人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~

雨宮 叶月

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第一ゲーム アサルト・スクール

完了!

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いくつかの足音が重なって聞こえる。それはだんだん近くなってきた。


私は深呼吸をする。


一人、姿を現した。肩で息をしている。


先陣を切ったのは、笹上詩ささうえうた。バレーボール部の女子だ。

「ここを突っ切ったら帰れるのね…!」

その後ろから男子が3人。パートナーを抱えて上ってきている人もいる。


私たちは壁の反対側に行き、さらに後ろに下がった。



「はぁっ………え」
「うおっ!?」


……来た。

私たちは引き金を引いた。連続で撃ちこむ。


「…っあ」
「っい゛」
「っ!」
「きゅう」


4人(+1匹)まとめて始末完了!


「急げ!意外とたくさんの人が向かっているのかもしれない!」
「待ってよ!置いてかないで!」


……銃を3発撃ち込むという条件のおかげで、みんな勘違いしてくれてる。

私は手に力を入れた。


冷静ならばおかしいと思うかもしれない。

……でも、ここでは恐怖が理性を上回る。


今度現れたのは男子2人。

銃を構える私たちを見て一歩後ずさった。でも声を上げる前に消された。あとから来たパートナーも消した。


「……ははっ」


私、こんなに人の心を掴めるなら、なんで普段は上手くいかなかったんだろうなぁ。


「あっ…」



今度来たのは、瀬山くん。久しぶりじゃん。生きてたのか。まあバスケ部だからかな。


どうしよう、瀬山くんの顔を見たらスライムが思い浮かぶようになってしまった。また会いたいな、あのスライム。可愛かった。


「瀬山くん、生きてたんだね~!……ってことで、ばいばい。」


私はスライディングで瀬山くんに近付いた。瀬山くんは銃を撃ったが、当たらない。


「痛いっ…痛い!」

私はエイムを合わせる。血しぶきが服に飛ぶ。

「がっ……ぁ!」


瀬山くんが消えた。生きているときにかかった血は消えていないが、床は綺麗だった。



私は階段のほうに顔を出す。

……誰もいないようだ。静か。


もう殺されてしまった人も、胡散臭いと思ってこない人もいるからこれくらいか。

そう思ってディーに話しかけようと思ったとき、足音が聞こえた。



私はさっと移動し、ディーの隣まで後ろに下がった。



「ナーオ」


………現れたのは、猫。大きい猫だった。


しかも、見たことある。


………担任の、パートナー。




「ふぅ、階段長いな………成瀬?」


担任と目が合った。


その顔は二度と見たくなかった。今私はどんな表情をしているのだろう。


……さて、どうやって殺そうか。


「成瀬!そこをどいてくれないか?私はゲートを通りたいんだ。
……あ、もしかしてもう定員を超えたとか?だからお前はここにいるのか?」


私は顔を上げた。


「……はっ、全部、ぜーんぶ嘘ですよ。」

「……え?」

担任が困惑する。猫は担任の後ろで尻尾をゆらゆらと振っていた。


「日本に帰れる方法があるなんて、嘘ですよ。私がみんなをおびきよせて、キルしようとしただけですから。」


「なっ……成瀬、お前には人の心というものがないのか!?そんなんだからいつまでもダメなんだよ!」


私は銃を握る手に力を込める。


「…先生。先生は、今まで一回も人を撃たなかったんですか?……そんなことありませんよねぇ?」


デスゲーム開始からずいぶん時間が経ったように思う。30分間誰も撃たなければ、最悪の結果となってしまう。


「そ、それは……」

担任が口をもごもごとさせる。猫の瞳は変わらない。


「森下先生。さっきは、私を責めたかっただけですよね?私のこと、ダメな子だって思ってたんですか?あー、悲しい。すっごく悲しいですよ私は。」

私は顔を覆う。ただし手の下は無表情だ。


「……だってお前はいつも、成宮がいないと何もできなかっただろ!他人のことを思いやらないで、お前自身は臆病で…」


「うるさい」

担任の言葉をさえぎったのはディーだった。この上なく冷たい目をしていた。


「…ああ、私はお前を心から軽蔑する。」


「………は?」



「お前は今まで一体何を見ていた?自分の都合のいいように解釈していただけではないのか?
…お前は人を思いやったのか?全ての人に。」


「……何だよ、他人が出てくるな、悪魔のくせに。」


「…………」


ディーが威圧を放った。


「ひっ……」


担任が腰を抜かした。


私もぷるぷると震えていた。怖い、というか見たことない姿で怖い。


「その汚い口を閉じろ。……そうだ、私は悪魔だ。そして、悪魔の中で一番上の地位にいる。ディオラル。この名前を覚えておけ。残酷で、執着した者は絶対に逃がさない。」


ディーは高らかに笑った。


「…伊澄を傷つけたお前は絶対に許さない。」


ディーは威圧をといたが、担任はガタガタと震えたままだ。



私はゆっくりと担任の傍に行き、しゃがんだ。

首をかしげる。


「……私も貴方を許しません。せいぜいもがいて、生きて、苦しんでくださいね!」

私は不器用に笑った。


そして立ち上がる。


私は迷いなくディーの隣に並んだ。


「さあ、立ってください。戦闘の時間です。」


担任は壁に手をつき、こちらを睨みながらよろよろと立った。

たとえ担任が体育の教師だからって変わらない。


勝敗は、もうついたも同然だ。


私は軽く銃を構える。


「あああああああ!」


担任がこちらに走ってきた。私はスローモーションを見るように、落ち着いていた。

担任が体をすぐさま斜めに倒し、こちらに銃口を向ける。引き金に手をかけるのが見えた。


私はふわっとしゃがむ。



……もういいか。絶望を与える機会は、まだまだある。


ちょこまかと動き回って撃ちにくいな、と思っていると、微動だにしなかった猫が動いた。


私は咄嗟にそちらに目を向ける。



……しかし、猫がやった行動は、担任の背中を蹴ることだった。


「えっ…わっ……!?」


担任が無様に転ぶ。猫にも裏切られてやんの。


猫と目が合う。


私は口元をほころばせた。この猫とは気が合いそうだ。後でキルするけど。



「はぁ………」


私は1発担任に向かって撃つ。


「っ!!!!」


…2発目。


「痛っ…!痛い…!」

3発目。

「あああああああ!」

……4発目。


「がっ、はっ……!」

5発目。


「あああ!もう、やめてくれ…!あ…ああ、お願いだから」

6発目。

担任は消えた。


「………」


私はゆっくりと銃を下ろす。


バン、と音がして今度は猫が消えた。



「……ディー、ありがとう。すごく嬉しかった。」
「……俺は、伊澄とずっと一緒にいたいから。伊澄を傷つける奴らは俺がぜんぶ排除してあげる。」
「……うん。」


するとそのとき、放送が鳴った。


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