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推しとの出会い、感激っす(前編)
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「ほ、本当ですか⁉」
広い家の隅から隅まで響き渡った声に、各々は何事かと動かしていた手を止めたり顔を見合わせる。それから少ししてパタパタと小走りに走ってくる足音が聞こえ、ぽってぃーが興奮気味に階段を下りてきた。
「決まった!決まったで!」
「何がー?」
「ぽってぃー先輩、鼻息荒~い。何かおっきなお仕事でも決まったん?」
「せや!ゲームのコラボキャンペーンの仕事や!フルータ全員の仕事やで!」
「ゲーム、っすか?」
新しい仕事が決まったのは喜ばしい事だが、ぽってぃーの喜びようは尋常ではない。フルータでの仕事だから気合いが入っているのだろうかと首を傾げていると、満面の笑みで両肩を掴まれた。
「ゴロもよー知っとるゲームや!直に会えるんやで!」
「す、す?」
全く話が見えず混乱するゴロ。しかし十数分後、詳細を説明されて上げた驚きの声は冒頭のぽってぃーよりずっとよく家中に木霊するのだった。
*
ここは東の中心のとあるゲーム会社の会議室。少し早く到着したゴロ達は、この部屋に通され他のぬいぐるみ達が来るのを待っていた。
(き、緊張するっす)
円卓状のテーブルに並んだふかふかの椅子の座り心地を堪能する余裕もなく、ソワソワと事前に貰っていた資料を捲ったり意味もなくペットボトルの水の蓋を開けたり閉めたりをくり返しているゴロ。
「ゴロ、ちょっと落ち着け。あくまでもこれは仕事なんやで」
隣に座っていたぽってぃーに肩を叩かれ、ハッと我に返る。
「す、そうっすね。すみませんっす。おいとした事が、つい浮足立ってしまっているっす」
「気持ちはわかるで。でも、こういう時こそ男の余裕を見せなアカンぞ」
「お、男の余裕、っすか」
「とか言いながら、あんちゃんもさっきからめっちゃドアの方チラチラ見とるやんけ。もっとドーンとしろや」
「ちょ、そ、そんな事あらへんで?そら、楽しみにはしとるけどやな」
「リーダーもただの男という事さー。恥ずかしがる事はないさー」
「えー。っていう事は~、いつも以上にお水にガムシロップ入れてるシロ先輩もワクワクしてるって事~?めっちゃ可愛い~、く♡」
くくの指摘に、逆隣にいたシロは「さー」と涼しい顔で大量のガムシロップ入りの水を飲む。いつも冷静で感情が読みづらい彼だが、こういうところからだんだん今どんな気持ちなのかを想像できるようになってきた。
ゴロは端に座っているるっぴーの事が気になり、ヒョコッと顔を出す。
「…」
黙って資料に目を通しているが、その目はいつも以上に赤い。昨夜はよく眠れなかったようだ。
この中で緊張していないのはどってぃーとくくだけのようだ。くくはともかく、どってぃーはもっと今回の仕事を喜ぶと思ったのだが、普段のNuiTube活動を見ているに意外と仕事は仕事だと切り替えができるタイプなのかもしれない。
「まあ、アレや。全員、変に緊張する事なくいつも通りにしとったらええっちゅー事で…」
「ぽってぃー!」
「どぅぐふっ!」
コホンと咳払いをして場をまとめようとしたぽってぃーに、もはやお馴染みの展開が襲いかかる。
「きゃ、キャシー…お前は一体、何度言うたら理解してくれるんや…」
「だって、会えるだけじゃなくて久しぶりに一緒にお仕事ができるんだもの!もう楽しみで楽しみで、昨夜はなかなか眠れなかったのよ!」
