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懺悔の影
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界野透は至って普通の人間だった。会社員をしている父と専業主婦の母、そして五つ下の妹。特別裕福というわけでもないが、暮らしぶりは実に一般的なもの。普通の学校に通い、普通の友人に囲まれ、普通の生活を送る毎日を当たり前のように享受する。そんなごく普通の少年だった。
─お兄ちゃん、すごい!
ただ一つ、異能という普通とはかけ離れた力を持って生まれた点を除いて。
「母さん母さん!新しいゲーム買ってよ!」
「だーめ。この間買ったばかりでしょ?」
「いいじゃん、クラスのみんなに自慢したいんだよ!ねぇ、お願い!"ゲーム買ってよ"!」
「…もう、仕方ないわね。お父さんに言ってみるわ」
「やった!」
最初にこの力に気づいたのはいつだったか、もう覚えてはいない。ただ、少し感情を込めるように意識して言葉を口にすると、不思議と相手は言う事を聞いてくれた。
「お兄ちゃん、またゲーム買ってもらうの?」
わくわくした顔の妹の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「そうだよ。澪にもやらせてやるからな」
「やったぁ!お兄ちゃんってすごいね。お父さんもお母さんも、お兄ちゃんのお願いは全部聞いてくれるもん」
「まあな。澪も欲しいものがあったら兄ちゃんに言えよ。母さん達に頼んでやるから」
「ホント?お兄ちゃん大好き!」
兄妹仲は良かったように思う。明るく、天真爛漫という言葉がぴったり合うような澪はいつも無邪気に透の側をついて回っていた。
「透すっげー!また満点かよ!」
「こないだも百点取ってたよな」
「へへっ、これくらい楽勝楽勝」
学校ではいつも中心的な存在だった。成績優秀で運動も得意だったお陰で、常にクラスメイトの羨望の的だった。一つ訂正を加えるとするなら、テストの内容は担任教諭に教えてもらっていたという事だろうか。
自分が特別なのだという自覚がなかったと言えば嘘になる。自分の言葉一つで何でも思い通りになるこの世界は、とても生きやすく心地が良かった。これまでがそうだったように、この先もずっとこんな時が過ぎていくのだと信じて疑わなかった。
あの日が来るまでは───
*
その日は大型の台風が東京を襲っていた。がたがたと窓を叩く風の音は、まるで昨日の事のように覚えている。
「がっかりだよなぁ。ホントだったら明日の朝に上陸で学校が休みになってたのに、来るのが早まるなんてさ」
夕飯を食べながらそうごちる自分に、母は呆れたように言った。
「何言ってるの。そんな事になったら、授業が遅れて大変でしょう」
「そうだぞ、透。それに父さんは、よっぽどの事がなければ会社に行かなきゃいけないんだ。夜の内に台風が過ぎてくれるならその方がいい」
「え~、何だよ父さんも母さんも。子供は遊ぶのが一番の仕事だってひろやんのばあちゃんが言ってたぜ」
「出た、お兄ちゃんの最終兵器"ひろやんのおばあちゃん"!」
「何だよ、澪だって好きだろ!」
「ほらほら、お喋りばかりしてないで早く食べなさい」
「ちぇ~」
恐らくほんの悪戯心だったのだと思う。台風は予想外の動きを見せ、母には窘められ、思い通りの筈の世界が否定されたような気がして面白くなかったのだろう。
「あーあ。"学校を休めるような台風よりすごい事が起きないかなぁ"」
軽い気持ちで放った言葉は、地獄を連れて帰ってきた。
イヤホンで大音量の音楽を聴いたような、安全装置のついていないジェットコースターに乗ったような大きな爆音と衝撃。
「い…てぇ、っ…」
何が起こったかなんてわからなかった。ただ体中が痛くて、倒れ伏している床には割れた窓ガラスや食器、そして飛び散った夕飯に赤黒い液体が混じっていた。
「え…」
辛うじて動く首を動かして液体の後を追いかけると、そこにあったのは…
