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十二支と十二辰星
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息を吐く度に白い靄が空へ浮かぶ。冬が近い事もあり朝は身震いするように冷える日が多くなっていたけれど、今朝は特に寒い。
廊下を何度か曲がり、母屋の奥にある道場へ辿り着いた私は扉のところに数人の人影を見つけ足を止めた。どなたも祓戸の一族の方々だ。私のような女中がおいそれと声をかけていい存在ではない。どうしたものかと逡巡していると、向こうの方がこちらに気づき声をかけてくださった。
「御前の世話係か」
「は、はい。朝餉の前にお召し物を替えるお手伝いを、と思いまして。その、御前は?」
「運がいいな。折角の機会だ。お前も見てみろ」
くいっと促されたので会釈をしつつそっと空いている扉の隙間から中を窺ってみると、鍛練用の装束に身を包んだ御前が中央に腰を下ろしておられた。その奥に当主が立っておられるのを見つけ、思わず息を飲む。どうやら当主の立ち会いの下、鍛練を行なっておられるらしい。
御前の背中から金色の霊気がゆらりと揺れる。
「ましら」
名を呼ばれ、御前の肩の上に小さな猿が姿を現す。老練な雰囲気を持つその猿は、当主を見て顎に手を当て言った。
〈ほっほ。何と、今日はお父君と修練ですかな?〉
「やる事はいつもと変わらないわ。いけるわね?」
〈勿論。いつでもやれますぞ〉
ましら様の答えを聞いた御前の霊気が更に深く練られる気配を感じる。
「ネズ、うー、トラ、ミミ、メェ、タロ」
先程と同じように、名を呼ばれた御前の式神達が次々と現れる。子に丑、寅、卯、未、そして戌。
〈げっ、椋礼じゃないか〉
〈わぁ、今日の鍛練は荒れそうだねぇ〉
〈関係ねぇだろ。俺様がきっちり主の実力を見せつけてやるぜ〉
〈トラだけが目立っても駄目だと思いますの〉
〈同感です。メェも頑張らなければいけません〉
〈ねぇねぇ。何でもいいから早く始めようよ。おいら待ちきれないよ〉
〈ほっほ。では各々方、ゆきますぞ〉
わいわいと盛り上がっていた式神達だけれど、ましら様の一声で皆それぞれに構える。それと同時に、御前の前には敵を模した人形が幾人も立ちはだかる。今日は御前を狙う刺客を相手として想定した鍛練らしい。
私などでは目で追いかけるのが限界の立ち回りは、そのまま御前の実力の高さを表していた。ましら様を司令塔にネズ様とミミ様が敵を撹乱し、トラ様とタロ様がその隙を突いて攻撃を行い、うー様とメェ様は御前をお守りする事に専念している。
「いつ見ても鮮やかな術式だ」
「開祖の双子、双御祖の片割れと同じ十二支を操る力。普通は意思のある式神など一体を使いこなすだけでも相当量の霊気を費やすというのに、あれだけの数を同時に使役するとは」
一門の方々のご意見には私も心から同意だ。あれほど素晴らしいお方にお仕えする事ができている自分を誇らしく思う。
最後の一人を仕留め、人形が紙の姿に戻ったのを見た当主が満足そうに頷かれる。
「いいだろう。順調に十二支の力を極めているようだな」
「ありがとうございます」
「だが」
すっと細められた目は、私に向けられているわけでもないのにどきりとさせられる。
「残りの十二支を使いこなすにはまだ練度が足りんようだな。単なる妖祓いならばいざ知らず、お前の一番の役目は全ての十二支を意のままに操る事だ。それを忘れるな」
「っ…はい。申し訳ありません」
こちらからは背中しか見えないけれど、悔しげな声が御前のお心を垣間見せている。そうだ。御前は大きな使命を持って生まれてこられたのだ。祓戸家だけではない、異能を持つ者全てにとって希望となり得る使命を。