ピンクの尻尾が喜びを表すようにハート型を作っている。音もなく部屋に入り、一番奥の席に座っていたぽってぃーに勢いよく抱きついたキャシーは、そのままの体勢でゴロ達に笑顔を向けた。
「こんにちは、みんな!今日はよろしくね!」
「す、よろしくお願いしますっす」
「よっ」
「さー」
「る、よ、よろしくお願いします」
「こ、こんにちは~、その節はおおきに~」
三者三様ならぬ五者五様の反応でキャシーの挨拶に応えるゴロ達。心なしかくくの顔が引き攣っている気がするのは、見ない振りをした。
「フルータのみんなはもう来てたんだね」
「やっほ~、ぽってぃー」
一歩遅れて、トルタのメンバーが次々と入ってくる。ティノはいつも通りの光景に苦笑しながら、ぽってぃーからキャシーを引き剥がした。
「ほら、キャシー。今日は僕達だけじゃないんだから、先方に変な誤解をさせちゃまずいでしょ」
「だってティノ、こんなに深く一緒にお仕事できるのなんてステージ以来なのよ?」
「キャシーは本当にぽってぃーが好きだよね~」
のんびりと笑いながら、誰よりも早く席に着くシャオパン。
「どってぃー!元気しとったか?」
「NuiTube見とるで!えらい人気者になったな!」
「何言うてんねん。まいは最初から大人気や」
「「「いえーい!」」」
ウィルとビルは、どってぃーと楽しげに再会の喜びを分かち合っている。
「よお」
「ガオさん、お久しぶりっす」
声をかけてくれたガオに、ゴロは椅子から立ち上がる。それに倣って椅子から飛び降り、ペコリと頭を下げるるっぴーを見たガオは、ああと彼を見下ろした。
「お前か、一般公募で選ばれたメンバーってのは」
「る、る、ほっぷ・るっぴーといいます。ははは、初めまして」
「ステージの映像見たぜ。ぽってぃーさんが選んだだけあって、まあまあいいもん持ってんじゃねーか」
その言葉にゴロは驚いた。あのガオからお褒めの言葉を貰うとは、やはりるっぴーはすごいぬいぐるみなのだ。
「ミハイル・ボルクさんですよね~?初めまして~、"くっくチャンネル"のくくで~す、く♡こないだのメイく♡のPR動画見ました~。めっちゃ良かったからくぅも買ってみたんです~、く♡」
「さー、ボルクに馴れ馴れしくするなさー」
「別にいいよ。俺は俺が納得のいく仕事ができていれば、第三者の評価なんて気にしないからね」
くくの魔の手(?)からボルクを守ろうとするシロと、マイペースな返しをするボルク。
こうしてトルタのメンバー全員と顔を合わせるのは、ドルチェの人気投票の結果発表以来ではないだろうか。あの時はまだ自分達にグループとしての仕事はなかったが、今はフルータという名前がつき少しずつではあるが知名度も上がってきている。今回の仕事も、先方からぜひともトルタとフルータにお願いしたいという指名を貰ったのだとぽってぃーは嬉しそうに言っていた。
「お待たせしました」
その時、コンコンとドアがノックされスーツ姿のぬいぐるみが二人ほど入ってきた。すかさずこちらとトルタのマネージャーが名刺を取り出し、互いに挨拶を交わす。
「では、早速ですがこちらからご挨拶をさせて頂きます」
来た、とゴロは背筋を伸ばした。向こうのマネージャーに促されて席に着きながら、ドキドキとドアに注目する。
すると、ぬいぐるみの女の子が数人部屋に入ってきた。全員キラキラとした衣装を着ていて、それがゴロを更に感動させる。
(ゲームで見た通りの格好っす)
「初めまして!私達、N-Wishです!」
明るい笑顔が印象的なトラのぬいぐるみが代表して名乗りを上げる。
きゅん☆love'sプラッシュ。ゴロだけでなく、ぽってぃーやどってぃー、それからシロまでもがハマっているリズムゲーム。彼女達はそのゲームに登場するアイドルユニットのキャラクターの声優である。