「父さん…かあ、さ…」
自分と同じように床に転がっている両親。しかし母の体は肩から胸にかけてざっくりと抉れ、父に至っては腰から下がなかった。
「何、だよ…何だよ、これ…!」
「お兄ちゃん…!」
「!」
はっと声が聞こえた方を向くと、頭から血を流した澪がこちらを見ていた。その時の光景は今でも目に焼きついている。
漫画で見るような化け物が、澪を鷲掴みにしていた。その口は真っ赤な血で染まっており、両親をあんな姿にしたのが誰なのかわからないほど馬鹿ではなかった。その化け物が今度は妹を手にかけようとしている。
「たす、けて…お兄ちゃん…!」
「…めろ…やめろ…!」
必死に叫ぶ自分を嘲笑うように口角を上げる化け物。
「くそ…何でだよ…!言う事聞けよ!」
いつもなら化け物は自分の言葉を聞いて澪を解放する筈だというのに、全くその気配はない。思い通りだと思っていた世界が、心地良かった世界が一気に裏切り、自分に牙を剥いているような気がした。
「やめろおおおおお‼︎」
ぐしゃっと肉が潰れる音と共に飛び散る赤。ぼたぼたと落ちる四肢は、まるで壊れた玩具の人形のように見えた。
「あ…あぁ…あああああ‼︎」
絶望の叫びを上げる自分をよそに化け物が近づいてくる。ぐしゃりと母の作ってくれた料理が踏み潰されても、何もできない自分がいる。
「来るな…来るなよ!あっち行けよ‼︎」
これ以上ないほど感情を込めているのに、化け物の足は止まらない。特別だと思っていた自分はこんなにもちっぽけな存在だったのか。突然突きつけられた非現実的な現実に、ただただ絶望した。
化け物の腕がこちらへ伸ばされる。ああ、終わりだと思ったその時だった。
しゅんっという金属音がしたかと思うと、数秒遅れて化け物の体が斜めにずれ落ちる。どしゃっと二つに分かれた体の向こう側に立っていたのは、黒いスーツを着た男だった。
「大丈夫か⁉︎」
「…だ…れ…」
どうやら自分は助かったらしい。その事実を認識した途端に訪れた眠気の向こうで、家族の声を聞いた気がした。
*
「…」
ふっと浮かぶような感覚の後に目を開くと、真っ白な天井が視界に入った。
「ここ、は…」
「気がついたか?」
声をかけられ首を横へ傾けると、意識を失う直前に見た顔があった。側には点滴の袋が吊り下げられており、その管は自分の腕へと繋がっている。
きょろきょろと視線だけで部屋の中を見渡す自分に、手にしていた銀色の懐中時計をかちんと鳴らし男は説明した。
「ここは病院だよ。君は丸二日眠っていた。何があったか、覚えているか?」
「何、が…」
─お兄ちゃん…!
「!」
一気に押し寄せてきた記憶に導かれるようにがばっと起き上がる。
「う、おえっ…」
「大丈夫か?今、先生を呼ぶ」
込み上げてきた吐き気のままに嘔吐する自分の背中を摩りながら、男はナースコールのボタンを押した。
「───ご家族の事は残念だった」
医師の診察を受け、僅かばかりの落ち着きを取り戻した自分に男はそう言った。
「君達を襲ったあの化け物は禍という。本来は霊力のある人間を真っ先に襲う筈なんだが、何故かあれは一般人である君の両親と妹を優先して食っていた。何か心当たりはあるか?」
「心、当たり…」
ふと恐ろしい考えが過った。
「…俺、が…」
「え?」
「俺が、あんな事言ったから…?」
「あんな事?」
─学校を休めるような台風よりすごい事が起きないかなぁ
「俺が考えなしにあんな事言ったから…だからあんな化け物が来て、父さんも母さんも、澪も…!」
「おい」
「そんなつもりじゃなかったんだ…ただ、楽がしたかっただけで…なのに、あんな…あんな…!」
ぽろぽろと涙が止まらない。同時に溢れてくるのは、悲しみではなく自責の念。
化け物が家族を殺した?違う。
「俺が殺した…!俺が、俺がみんなを…!ごめん…ごめんなさい…!ごめんなさい…!」
懺悔の言葉が病室に木霊する。その外に広がる空には、二日前とは打って変わって穏やかな月が浮かんでいた。
─お兄ちゃん、すごい!