「では次」
と、不意に当主が御前から視線を移された。少し体を乗り出して道場の端に目をやると、同じく鍛練用の装束を身に纏った影前の姿があった。
何だ、いたのか。ただでさえ目立たないというのに、御前の存在感が眩しすぎるせいで完全に気配が消えている。
当主に目を向けられた今もそうだ。御前と同じ顔で、御前がけしてしないような自信のない表情でおずおずと御前と入れ替わるように中央へ立つ様を見ていると、苛立ちを通り越して笑いすら込み上げてくる。
当主の前に立った影前はぺこりと頭を下げ、懐から呪符を取り出した。御前とは対照的な、銀色の霊気が練られる気配がすると共に、今度は味方を想定したと思われる人形が影前の背後に複数現れた。
「綾なす光よ、光を結び盾と成れ。守星、房宿」
銀色の箱が人形一つ一つを囲んでいく。その速さはそれなりのものだけれど、御前が名を呼ぶだけで式神を顕現させられるのに対して影前は呪符を使わなければ力を使う事はできない。
そして…
「静かなる光よ、闇を照らし魂を抱け。鎮星、斗宿」
二枚目の呪符を手に口上を唱えたが、ばちっと何かが弾けるような音がしたかと思うと影前が無様に尻餅をついた。その姿を見た当主が、呆れたようにため息をつく。
「やはりまだ複数の顕現はできないまま、か」
「も、申し訳ありません…」
「それだけではないな。現時点で、使役する事のできる星はいくつある?」
「っ…それ、は…」
「答えろ」
厳しい声にびくりと肩を震わせ、影前は蚊の鳴くような声で答えた。
「房宿と井宿…二つだけです」
それを聞いた当主は、先程よりも更に大きなため息をついた。
「影前。確かに私はお前に御前の露払いとして生きていくよう言ってきた。妖祓いの際も、お前には守りや補佐役を一任している。だが、本来であればお前も禍を祓えて当たり前。それが由緒ある祓戸家本家に名を連ねる者としての最低限の責務だ。ましてや、お前は双御祖の再来を期待される御前の影なのだぞ。そんな体たらくで務めを果たせると思うな。自らの運命を今一度胸に刻み、己の立場を自覚せよ」
「申し訳ありません…申し訳、ありません…」
土下座をして謝り続ける影前を御前が睨むように見ている。当然だろう。ご自身の影がこれほど不甲斐ない姿を見せていて、不快感を覚えないわけがない。私が御前の立場なら、頬の一つでも打っているところだ。
双御祖。祓戸家の開祖として語られるかのお二方は、忌み子である双子であった事で十二の力"天の十二辰星"と"地の十二支"を授かったという。当時の世を荒廃させていた大いなる災厄を封印したお二人はその功績を時の帝に認められ、"人と異界を隔てる戸にて異形を祓え"と"祓戸"の性を賜った。
今、世の中は再び異形の動きが活発化し一般人に影響を及ぼす事も珍しくないと聞く。だからこそ、開祖と同じ力を持って生まれた御前と影前に希望を寄せる者は多い。十二支と十二辰星、双方の力が極まった時のみ姿を現すという"二十五番目の存在"を以てすれば、大いなる災厄が解き放たれたとしても世界は守られるからだ。
(だというのに)
当主の仰る事は尤もだ。影前は自覚が足りない。御前のように毎日厳しい鍛練をしても十二の力を極めるには至らないというのに、あんな猫又と戯れていて力をつけられる筈がない。食事を持っていった時に見かけた光景を思い浮かべ、自然と顰めっ面になるのがわかった。全く腹立たしい話だ。
「何をしているの?」
「!」
はっと顔を上げると、御前が眉根を寄せてこちらを見下ろしている。周りを見ると他の方々はいつの間にか姿を消していて、私一人だけが残されていた。
慌てて頭を下げ、許しを請う。
