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第一章・幼少期

12.グレイシアたん、いざ参る!

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マーリン「で、その結果、このような者に、救われ、これが、私との妾の子と、申すか」


マーリン国王陛下は、フランソワーズ王国の現国王陛下で、グレイシアたん、アザルド王子の父親に当たる。この人も、金髪碧眼で、軽く天然パーマがかかっている。これは、シアたんのフワフワした髪形に似ているので、間違いなくこの人は、グレイシアたんの父親だ。普通に、グレイシアたんの母上も軽くウェーブが掛かっているから、クラリスさんの遺伝かと思いきや、父親なんかい。


アザルド「ですが、助けられた恩情があります故に、恩赦をお与えくださいまし」

マーリン「うむ。確かに、恩赦を与えるに相応しき、活躍とその魔力。他国に軽々と、渡してなるものかと、」

アザルド「ありがたき幸せでございます」

マーリン「其方、名を何と申す??」


一応の礼儀作法は、取るらしい。


グレイシア「発言を許して頂けるのですね??」

マーリン「うむ」

グレイシア「我が名は、グレイシアと申します。母親は、アザルド王子のご懐妊パーティーにて、貴方が酔い、抱いたメイドであるので、家名はございません。なので、この風貌を持つとはいえ、軽々しくフランソワーズの名を語れません。何故、母は、一時期メイドの身分だったので、豪商な商人でございませんので。平民の中でも、身分は低く、辺鄙な村の生まれの身分でございますから、家名を持てる屋号も、ございません」

アザルド「つまり、其方、グレイシアは、5歳ということか、魔法が使える王族の一員だから、な」

グレイシア「ええ、母は、童顔なので、見た目は、12歳ほどにしか見えないので、よく姉弟のように、間違われます。その性質を受け継いで、僕も良くても3歳くらいにしか見えないのでしょう」


国王陛下がヤケに素直である。やはり心当たりがあったのを、ズルズル引き摺っていたのかな。


マーリン「うむ。グレイシアには、フランの家名を与えよう。爵位は、男爵からで。領地は、ルノワールの傍で、どうだ??」


ルノワール……母上の出身地の村は、ケラーと呼ばれており、ケラーの近辺に、人が住めば、広大な畑を持てるような土地があるのだ。それが、ルノワールという村だった。因みに、ゲーム内のグレイシアたんは、コッソリそこで住んでたという設定を知ってるので、この地名には、見覚えがある。


グレイシア「ありがたき幸せでございます」


ニコッと笑うが、何やら悪意を感じる。正直、内心、国王陛下を恨んでいるのかな。下手すれば、母親が死ぬ可能性があったのだから。


だけど、謁見室に、急な伝令を伝える給仕がやってくる。これが、グレイシアたんに無理難題を吹っ掛ける原因になるとは、知らないままで便りは、やってくる。
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