンズ、そのまま立って操縦して」
「…ぅん?」
「後ろからやろう」
「…はぁっ……んんっ…?!」
驚きの声を上げれば、体が勝手に動き始めた。また体を操作されているのだ。俺はハンドルを握ったまま、トワに尻を突き出した。
「トワ…ぁ、こんなの…っ…」
「アンズ、ちゃんと操縦しないと、星屑に追突しちゃうよ……?」
「やぁっめぇ…っ、これぇ、やだぁ…」
ぐちゅんっと、トワの陰茎が俺の孔を貫いた。勢いよく挿入されたせいで、コックピットに互いの体液が飛び散る。
「あァっ! ん、やめて…あっぁあ」
ちゅ、ちゅ、とうなじに唇が降る。腰を掴まれ、トワの動きに合わせて、ゆさゆさと体が揺れる。
「ぁ、ぁあっ…」
ああ、これはいけないことだ。なんて淫らなんだろうか。艦船を操縦しながら、バックで犯されてる。
ぐぐぐと奥歯を噛み締めて、迫り来る快感に耐えた。
「『やめて』?…ふふふ、でも、いつもより凄く締めつけてくる」
「ぁあっあぅ…動かないで…ぇ」
「アンズは素直じゃないな。アンズは飛行操縦が好きでしょう?この状況で交尾……。興奮しちゃうんじゃない?」
「ふんんっ…んぅ…」
ぱちゅんぱちゅんと肌と肌がぶつかり、熱い杭を打ちつけられる。そのたびに結合部から熱い粘液が溢れ出て、太ももに伝って流れる。
トワの先端はごりッごりッと抉るように腹の内側を突く。内臓が引き摺り出されてしまいそうだ。そんな感覚に襲われた。徐々に爪先立ちになる。すると臍のあたりに手をまわされ、逃れられないように抱かれる。そのまま片耳を塞ぐようにぴったりと唇がくっついた。
「…アンズが興奮してくれたら嬉しいな…」
「ぁんっああっ」
「気持ち良い?」
甘い声が脳に注がれる。脳まで犯されてるようで、ゾクゾクと背筋に快感が走った。
「あぁッ、アンズっ、ナカすごいよ?」
「ぁあんっ、奥ぐりぐりゃだぁ、ぁ」
「嫌じゃないでしょう?…んっ、ちゃんと前見て」
「ひぃ…んっ、ぁぁ、あっ」
「追突しちゃうよ?」と愉快そうに囁かれる。背後からぎゅうっと抱き締められて、ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅッと先程よりも激しく奥を突かれる。
「…ああっぁあ、アンズ、すごい、今まででッ、一番、僕のを美味しそうに搾るね。喜んでるの?嬉しいなっ」
「ぁ、ぁ、ぁあああッ…」
涙で歪んだ視界の中、必死に操縦を続ける。
軍服はあっという間に乱れてしまい、胸元は大きくはだけた。すると、乳首を指で摘まれて、ぐりぐりっと刺激される。弱い部分を同時に責められ、気持ち良すぎて頭がおかしくなりそうだ。自身の亀頭はこれまで見たことがないくらいぷるんと上を向いていた。
飛行は俺の人生だ。戦闘機での交戦後、俺はいつも勃起していた。飛行が俺を興奮させ、欲を掻き立たせるのだ。戦闘機でなくとも同様だ。飛行そのものに魅力を感じる性分なのだ。だからこの状況は気が狂いそうなほど興奮する。「やだ、やだ」と言いながら本心は喜んでいた。涎を垂らしながら、ハンドルを動かし続ける。口角は上がってる自覚があった。足の裏から伝わる僅かな振動でさえも快感だ。
まるで艦船とセックスをしてるみたいだ。
…やばい…気持ち良い…
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