「た、大変失礼致しました。お召替えをと思い、お迎えに参ったのですが…」
「そ」
短くそれだけ答え、御前は母屋の方へ歩いていく。その凛々しい背中に私は改めて尊敬の念を覚え、中でへたり込んだままの貧相な後ろ姿を振り返る事なく後を追うのだった。
廊下を何度か曲がり、母屋の奥にある道場へ辿り着いた私は扉のところに数人の人影を見つけ足を止めた。どなたも祓戸の一族の方々だ。私のような女中がおいそれと声をかけていい存在ではない。どうしたものかと逡巡していると、向こうの方がこちらに気づき声をかけてくださった。
「御前の世話係か」
「は、はい。朝餉の前にお召し物を替えるお手伝いを、と思いまして。その、御前は?」
「運がいいな。折角の機会だ。お前も見てみろ」
くいっと促されたので会釈をしつつそっと空いている扉の隙間から中を窺ってみると、鍛練用の装束に身を包んだ御前が中央に腰を下ろしておられた。その奥に当主が立っておられるのを見つけ、思わず息を飲む。どうやら当主の立ち会いの下、鍛練を行なっておられるらしい。
御前の背中から金色の霊気がゆらりと揺れる。
「ましら」
名を呼ばれ、御前の肩の上に小さな猿が姿を現す。老練な雰囲気を持つその猿は、当主を見て顎に手を当て言った。
〈ほっほ。何と、今日はお父君と修練ですかな?〉
「やる事はいつもと変わらないわ。いけるわね?」
〈勿論。いつでもやれますぞ〉
ましら様の答えを聞いた御前の霊気が更に深く練られる気配を感じる。
「ネズ、うー、トラ、ミミ、メェ、タロ」
先程と同じように、名を呼ばれた御前の式神達が次々と現れる。子に丑、寅、卯、未、そして戌。
〈げっ、椋礼じゃないか〉
〈わぁ、今日の鍛練は荒れそうだねぇ〉
〈関係ねぇだろ。俺様がきっちり主の実力を見せつけてやるぜ〉
〈トラだけが目立っても駄目だと思いますの〉
〈同感です。メェも頑張らなければいけません〉
〈ねぇねぇ。何でもいいから早く始めようよ。おいら待ちきれないよ〉
〈ほっほ。では各々方、ゆきますぞ〉
わいわいと盛り上がっていた式神達だけれど、ましら様の一声で皆それぞれに構える。それと同時に、御前の前には敵を模した人形が幾人も立ちはだかる。今日は御前を狙う刺客を相手として想定した鍛練らしい。
私などでは目で追いかけるのが限界の立ち回りは、そのまま御前の実力の高さを表していた。ましら様を司令塔にネズ様とミミ様が敵を撹乱し、トラ様とタロ様がその隙を突いて攻撃を行い、うー様とメェ様は御前をお守りする事に専念している。
「いつ見ても鮮やかな術式だ」
「開祖の双子、双御祖の片割れと同じ十二支を操る力。普通は意思のある式神など一体を使いこなすだけでも相当量の霊気を費やすというのに、あれだけの数を同時に使役するとは」
一門の方々のご意見には私も心から同意だ。あれほど素晴らしいお方にお仕えする事ができている自分を誇らしく思う。
最後の一人を仕留め、人形が紙の姿に戻ったのを見た当主が満足そうに頷かれる。
「いいだろう。順調に十二支の力を極めているようだな」
「ありがとうございます」
「だが」
すっと細められた目は、私に向けられているわけでもないのにどきりとさせられる。
「残りの十二支を使いこなすにはまだ練度が足りんようだな。単なる妖祓いならばいざ知らず、お前の一番の役目は全ての十二支を意のままに操る事だ。それを忘れるな」
「っ…はい。申し訳ありません」
こちらからは背中しか見えないけれど、悔しげな声が御前のお心を垣間見せている。そうだ。御前は大きな使命を持って生まれてこられたのだ。祓戸家だけではない、異能を持つ者全てにとって希望となり得る使命を。
「では次」
と、不意に当主が御前から視線を移された。少し体を乗り出して道場の端に目をやると、同じく鍛練用の装束を身に纏った影前の姿があった。
