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第4章
学園祭①
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プレゼンコンペティションの余韻が、まだキャンパスに残っている頃。
大学は、急に慌ただしくなった。
「篠原さん、ちょっといい?」
「星羅ちゃん、今少し時間ある?」
「ごめん、これお願いできないかな!」
――気づけば、声をかけられない日がない。
理由ははっきりしていた。
プレゼンで名前が出てから、私の印象が少し変わったらしい。
「落ち着いてて頼れる」
「話し方が柔らかい」
「なんか一緒にいると安心する」
そんな評価が、勝手に広まっていた。
私は戸惑いながらも、首を傾げる。
「えっと……私でいいなら」
その一言で、話はどんどん進んでいった。
□
学園祭実行委員会の部屋は、資料と装飾案で溢れていた。
「メイドカフェの受付、星羅ちゃんにお願いしたいんだけど!」
「あと、おばけやしき!お化け役、向いてると思う!」
「えっ……二つ、ですか?」
一瞬、言葉に詰まる。
正直、そんなに目立つつもりはなかった。
でも、期待に満ちた視線が集まる。
「絶対いいって!」
「星羅さんなら安心だし!」
「無理なら言ってね!」
――無理、ではない。
むしろ、胸の奥が少しだけくすぐったい。
必要とされている。
自分が、誰かの役に立てる。
「……分かりました。やってみます」
一瞬、場が沸いた。
「やった!」
「ありがとう、助かる!」
私は思わず小さく笑ってしまう。
こんなふうに、自然に輪の中に入れる日が来るなんて。
□
その日の夜。
私は少しだけ緊張しながら、隼人さんに話しかけた。
「隼人さん、あの……」
「どうしました?」
ソファで書類を読んでいた隼人さんが、静かに顔を上げる。
「今度、大学の学園祭があるんです」
「ええ。知っていますよ」
即答だった。
やっぱり、何でも知っている。
「それで……私、準備と当日の担当をいくつか任されて」
「任された?」
ほんの一瞬、声のトーンが変わる。
でも、すぐに元に戻る。
「メイドカフェの受付と、おばけやしきのお化け役で……」
言い終える前に、隼人さんが小さく息を吐いた。
「……随分、忙しくなりますね」
「はい。でも、みんなが期待してくれて……」
私は意を決して、続けた。
「それで、お願いがあって」
「お願い?」
私は彼をまっすぐ見た。
「学園祭、来てほしいです。絶対」
一瞬の沈黙。
隼人さんの視線が、じっと私を捉える。
逃げ場のないほど、真っ直ぐに。
「……“絶対”、ですか」
「はい。一緒に、回りたいんです」
それは嘘じゃない。
ただ、純粋に――隼人さんと楽しみたかった。
彼はゆっくりと立ち上がり、私の前に立つ。
「分かりました」
優しく微笑む。
「必ず行きますよ。絶対一緒に回りましょうね。俺も楽しみです。」
「ありがとうございます。嬉しいです」
隼人さんは微笑んだ。
優しくて、いつも通りで――
でも、その瞳の奥で何かが静かに熱を帯びていることに、私はまだ気づいていなかった。
大学は、急に慌ただしくなった。
「篠原さん、ちょっといい?」
「星羅ちゃん、今少し時間ある?」
「ごめん、これお願いできないかな!」
――気づけば、声をかけられない日がない。
理由ははっきりしていた。
プレゼンで名前が出てから、私の印象が少し変わったらしい。
「落ち着いてて頼れる」
「話し方が柔らかい」
「なんか一緒にいると安心する」
そんな評価が、勝手に広まっていた。
私は戸惑いながらも、首を傾げる。
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でも、期待に満ちた視線が集まる。
「絶対いいって!」
「星羅さんなら安心だし!」
「無理なら言ってね!」
――無理、ではない。
むしろ、胸の奥が少しだけくすぐったい。
必要とされている。
自分が、誰かの役に立てる。
「……分かりました。やってみます」
一瞬、場が沸いた。
「やった!」
「ありがとう、助かる!」
私は思わず小さく笑ってしまう。
こんなふうに、自然に輪の中に入れる日が来るなんて。
□
その日の夜。
私は少しだけ緊張しながら、隼人さんに話しかけた。
「隼人さん、あの……」
「どうしました?」
ソファで書類を読んでいた隼人さんが、静かに顔を上げる。
「今度、大学の学園祭があるんです」
「ええ。知っていますよ」
即答だった。
やっぱり、何でも知っている。
「それで……私、準備と当日の担当をいくつか任されて」
「任された?」
ほんの一瞬、声のトーンが変わる。
でも、すぐに元に戻る。
「メイドカフェの受付と、おばけやしきのお化け役で……」
言い終える前に、隼人さんが小さく息を吐いた。
「……随分、忙しくなりますね」
「はい。でも、みんなが期待してくれて……」
私は意を決して、続けた。
「それで、お願いがあって」
「お願い?」
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「……“絶対”、ですか」
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ただ、純粋に――隼人さんと楽しみたかった。
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「分かりました」
優しく微笑む。
「必ず行きますよ。絶対一緒に回りましょうね。俺も楽しみです。」
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隼人さんは微笑んだ。
優しくて、いつも通りで――
でも、その瞳の奥で何かが静かに熱を帯びていることに、私はまだ気づいていなかった。
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