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第一章・幼少期

11.グレイシアたん、策士ぃいい

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フードは深く被ったまま、ある程度観察してたシアたん。俺は基本的に乙女ゲーム関連のRPGゲームしかしたことないから、戦略系ゲームとかわかんない。これが酷いのか、適切に陣頭指揮が執れているのかさえ。


グレイシア「まぁ、状況は酷いけど、適切な陣頭指揮は執れているねっ。まぁ、強いて挙げるなら____」


第四王子のアザルド王子は自分の力を過信し過ぎる点を除けば、ね。と補足を入れる。


確かに、そうかもしれない。この世界の魔法属性は偏りを見せる。光・闇を除けば、1番希少な属性は火だ。次に水、風、土といった感じに偏っている。その中で、アザルド王子は火と水を使える。だから、周りの評価も高いし、アザルド王子も自尊心が強い。それにアザルド王子は唯一、王妃様から生まれた王子だから第四王子とはいえ、王位継承権は高い方だ。それこそ、未来の王太子と言われるほど。だけど、それに甘んじることなく、周りに気配りできる優しい王子様。頭も良く、剣術も素晴らしい。だからこそ、いざ実践となると中々上手くいかないことを知らない。現に押されている。


まぁ、SNSの攻略掲示板では王族に恨みを持ったグレイシアたんの仕業ではと考察が出るほど、自然に出現する魔物ではないから、ミノタウロス。


グレイシア「……結果、僕の仕業ではなかったと」


さて、いきますかと、小型ナイフを2つ出して、片手に1つずつ持って、加速スキルを持って、風魔法を纏って、ミノタウロスの集団を一網打尽に。これにはアザルド王子も騎士団の皆さんもあんぐり。咄嗟にアザルド王子は口調が崩れる。


アザルド「……お前、小さいのにすごいな!」


これにはシアたんお怒りです。


グレイシア「……貴方にお前と言われる筋合いはないです。僕は妾の子供ではありますが、現国王陛下の息子です。ねぇ、僕の兄弟?」


とフードを脱いで、鋭い風を生み出す。


今まで風なんか吹いていなかったのに強い風が吹き付ける。これには疑いの余地を与えさせない。王族特有の金髪碧眼。それに加えて、風の魔法。何処にも疑いの余地がない。冷や汗が止まらないが、シアたんは更に発破をかける。


グレイシア「【エンジェルナース】」


ミノタウロスとの戦いで傷付いた怪我を治せば、火より希少で怪我を治す光魔法を見せられれば、どれだけ多くの証言者が出たことで隠せない。


アザルド王子は顔色が険しくなる。そして、重々しい口調で問いかける。


アザルド「……何が目的だ」

グレイシア「ここで求めるは国王陛下との謁見の場を設けて欲しい」

アザルド「何故、父上……国王陛下への謁見を望む?」


嘲笑気味に笑うシアたん。


グレイシア「……何故?そりゃ、そうでしょう。この風貌のせいで、僕は、母上は周りにどのように見られていたと思う?それのせいで、僕たちは精神的苦痛を受けた。それに対する損害賠償を求める。……そうねぇ、少なくとも貴族位の爵位と廃村でも良いから統治領が欲しい。これだけ慈悲を見せたのだから。これぐらい良いでしょう?下手すれば貴方は優秀な騎士団の数々の騎士の命を失っていた。それは不名誉なことでしょう?騎士団を巻き込む大失態。どうせ、怒られるのだから、ついでに謁見の場を頂戴?」
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