ただ一つ、異能という普通とはかけ離れた力を持って生まれた点を除いて。
「母さん母さん!新しいゲーム買ってよ!」
「だーめ。この間買ったばかりでしょ?」
「いいじゃん、クラスのみんなに自慢したいんだよ!ねぇ、お願い!"ゲーム買ってよ"!」
「…もう、仕方ないわね。お父さんに言ってみるわ」
「やった!」
最初にこの力に気づいたのはいつだったか、もう覚えてはいない。ただ、少し感情を込めるように意識して言葉を口にすると、不思議と相手は言う事を聞いてくれた。
「お兄ちゃん、またゲーム買ってもらうの?」
わくわくした顔の妹の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「そうだよ。澪にもやらせてやるからな」
「やったぁ!お兄ちゃんってすごいね。お父さんもお母さんも、お兄ちゃんのお願いは全部聞いてくれるもん」
「まあな。澪も欲しいものがあったら兄ちゃんに言えよ。母さん達に頼んでやるから」
「ホント?お兄ちゃん大好き!」
兄妹仲は良かったように思う。明るく、天真爛漫という言葉がぴったり合うような澪はいつも無邪気に透の側をついて回っていた。
「透すっげー!また満点かよ!」
「こないだも百点取ってたよな」
「へへっ、これくらい楽勝楽勝」
学校ではいつも中心的な存在だった。成績優秀で運動も得意だったお陰で、常にクラスメイトの羨望の的だった。一つ訂正を加えるとするなら、テストの内容は担任教諭に教えてもらっていたという事だろうか。
自分が特別なのだという自覚がなかったと言えば嘘になる。自分の言葉一つで何でも思い通りになるこの世界は、とても生きやすく心地が良かった。これまでがそうだったように、この先もずっとこんな時が過ぎていくのだと信じて疑わなかった。
あの日が来るまでは───
*
その日は大型の台風が東京を襲っていた。がたがたと窓を叩く風の音は、まるで昨日の事のように覚えている。
「がっかりだよなぁ。ホントだったら明日の朝に上陸で学校が休みになってたのに、来るのが早まるなんてさ」
夕飯を食べながらそうごちる自分に、母は呆れたように言った。
「何言ってるの。そんな事になったら、授業が遅れて大変でしょう」
「そうだぞ、透。それに父さんは、よっぽどの事がなければ会社に行かなきゃいけないんだ。夜の内に台風が過ぎてくれるならその方がいい」
「え~、何だよ父さんも母さんも。子供は遊ぶのが一番の仕事だってひろやんのばあちゃんが言ってたぜ」
「出た、お兄ちゃんの最終兵器"ひろやんのおばあちゃん"!」
「何だよ、澪だって好きだろ!」
「ほらほら、お喋りばかりしてないで早く食べなさい」
「ちぇ~」
恐らくほんの悪戯心だったのだと思う。台風は予想外の動きを見せ、母には窘められ、思い通りの筈の世界が否定されたような気がして面白くなかったのだろう。
「あーあ。"学校を休めるような台風よりすごい事が起きないかなぁ"」
軽い気持ちで放った言葉は、地獄を連れて帰ってきた。
イヤホンで大音量の音楽を聴いたような、安全装置のついていないジェットコースターに乗ったような大きな爆音と衝撃。
「い…てぇ、っ…」
何が起こったかなんてわからなかった。ただ体中が痛くて、倒れ伏している床には割れた窓ガラスや食器、そして飛び散った夕飯に赤黒い液体が混じっていた。
「え…」
辛うじて動く首を動かして液体の後を追いかけると、そこにあったのは…
「父さん…かあ、さ…」
自分と同じように床に転がっている両親。しかし母の体は肩から胸にかけてざっくりと抉れ、父に至っては腰から下がなかった。
「何、だよ…何だよ、これ…!」
