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第15話 出会い
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その頃、深琴はシーフのアジトと思われた壁で隔へだたれた中に侵入していて、かなり奥まで入り込んでいた。中側の人に見つからない様に、なにか手がかりが無いかをひたすら探していた。
壁の中はかなり広い場所を隔てているようで、壁の外からは大きな建物だろうと思っていたが、実際のところは街を一区画、壁で隔てた感じであったので困難を極めていた。
深琴は人の目もあり、なかなか進めなくなっていた。シーフのアジトと言うよりも、完全な街といった方が印象には合っているように思えていた。
(壁の中がこんなに広いなんて困ったな……それになんかここ……シーフのアジトって感じじゃないし……)
そんな事を考えながら人を避け探っていると、自分の後ろになんらかの気配を感じて振り返った。そこには一人の男の子がいた。男の子の見た感じは深琴よりかなり若く見えるような印象を受けた。
「え? 何? なんで子供が」
深琴よりも背が低く、すこし痩せ気味で、目立たない雰囲気を纏まとっていた。服装は派手にならず機能的で茶色の靴も普通の靴より底が柔らかく音が出にくくなっているようだ、しかし、そんな雰囲気に反して髪の毛は綺麗な金色をしていたせいで、見た目の印象は華やかなようにも受け取れた。
「おまえは、ここで何してる?」
その男の子は深琴に興味をもって質問をしてきた。
「え? 君は、何してるの? こんな所で」
「質問してるのは俺の方だよ、お前は何してるのさ? 俺はお前の後をず~っとついて来てたんだよ」
「うそ!? 私全然気づかなかったわ、ついて来てた事なんて……」
「だろ~! 一応俺もシーフだからね~これぐらいの事は出来るし~」
自慢するように言う少年に深琴は質問をした。
「あなたお名前は?」
「俺はレバンナ、ここに住んでんだ!」
その答えに(この子なら何か知ってるかもしれない) と思った深琴は更に聞いてみた。
「ねえレバンナ!ここって広いよね~街なのかしらここは?」
「そうだな~ここはラスグーンの街の中にあるシーフ街になっているんだ」
それを聞いて、深琴はいろいろなことをレバンナに問いかけることにした。
「シーフ街……レバンナはここの事よく知ってるの?」
「まあ、ここで生まれ育ったから何でも知ってるよ」
「それじゃ~どこに何があるかも知ってるのかな?」
「もちろん! 知らない事はないな」
胸を張って見せたレバンナに深琴は手書きで書いた絵を見せた。絵は盗まれた物を深琴が思い出しながら書いたものだった。
「じゃ~こんなもの見た事ない?」
「ん~見た事ないな~」
「そっか~やっぱりわからないよね普通……」
落ち込んだ様子の深琴を見たレバンナは気になってある場所のことをチラつかせた。
「でも、もしかしたらそういった物が有るかもしれない場所なら知ってるな」
「え! ほんと! どこどこどこどこ?」
せっつくように深琴はレバンナに言うが、ちょっと意地悪そうにレバンナが言った。
「ん~でもお前は俺の質問に答えてないよ~まずここで何してるのか答えてくれないと教えないからな!」
「あ~そっか! 私は探し物をしにここに来たんだけどね――この場所初めてで……どうやって探したらいいか分からなくって、歩いてただけなのよね~」
話を聞いたレバンナは何かを考えていたが、深琴に協力することを伝えた。
「つまり迷子か……じゃ~俺が案内してあげるよ」
「本当? ありがとう! レバンナ」
「そのかわり、俺のしたい事にも協力してくれよな」
レバンナは深琴と一緒に行動をすることとなった――自身の目的の為にも。
一方アーマー達は壁の中に侵入しようとしていた。少し周りの壁より低い場所を見つけたハマが上に登れそうなことを伝える。
「よし! そこから壁の上に行けそうだ」
「ハマ無理するなよ」
アーマーがハマに声をかける。他のメンバーは周りを警戒している。
「しかしまずはこの壁の中がどうなっているか知りたいものね……」
「そうですね~この壁の中に関しては、その辺の人に聞いてみても誰も答えてくれないし」
ミワンの疑問に、ヒロサスも不安げに答えた。
「ハマさん、そこに足かけて!」
ディープがハマを指示をして、ハマは壁を順調に登り進める。そしてハマがやっとの思いで壁を登り終えて皆に声をかけたが、いつの間にかピロが登り終えていて、既に他のメンバーを小扉から入れていた。
「よし! 上がれた! みんなこれを使って……て? え」
「ハマ遅いっちゃ!」
「もうみんな入れてますよ」
事実を知り意気消沈するハマを余所に、壁の内側にメンバーが全員揃った。そしてアーマーがみんなに伝えた。
「とりあえず琴を見つけ出すこと、盗まれた物探しはその後だ――もし相手に見つかっても戦闘は極力避ける事、相手の規模がわからないままやるのは無茶過ぎるっちゃからね」
「了解」
そう言うと三方向に分かれて捜索を開始した。
一つはアーマーとミワン、もう一つディープとヒロサス、そしてピロとハマ――三組に分かれての捜索で時間的には短縮できるが、逆に危険は増した状況となった。
ハマとピロの二人は壁で隔へだたれている中が、まるで普通の街並みと人に溢れている光景に、いささか拍子抜けした感じで戸惑っていた。
「壁の向こう側がこんなんなってるなんて……街じゃないか」
「確かに……」
この場所に関して言えば、怪しい人の雰囲気が無いように二人は感じていた。
「なんっちゃこれ……」
「壁の中にまた街があるなんて…どういう事なのかしら?」
アーマーとミワンも困惑していた。
「参ったな」
