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第一章・幼少期

3.愛しのグレイシアたん生活3年目

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俺はグレイシアたんに生まれ変わってもう3年。乙女ゲーム内では見られなかった推しの幼少期……!唯、母上がそもそも童顔で小さいので、母上のそういう性質を受け継いだ。せいぜい、王族特有の金髪碧眼を受け継いでしまったのが痛い。だから、母上には悪いが偽装スキルで隠させてもらった。なので、黒髪で茶色の瞳。母上と同じ風貌を装った。だが、髪の毛を切ったら、わかる仕様になっているので、髪の毛の色以外なら、殆ど周りの認識と同じもの。


でも、ゲーム内のグレイシアたんは王族特有の風貌を持つが故に、誰にも愛されなかった。特に、救世の証を持つカレはそのせいで唯一愛してくれたであろう母親を失う。流石に国境近くの辺鄙な村とはいえ、最低限の知識はある。だから、みんなに煙たがれる存在のグレイシアたん。だけどね、グレイシアたんは唯、寂しかっただけだったなの。愛情を持って育てばしっかり優しい幸せいっぱいな王子様に生まれたはず。


後、この世界には『魔法』なるものが存在する。それは殆どが貴族階級でしか生まれないとはいえ、僅かな可能性で平民の中にも生まれるという。『Fortune Lover』のヒロインもそうだった。まるで、桜のようなピンク色のセミロング。小柄で豊満ボディ。小さくリスのように庇護欲を湧かせる可愛らしい風貌。ぶっちゃけ、タイプでジャケ買いしてた。もし、俺と同じく転生者じゃなければ、お嫁さんにしたいぐらい。


これは俺の世界になかったから、是非とも使いたかった。だから、隙見て転移スキル使って、魔物が蔓延る死の森デッドリーフォリーで魔物退治。あっさり倒せたし、ゲーム補正と女神様の加護で、公式チートの悪役ヒーローのグレイシアたん。


因みに、魔物はドロップアイテムと金貨を落としてくれる。MPは桁外れに上げたから、疲れ知らず。だけど、母上を必要以上に心配させるのはナンセンス。ちょっとした時間でレベリング。


後、俺は個人的に薬学科の大学に所属してたから、誰も近寄らない国内に存在する死の森デッドリーフォリーで薬草拾ったり、ドロップアイテムで調合したり。俺はショタコンの気はないがゲーム内でカレの過去を知る度、惹かれていった。決して幸せとはいえない過去があっても尚、自分が悲劇のヒーローのように振る舞わず、事実を淡々と述べていく様。それを気にも留めず、気丈に振る舞うカッコ良さがあるのに復讐に燃える生活は悲しい。でも素直にカッコいいと思った。もし、俺だったら悲劇に酔いしれると思う。



だけどね、まだ運が良い方だと思う。ゲーム開始時にグレイシアたんは隣国の留学生として、王立学園に通う。何故なら、このままだと今住んでる村は死の森デッドリーフォリーから逃げ出した魔物によってグレイシアたんを除いた村人はみんな死ぬのだから___!できるだけ、魔法を使わず、物理的に解決できる時間を俺は与えられてるからね!
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