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第二章
第20話 セレス吉村家に居候する
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「そうだ、念のために言っておくけど、日本の家じゃ土足は禁止だから、玄関で靴は脱いでおいて」
セレスを連れて帰宅し、玄関に入った所で軽く注意をすると、心得ているとばかりにセレスがうなずく。
「ええ、日本についての知識はある程度ありますから、その慣習を理解していますので大丈夫ですよ。それからサムライやニンジャは町中で見かけるような存在ではないことも知っていますから」
侍と忍者を持ち出してくるあたり本当に大丈夫なんだろうか、その知識は。
セレスの知識に不安を持ちながらも、玄関を上がってリビングのドアノブに手を掛けるが、そこで手が止まってしまう。
さっきはセレスに希望的な話をしたけど、本当にセレスを家に住ませるのを認めてもらえるだろうか。
とはいえセレスを連れて家まで来てしまったんだから、何とかするしかないよな。
意を決して、リビングのドアを開ける。
「ただいま……」
「お帰りなさい。……どうしたの!? その娘!!」
出迎えた母さんがセレスに目を止めると、物凄く驚いた反応をする。
情けない話、俺が女子を家に上げたことなんて1度も無かったから、金髪で金色の瞳に透き通るような色白の肌といった、明らかに日本人離れした外見の凄い美人を俺が連れて来たらそりゃびっくりするよな。
「初めまして、セレスと申します……」
セレスがそう言い終わって頭を下げた後、言葉に詰まって明らかに困った様子で俺を見てくる。
分かっていたけどセレスに母さんの説得は期待できないな、これ。
「あのさ、ここにいるセレスも含めて色々話したいことがあるんだけど……」
× × ×
ひとまず落ち着いた状態で話すため、俺とセレスがリビングのソファーに隣り合って座り、テーブルを挟んだソファーに母さんが座って向かい合った状態になっている。
やっぱり腰が痛いのか、時々母さんが手で腰を押さえているのが見て取れた。
「それで話っていうのは何?」
「話す前になんだけど……セレス、母さんの腰に回復魔法を頼む。実際に魔法を体験してもらった方が話を進めやすいから」
「分かりました。ちょっと失礼しますね」
セレスがそう言った後、母さんに手の平を向ける。
すると母さんが柔らかい光に包まれた。
「今の光は何!? 魔法ってどういうこと!?」
「腰の痛みを取るためにセレスが回復魔法を母さんにかけたんだよ。ほら、さっきより腰の具合が良くなってない?」
「回復……魔法?」
母さんがつぶやきながらも腰に手をあてて、調子を確かめる。
「確かに腰の痛みが無くなったわ……」
「ここからが本題なんだけど、この前、俺が死んだって聞いた母さんが病院に駆け付けたのに、いざ来てみたら俺が怪我ひとつなくピンピンしてたって出来事があったじゃん。車にはねられた状態の写真もあったし、死んだって記録も間違いなくあったのに」
「そうね……。あの時は本当にそんな奇跡みたいなことが起きるなんて信じられなかったわ」
「その時に俺を生き返らせたのが、このセレスなんだ。今みたいに魔法を使って」
「えっ、この娘が?」
最初母さんは俺の言葉が信じられないのか、セレスをじっと見ていたが、実際に回復魔法で腰の具合が良くなったのが効いたのか、徐々に納得がいった様子を見せる。
「そうだったの……。セレスちゃん、私の1人息子の聖也を生き返らせてくれて本当にありがとう。途絶える所だったこの子の将来を見ることができるんだもの、いくら感謝しても感謝しきれないわ……」
母さんが泣きそうになりながら、セレスにお礼を言う。
なんだろう。俺を生き返らせたことにここまで感謝されると、凄くむず痒い気持ちになる。
「あー……それでさ、魔法を使ってたから分かると思うんだけど、セレスはこことは全く違う世界からやって来たんだ。それでこっちでは決まった家が無くって不便しているから、その……何とかウチに居させるってできないかな……って。ほら、生き返らせてもらった恩もあるわけだしさ」
流石にホームレスをやっていたと言うのは気が引けるので、微妙に言葉を濁して母さんに用件を伝える。
「そう、それで聖也がセレスちゃんを何とかしてあげたいって思って家に呼んだのね」
「あ、ああ。そうだけど……」
どう反応されるかとヒヤヒヤしていたが、母さんがむしろ腑に落ちたような顔をした。
「その理由なら母さんも納得だわ。聖也がこんな奇麗な娘を家に連れてくるなんて、何か事情があると思っていたのよ。聖也の彼女とは到底考えられないからね」
「息子相手に容赦ねえな!!」
俺の抗議には構わないで、母さんがセレスに微笑みかける。
「聖也を助けてくれたわけだし、この世界にいる間はウチで良ければ好きなだけ泊まっていって。これからよろしくね。セレスちゃん」
「ありがとうございます……! 本当に助かりました」
「いいのよ、これくらい。こちらこそ腰の具合を良くしてくれて助かったわ」
母さんとセレスの間に穏やかな空気が流れる。
セレスが違う世界から来たって話したのに、母さんも案外スムーズに受け入れたな。
「もしご近所にセレスちゃんの事を聞かれた時はホームステイに来た留学生って説明しておくから。聖也もそのつもりでね」
「あ、そうか。確かに周りに聞かれて何も話さない訳にはいかないもんな。分かったよ」
これでセレスの住居問題は何とかなったな。