ゴロは赤毛の猫のぬいぐるみを見て、ポッと頬を染める。勝気そうな目をした彼女が担当するキャラクターの名はマーガレット。彼女こそ、ゴロの推しなのであった。
広い家の隅から隅まで響き渡った声に、各々は何事かと動かしていた手を止めたり顔を見合わせる。それから少ししてパタパタと小走りに走ってくる足音が聞こえ、ぽってぃーが興奮気味に階段を下りてきた。
「決まった!決まったで!」
「何がー?」
「ぽってぃー先輩、鼻息荒~い。何かおっきなお仕事でも決まったん?」
「せや!ゲームのコラボキャンペーンの仕事や!フルータ全員の仕事やで!」
「ゲーム、っすか?」
新しい仕事が決まったのは喜ばしい事だが、ぽってぃーの喜びようは尋常ではない。フルータでの仕事だから気合いが入っているのだろうかと首を傾げていると、満面の笑みで両肩を掴まれた。
「ゴロもよー知っとるゲームや!直に会えるんやで!」
「す、す?」
全く話が見えず混乱するゴロ。しかし十数分後、詳細を説明されて上げた驚きの声は冒頭のぽってぃーよりずっとよく家中に木霊するのだった。
*
ここは東の中心のとあるゲーム会社の会議室。少し早く到着したゴロ達は、この部屋に通され他のぬいぐるみ達が来るのを待っていた。
(き、緊張するっす)
円卓状のテーブルに並んだふかふかの椅子の座り心地を堪能する余裕もなく、ソワソワと事前に貰っていた資料を捲ったり意味もなくペットボトルの水の蓋を開けたり閉めたりをくり返しているゴロ。
「ゴロ、ちょっと落ち着け。あくまでもこれは仕事なんやで」
隣に座っていたぽってぃーに肩を叩かれ、ハッと我に返る。
「す、そうっすね。すみませんっす。おいとした事が、つい浮足立ってしまっているっす」
「気持ちはわかるで。でも、こういう時こそ男の余裕を見せなアカンぞ」
「お、男の余裕、っすか」
「とか言いながら、あんちゃんもさっきからめっちゃドアの方チラチラ見とるやんけ。もっとドーンとしろや」
「ちょ、そ、そんな事あらへんで?そら、楽しみにはしとるけどやな」
「リーダーもただの男という事さー。恥ずかしがる事はないさー」
「えー。っていう事は~、いつも以上にお水にガムシロップ入れてるシロ先輩もワクワクしてるって事~?めっちゃ可愛い~、く♡」
くくの指摘に、逆隣にいたシロは「さー」と涼しい顔で大量のガムシロップ入りの水を飲む。いつも冷静で感情が読みづらい彼だが、こういうところからだんだん今どんな気持ちなのかを想像できるようになってきた。
ゴロは端に座っているるっぴーの事が気になり、ヒョコッと顔を出す。
「…」
黙って資料に目を通しているが、その目はいつも以上に赤い。昨夜はよく眠れなかったようだ。
この中で緊張していないのはどってぃーとくくだけのようだ。くくはともかく、どってぃーはもっと今回の仕事を喜ぶと思ったのだが、普段のNuiTube活動を見ているに意外と仕事は仕事だと切り替えができるタイプなのかもしれない。
「まあ、アレや。全員、変に緊張する事なくいつも通りにしとったらええっちゅー事で…」
「ぽってぃー!」
「どぅぐふっ!」
コホンと咳払いをして場をまとめようとしたぽってぃーに、もはやお馴染みの展開が襲いかかる。
「きゃ、キャシー…お前は一体、何度言うたら理解してくれるんや…」
「だって、会えるだけじゃなくて久しぶりに一緒にお仕事ができるんだもの!もう楽しみで楽しみで、昨夜はなかなか眠れなかったのよ!」
ピンクの尻尾が喜びを表すようにハート型を作っている。音もなく部屋に入り、一番奥の席に座っていたぽってぃーに勢いよく抱きついたキャシーは、そのままの体勢でゴロ達に笑顔を向けた。