「これじゃ~どっから探していいかわかりませんね」
ディープとヒロサスも他の二組と同様だった。
三組とも戸惑いながら壁の中にあった街中を探していた。
壁の中はかなり広い場所を隔てているようで、壁の外からは大きな建物だろうと思っていたが、実際のところは街を一区画、壁で隔てた感じであったので困難を極めていた。
深琴は人の目もあり、なかなか進めなくなっていた。シーフのアジトと言うよりも、完全な街といった方が印象には合っているように思えていた。
(壁の中がこんなに広いなんて困ったな……それになんかここ……シーフのアジトって感じじゃないし……)
そんな事を考えながら人を避け探っていると、自分の後ろになんらかの気配を感じて振り返った。そこには一人の男の子がいた。男の子の見た感じは深琴よりかなり若く見えるような印象を受けた。
「え? 何? なんで子供が」
深琴よりも背が低く、すこし痩せ気味で、目立たない雰囲気を纏まとっていた。服装は派手にならず機能的で茶色の靴も普通の靴より底が柔らかく音が出にくくなっているようだ、しかし、そんな雰囲気に反して髪の毛は綺麗な金色をしていたせいで、見た目の印象は華やかなようにも受け取れた。
「おまえは、ここで何してる?」
その男の子は深琴に興味をもって質問をしてきた。
「え? 君は、何してるの? こんな所で」
「質問してるのは俺の方だよ、お前は何してるのさ? 俺はお前の後をず~っとついて来てたんだよ」
「うそ!? 私全然気づかなかったわ、ついて来てた事なんて……」
「だろ~! 一応俺もシーフだからね~これぐらいの事は出来るし~」
自慢するように言う少年に深琴は質問をした。
「あなたお名前は?」
「俺はレバンナ、ここに住んでんだ!」
その答えに(この子なら何か知ってるかもしれない) と思った深琴は更に聞いてみた。
「ねえレバンナ!ここって広いよね~街なのかしらここは?」
「そうだな~ここはラスグーンの街の中にあるシーフ街になっているんだ」
それを聞いて、深琴はいろいろなことをレバンナに問いかけることにした。
「シーフ街……レバンナはここの事よく知ってるの?」
「まあ、ここで生まれ育ったから何でも知ってるよ」
「それじゃ~どこに何があるかも知ってるのかな?」
「もちろん! 知らない事はないな」
胸を張って見せたレバンナに深琴は手書きで書いた絵を見せた。絵は盗まれた物を深琴が思い出しながら書いたものだった。
「じゃ~こんなもの見た事ない?」
「ん~見た事ないな~」
「そっか~やっぱりわからないよね普通……」
落ち込んだ様子の深琴を見たレバンナは気になってある場所のことをチラつかせた。
「でも、もしかしたらそういった物が有るかもしれない場所なら知ってるな」
「え! ほんと! どこどこどこどこ?」
せっつくように深琴はレバンナに言うが、ちょっと意地悪そうにレバンナが言った。
「ん~でもお前は俺の質問に答えてないよ~まずここで何してるのか答えてくれないと教えないからな!」
「あ~そっか! 私は探し物をしにここに来たんだけどね――この場所初めてで……どうやって探したらいいか分からなくって、歩いてただけなのよね~」
話を聞いたレバンナは何かを考えていたが、深琴に協力することを伝えた。
「つまり迷子か……じゃ~俺が案内してあげるよ」
「本当? ありがとう! レバンナ」
「そのかわり、俺のしたい事にも協力してくれよな」
レバンナは深琴と一緒に行動をすることとなった――自身の目的の為にも。
一方アーマー達は壁の中に侵入しようとしていた。少し周りの壁より低い場所を見つけたハマが上に登れそうなことを伝える。
「よし! そこから壁の上に行けそうだ」
「ハマ無理するなよ」
アーマーがハマに声をかける。他のメンバーは周りを警戒している。
「しかしまずはこの壁の中がどうなっているか知りたいものね……」
「そうですね~この壁の中に関しては、その辺の人に聞いてみても誰も答えてくれないし」
ミワンの疑問に、ヒロサスも不安げに答えた。
「ハマさん、そこに足かけて!」
ディープがハマを指示をして、ハマは壁を順調に登り進める。そしてハマがやっとの思いで壁を登り終えて皆に声をかけたが、いつの間にかピロが登り終えていて、既に他のメンバーを小扉から入れていた。
「よし! 上がれた! みんなこれを使って……て? え」
「ハマ遅いっちゃ!」
「もうみんな入れてますよ」
事実を知り意気消沈するハマを余所に、壁の内側にメンバーが全員揃った。そしてアーマーがみんなに伝えた。
「とりあえず琴を見つけ出すこと、盗まれた物探しはその後だ――もし相手に見つかっても戦闘は極力避ける事、相手の規模がわからないままやるのは無茶過ぎるっちゃからね」
「了解」
そう言うと三方向に分かれて捜索を開始した。
一つはアーマーとミワン、もう一つディープとヒロサス、そしてピロとハマ――三組に分かれての捜索で時間的には短縮できるが、逆に危険は増した状況となった。
ハマとピロの二人は壁で隔へだたれている中が、まるで普通の街並みと人に溢れている光景に、いささか拍子抜けした感じで戸惑っていた。
「壁の向こう側がこんなんなってるなんて……街じゃないか」
「確かに……」
この場所に関して言えば、怪しい人の雰囲気が無いように二人は感じていた。
「なんっちゃこれ……」
「壁の中にまた街があるなんて…どういう事なのかしら?」
アーマーとミワンも困惑していた。
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三組とも戸惑いながら壁の中にあった街中を探していた。
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