しかし、俺の能力の問題が解消するのは一体いつになるんだろうか。
そう考えていると、俺のスマホから着信音が鳴り響いた。
セレスを連れて帰宅し、玄関に入った所で軽く注意をすると、心得ているとばかりにセレスがうなずく。
「ええ、日本についての知識はある程度ありますから、その慣習を理解していますので大丈夫ですよ。それからサムライやニンジャは町中で見かけるような存在ではないことも知っていますから」
侍と忍者を持ち出してくるあたり本当に大丈夫なんだろうか、その知識は。
セレスの知識に不安を持ちながらも、玄関を上がってリビングのドアノブに手を掛けるが、そこで手が止まってしまう。
さっきはセレスに希望的な話をしたけど、本当にセレスを家に住ませるのを認めてもらえるだろうか。
とはいえセレスを連れて家まで来てしまったんだから、何とかするしかないよな。
意を決して、リビングのドアを開ける。
「ただいま……」
「お帰りなさい。……どうしたの!? その娘!!」
出迎えた母さんがセレスに目を止めると、物凄く驚いた反応をする。
情けない話、俺が女子を家に上げたことなんて1度も無かったから、金髪で金色の瞳に透き通るような色白の肌といった、明らかに日本人離れした外見の凄い美人を俺が連れて来たらそりゃびっくりするよな。
「初めまして、セレスと申します……」
セレスがそう言い終わって頭を下げた後、言葉に詰まって明らかに困った様子で俺を見てくる。
分かっていたけどセレスに母さんの説得は期待できないな、これ。
「あのさ、ここにいるセレスも含めて色々話したいことがあるんだけど……」
× × ×
ひとまず落ち着いた状態で話すため、俺とセレスがリビングのソファーに隣り合って座り、テーブルを挟んだソファーに母さんが座って向かい合った状態になっている。
やっぱり腰が痛いのか、時々母さんが手で腰を押さえているのが見て取れた。
「それで話っていうのは何?」
「話す前になんだけど……セレス、母さんの腰に回復魔法を頼む。実際に魔法を体験してもらった方が話を進めやすいから」
「分かりました。ちょっと失礼しますね」
セレスがそう言った後、母さんに手の平を向ける。
すると母さんが柔らかい光に包まれた。
「今の光は何!? 魔法ってどういうこと!?」
「腰の痛みを取るためにセレスが回復魔法を母さんにかけたんだよ。ほら、さっきより腰の具合が良くなってない?」
「回復……魔法?」
母さんがつぶやきながらも腰に手をあてて、調子を確かめる。
「確かに腰の痛みが無くなったわ……」
「ここからが本題なんだけど、この前、俺が死んだって聞いた母さんが病院に駆け付けたのに、いざ来てみたら俺が怪我ひとつなくピンピンしてたって出来事があったじゃん。車にはねられた状態の写真もあったし、死んだって記録も間違いなくあったのに」
「そうね……。あの時は本当にそんな奇跡みたいなことが起きるなんて信じられなかったわ」
「その時に俺を生き返らせたのが、このセレスなんだ。今みたいに魔法を使って」
「えっ、この娘が?」
最初母さんは俺の言葉が信じられないのか、セレスをじっと見ていたが、実際に回復魔法で腰の具合が良くなったのが効いたのか、徐々に納得がいった様子を見せる。
「そうだったの……。セレスちゃん、私の1人息子の聖也を生き返らせてくれて本当にありがとう。途絶える所だったこの子の将来を見ることができるんだもの、いくら感謝しても感謝しきれないわ……」
母さんが泣きそうになりながら、セレスにお礼を言う。
なんだろう。俺を生き返らせたことにここまで感謝されると、凄くむず痒い気持ちになる。
「あー……それでさ、魔法を使ってたから分かると思うんだけど、セレスはこことは全く違う世界からやって来たんだ。それでこっちでは決まった家が無くって不便しているから、その……何とかウチに居させるってできないかな……って。ほら、生き返らせてもらった恩もあるわけだしさ」
流石にホームレスをやっていたと言うのは気が引けるので、微妙に言葉を濁して母さんに用件を伝える。
「そう、それで聖也がセレスちゃんを何とかしてあげたいって思って家に呼んだのね」
「あ、ああ。そうだけど……」
どう反応されるかとヒヤヒヤしていたが、母さんがむしろ腑に落ちたような顔をした。
「その理由なら母さんも納得だわ。聖也がこんな奇麗な娘を家に連れてくるなんて、何か事情があると思っていたのよ。聖也の彼女とは到底考えられないからね」
「息子相手に容赦ねえな!!」
俺の抗議には構わないで、母さんがセレスに微笑みかける。
「聖也を助けてくれたわけだし、この世界にいる間はウチで良ければ好きなだけ泊まっていって。これからよろしくね。セレスちゃん」
「ありがとうございます……! 本当に助かりました」
「いいのよ、これくらい。こちらこそ腰の具合を良くしてくれて助かったわ」
母さんとセレスの間に穏やかな空気が流れる。
セレスが違う世界から来たって話したのに、母さんも案外スムーズに受け入れたな。
「もしご近所にセレスちゃんの事を聞かれた時はホームステイに来た留学生って説明しておくから。聖也もそのつもりでね」
「あ、そうか。確かに周りに聞かれて何も話さない訳にはいかないもんな。分かったよ」
これでセレスの住居問題は何とかなったな。
しかし、俺の能力の問題が解消するのは一体いつになるんだろうか。
そう考えていると、俺のスマホから着信音が鳴り響いた。
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