「こんにちは、みんな!今日はよろしくね!」
「す、よろしくお願いしますっす」
「よっ」
「さー」
「る、よ、よろしくお願いします」
「こ、こんにちは~、その節はおおきに~」
三者三様ならぬ五者五様の反応でキャシーの挨拶に応えるゴロ達。心なしかくくの顔が引き攣っている気がするのは、見ない振りをした。
「フルータのみんなはもう来てたんだね」
「やっほ~、ぽってぃー」
一歩遅れて、トルタのメンバーが次々と入ってくる。ティノはいつも通りの光景に苦笑しながら、ぽってぃーからキャシーを引き剥がした。
「ほら、キャシー。今日は僕達だけじゃないんだから、先方に変な誤解をさせちゃまずいでしょ」
「だってティノ、こんなに深く一緒にお仕事できるのなんてステージ以来なのよ?」
「キャシーは本当にぽってぃーが好きだよね~」
のんびりと笑いながら、誰よりも早く席に着くシャオパン。
「どってぃー!元気しとったか?」
「NuiTube見とるで!えらい人気者になったな!」
「何言うてんねん。まいは最初から大人気や」
「「「いえーい!」」」
ウィルとビルは、どってぃーと楽しげに再会の喜びを分かち合っている。
「よお」
「ガオさん、お久しぶりっす」
声をかけてくれたガオに、ゴロは椅子から立ち上がる。それに倣って椅子から飛び降り、ペコリと頭を下げるるっぴーを見たガオは、ああと彼を見下ろした。
「お前か、一般公募で選ばれたメンバーってのは」
「る、る、ほっぷ・るっぴーといいます。ははは、初めまして」
「ステージの映像見たぜ。ぽってぃーさんが選んだだけあって、まあまあいいもん持ってんじゃねーか」
その言葉にゴロは驚いた。あのガオからお褒めの言葉を貰うとは、やはりるっぴーはすごいぬいぐるみなのだ。
「ミハイル・ボルクさんですよね~?初めまして~、"くっくチャンネル"のくくで~す、く♡こないだのメイく♡のPR動画見ました~。めっちゃ良かったからくぅも買ってみたんです~、く♡」
「さー、ボルクに馴れ馴れしくするなさー」
「別にいいよ。俺は俺が納得のいく仕事ができていれば、第三者の評価なんて気にしないからね」
くくの魔の手(?)からボルクを守ろうとするシロと、マイペースな返しをするボルク。
こうしてトルタのメンバー全員と顔を合わせるのは、ドルチェの人気投票の結果発表以来ではないだろうか。あの時はまだ自分達にグループとしての仕事はなかったが、今はフルータという名前がつき少しずつではあるが知名度も上がってきている。今回の仕事も、先方からぜひともトルタとフルータにお願いしたいという指名を貰ったのだとぽってぃーは嬉しそうに言っていた。
「お待たせしました」
その時、コンコンとドアがノックされスーツ姿のぬいぐるみが二人ほど入ってきた。すかさずこちらとトルタのマネージャーが名刺を取り出し、互いに挨拶を交わす。
「では、早速ですがこちらからご挨拶をさせて頂きます」
来た、とゴロは背筋を伸ばした。向こうのマネージャーに促されて席に着きながら、ドキドキとドアに注目する。
すると、ぬいぐるみの女の子が数人部屋に入ってきた。全員キラキラとした衣装を着ていて、それがゴロを更に感動させる。
(ゲームで見た通りの格好っす)
「初めまして!私達、N-Wishです!」
明るい笑顔が印象的なトラのぬいぐるみが代表して名乗りを上げる。
きゅん☆love'sプラッシュ。ゴロだけでなく、ぽってぃーやどってぃー、それからシロまでもがハマっているリズムゲーム。彼女達はそのゲームに登場するアイドルユニットのキャラクターの声優である。
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