「お兄ちゃん…!」
「!」
はっと声が聞こえた方を向くと、頭から血を流した澪がこちらを見ていた。その時の光景は今でも目に焼きついている。
漫画で見るような化け物が、澪を鷲掴みにしていた。その口は真っ赤な血で染まっており、両親をあんな姿にしたのが誰なのかわからないほど馬鹿ではなかった。その化け物が今度は妹を手にかけようとしている。
「たす、けて…お兄ちゃん…!」
「…めろ…やめろ…!」
必死に叫ぶ自分を嘲笑うように口角を上げる化け物。
「くそ…何でだよ…!言う事聞けよ!」
いつもなら化け物は自分の言葉を聞いて澪を解放する筈だというのに、全くその気配はない。思い通りだと思っていた世界が、心地良かった世界が一気に裏切り、自分に牙を剥いているような気がした。
「やめろおおおおお‼︎」
ぐしゃっと肉が潰れる音と共に飛び散る赤。ぼたぼたと落ちる四肢は、まるで壊れた玩具の人形のように見えた。
「あ…あぁ…あああああ‼︎」
絶望の叫びを上げる自分をよそに化け物が近づいてくる。ぐしゃりと母の作ってくれた料理が踏み潰されても、何もできない自分がいる。
「来るな…来るなよ!あっち行けよ‼︎」
これ以上ないほど感情を込めているのに、化け物の足は止まらない。特別だと思っていた自分はこんなにもちっぽけな存在だったのか。突然突きつけられた非現実的な現実に、ただただ絶望した。
化け物の腕がこちらへ伸ばされる。ああ、終わりだと思ったその時だった。
しゅんっという金属音がしたかと思うと、数秒遅れて化け物の体が斜めにずれ落ちる。どしゃっと二つに分かれた体の向こう側に立っていたのは、黒いスーツを着た男だった。
「大丈夫か⁉︎」
「…だ…れ…」
どうやら自分は助かったらしい。その事実を認識した途端に訪れた眠気の向こうで、家族の声を聞いた気がした。
*
「…」
ふっと浮かぶような感覚の後に目を開くと、真っ白な天井が視界に入った。
「ここ、は…」
「気がついたか?」
声をかけられ首を横へ傾けると、意識を失う直前に見た顔があった。側には点滴の袋が吊り下げられており、その管は自分の腕へと繋がっている。
きょろきょろと視線だけで部屋の中を見渡す自分に、手にしていた銀色の懐中時計をかちんと鳴らし男は説明した。
「ここは病院だよ。君は丸二日眠っていた。何があったか、覚えているか?」
「何、が…」
─お兄ちゃん…!
「!」
一気に押し寄せてきた記憶に導かれるようにがばっと起き上がる。
「う、おえっ…」
「大丈夫か?今、先生を呼ぶ」
込み上げてきた吐き気のままに嘔吐する自分の背中を摩りながら、男はナースコールのボタンを押した。
「───ご家族の事は残念だった」
医師の診察を受け、僅かばかりの落ち着きを取り戻した自分に男はそう言った。
「君達を襲ったあの化け物は禍という。本来は霊力のある人間を真っ先に襲う筈なんだが、何故かあれは一般人である君の両親と妹を優先して食っていた。何か心当たりはあるか?」
「心、当たり…」
ふと恐ろしい考えが過った。
「…俺、が…」
「え?」
「俺が、あんな事言ったから…?」
「あんな事?」
─学校を休めるような台風よりすごい事が起きないかなぁ
「俺が考えなしにあんな事言ったから…だからあんな化け物が来て、父さんも母さんも、澪も…!」
「おい」
「そんなつもりじゃなかったんだ…ただ、楽がしたかっただけで…なのに、あんな…あんな…!」
ぽろぽろと涙が止まらない。同時に溢れてくるのは、悲しみではなく自責の念。
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