何だ、いたのか。ただでさえ目立たないというのに、御前の存在感が眩しすぎるせいで完全に気配が消えている。
当主に目を向けられた今もそうだ。御前と同じ顔で、御前がけしてしないような自信のない表情でおずおずと御前と入れ替わるように中央へ立つ様を見ていると、苛立ちを通り越して笑いすら込み上げてくる。
当主の前に立った影前はぺこりと頭を下げ、懐から呪符を取り出した。御前とは対照的な、銀色の霊気が練られる気配がすると共に、今度は味方を想定したと思われる人形が影前の背後に複数現れた。
「綾なす光よ、光を結び盾と成れ。守星、房宿」
銀色の箱が人形一つ一つを囲んでいく。その速さはそれなりのものだけれど、御前が名を呼ぶだけで式神を顕現させられるのに対して影前は呪符を使わなければ力を使う事はできない。
そして…
「静かなる光よ、闇を照らし魂を抱け。鎮星、斗宿」
二枚目の呪符を手に口上を唱えたが、ばちっと何かが弾けるような音がしたかと思うと影前が無様に尻餅をついた。その姿を見た当主が、呆れたようにため息をつく。
「やはりまだ複数の顕現はできないまま、か」
「も、申し訳ありません…」
「それだけではないな。現時点で、使役する事のできる星はいくつある?」
「っ…それ、は…」
「答えろ」
厳しい声にびくりと肩を震わせ、影前は蚊の鳴くような声で答えた。
「房宿と井宿…二つだけです」
それを聞いた当主は、先程よりも更に大きなため息をついた。
「影前。確かに私はお前に御前の露払いとして生きていくよう言ってきた。妖祓いの際も、お前には守りや補佐役を一任している。だが、本来であればお前も禍を祓えて当たり前。それが由緒ある祓戸家本家に名を連ねる者としての最低限の責務だ。ましてや、お前は双御祖の再来を期待される御前の影なのだぞ。そんな体たらくで務めを果たせると思うな。自らの運命を今一度胸に刻み、己の立場を自覚せよ」
「申し訳ありません…申し訳、ありません…」
土下座をして謝り続ける影前を御前が睨むように見ている。当然だろう。ご自身の影がこれほど不甲斐ない姿を見せていて、不快感を覚えないわけがない。私が御前の立場なら、頬の一つでも打っているところだ。
双御祖。祓戸家の開祖として語られるかのお二方は、忌み子である双子であった事で十二の力"天の十二辰星"と"地の十二支"を授かったという。当時の世を荒廃させていた大いなる災厄を封印したお二人はその功績を時の帝に認められ、"人と異界を隔てる戸にて異形を祓え"と"祓戸"の性を賜った。
今、世の中は再び異形の動きが活発化し一般人に影響を及ぼす事も珍しくないと聞く。だからこそ、開祖と同じ力を持って生まれた御前と影前に希望を寄せる者は多い。十二支と十二辰星、双方の力が極まった時のみ姿を現すという"二十五番目の存在"を以てすれば、大いなる災厄が解き放たれたとしても世界は守られるからだ。
(だというのに)
当主の仰る事は尤もだ。影前は自覚が足りない。御前のように毎日厳しい鍛練をしても十二の力を極めるには至らないというのに、あんな猫又と戯れていて力をつけられる筈がない。食事を持っていった時に見かけた光景を思い浮かべ、自然と顰めっ面になるのがわかった。全く腹立たしい話だ。
「何をしているの?」
「!」
はっと顔を上げると、御前が眉根を寄せてこちらを見下ろしている。周りを見ると他の方々はいつの間にか姿を消していて、私一人だけが残されていた。
慌てて頭を下げ、許しを請う。
「た、大変失礼致しました。お召替えをと思い、お迎えに参ったのですが…」
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