【完結保証】超能力者学園の転入生は生徒会長を溺愛する

兔世夜美(トヨヤミ)

文字の大きさ
76 / 103
第九章 胡蝶の夢

第七話 あなたの暗闇/俺にはなれない

しおりを挟む
 外は正直、暑い。
 夜だからといって、ほとんど気温はさがらない。
 真夏だ。
 だから、驚いた。
 触れた白倉の手が、ものすごく冷たい。
 ひんやりしている。
 真っ青な顔。
「…白倉?」
 名前を呼んでも、白倉は反応しない。
「白倉」
 怖くなって、もう一度呼んだ。
 白倉はゆっくりと吾妻を見上げたが、冷静ではない証拠に呼吸が浅かった。
「……どうしたの?」
 濡れた翡翠の瞳。
 そっと、手を伸ばして、溢れそうな涙を拭った。
 白倉が身を震わせる。
「白倉……どうした?」
 聞いている自分の方が、怖くなってきた。
 不安になった。
 どうして、そんなひどい顔しているんだ。
「……」
 白倉はなにも言わず、吾妻の身体にしがみついた。
 思わず、背中を抱きしめ返す。
 悲しんでいる。
 それだけはわかる。
「…白倉」
 でも、それ以上がわからない。
「僕が悪い?」
 白倉は吾妻の胸元に顔を押しつけたまま、首を横に振る。
「岩永?」
 また、首を横に振った。
「……じゃあ、どうして」
 そんなに、辛そうなんだ。
「僕には言えない?」
 白倉は抱きつく力を強める。
 なにも言わない。
「…僕じゃ」
 力になれないのか。
 僕じゃあ駄目なのか。
 この身体の持ち主じゃなきゃ、駄目なのか。
 この身体の持ち主なら、もっと的確な言葉をかけられるとでもいうのか。
 もっと、彼の心情をうまく汲めると言うのか。
 自分では、足りないというのか。
 悔しい。
 悲しい。
 俺じゃあ、なにも出来ないのか。
 俺は、あいつの代わりにもならないのか。



 翌日の302号室。まだ日は高く、暑いが、寮内はクーラーのおかげで涼しい。
「……喉かわいたんやけど」
 ぽつりと抗議してみると、村崎は無言でさっさとリビングの方に向かった。
 岩永は寝台に腰掛けたまま、「あ、そう」と思う。
 ほんの少しの距離。室内すら自由に歩かせる気がないのか。
 ペットボトルを片手に戻ってきた村崎を見上げて、ため息を吐く。
「この前まで隔離で、また似たようなことされると気が滅入るんやけども…」
「やったら、窓から飛び降りる真似なんかするんやない」
「……そらそうやけど」
 反論の隙がないから、岩永は黙るしかない。
 あのあと自首しに行った自分をものすごく怒って、そして村崎は302号室から出してくれない。
  自分を一人にするのが怖いらしい。
「そないな危ない行動せぇへんし」
「ここは何階やと思うてる?」
「……すんません」
 飛び降りた行為自体危険だろう、と遠回しに言う村崎に、やっぱり文句は言えない。
 302号室。つまり300桁の番号の部屋は、下から三番目の階ではなく、上から三番目の階だ。
 寮はこの建物だけではないし、他に何棟かある。
 が、300桁の番号の部屋は、六十八階にあるのだ。相当な高さである。
 各寮は皆、七十階の高層な建物だ。
 それでも超能力を使えば、飛び降りて無事着地することは不可能ではない。
 が、危険は危険だ。
 別に寝室の中は自由に動けるし、物に不自由しているわけじゃない。
 朝、流河達が顔を見せたが、自分の味方はしてくれなかった。
 村崎から詳しく事情を聞いたらしい。
 チーム対抗トーナメントの本戦が始まるまでには自由にしてくれるだろうから、あまり危惧していない。
「村崎ー」
「なんや?」
 でもちょっと、気が滅入るので、悪戯を思いついた。
「こないなことしても無駄やない?」
「……」
 村崎は眉を寄せて、自分を見下ろした。
「俺が本気出したら、村崎は勝てへんやろ?」
「寮内での私闘は禁止や。チーム戦は失格やろうな」
 岩永は言葉に詰まった。
 それはそうだけど。
 てっきり少しはうろたえるのかと思いきや、冷静に反論してきた村崎に、二の句が浮かばない。
「悪いが、お前とつき合いは長いんや。
 ある程度の思考は読める」
「……そうみたいやな」
 今度は、もう勝てる気がしなくて、覇気なく呟いた。
 そのときだ。
 室内に、来訪を知らせるチャイムが鳴った。
 村崎はさして表情を変えることもなく、玄関に向かう。
 一人になった部屋で、岩永はまたため息を吐く。
「……別れよう、って言ったら、そらこうなる」
 独り言だ。
 わかっていた。
 村崎の性格ならこうなる。
 一部でも、失っていた記憶が戻ったから余計に、わかる。
 村崎は自分を手放したりはしない。
 わかっている。
 でも、俺は離れようと決めた。
「嵐」
 村崎に名前を呼ばれて、ハッとする。
 もう戻ってきたのか。
 顔を上げると、そこには白倉と吾妻の姿があった。
 なるほど、来訪者は彼らか。
 自分に用事らしい。
「嵐」
 白倉が名前を呼ぶ。
「なん?」
 わかっていたけど、微笑んだ。
 いつも通り。
 白倉が微かに顔を歪める。
「どないしたん?
 俺の様子が変ってことなら、少しは自覚したし」
 白倉は言葉を遮り、ふるふると首を左右に振った。
 白金の髪が揺れる。
「あんた、知ってるだろ?」
 吾妻の言葉に首を傾げてみせる。
  本当は知ってるけど。
「わかってただろ?
 昨日の夜。裏庭で。
 白倉がいたこと」
 もう少ししらばっくれたかったけど、ここまで言われたら認めるしかない。
 昨日の夜のことを知らない村崎が、眉をひそめた。
「わかっとったから、お前に言ったんやけどな」
「ひどいね。
 実際は白倉に言ってたって、気づかんかったよ」
 薄く笑んで「嘘吐け」と返す。
 すぐに、小さくかすれた声が響いた。
 自分と吾妻は、一瞬口を閉じる。
「なんで?」
 白倉の泣きそうな声。
「なんで、知ってたの?」
「…なんでて」
「…なんで」
 翡翠の瞳が揺れている。
 濡れているのが自分の位置からでもわかる。
「…誰に聞いたの?」
「内緒」
「嵐」
 責めるように呼ばれた。
 本当は、聞いたんじゃないから、そう問われても困る。
「名前言うたら、お前らそいつを怒るやんか。
 別にええやろ。
 いつかは知ったことや」
 本当は聞いたんじゃない。
 でも、今それを知られたくない。
 村崎が話の流れが見えないらしく、険しい表情のまま自分と白倉を交互に見る。
「……お前は、一生知らんでよかった」
「嘘やな」
 きっぱり否定すると、白倉は濡れた瞳で自分を睨んできた。
「逆に惨めや。
 他人事扱いして、暢気に笑って、嘘を信じて。
 俺はなにも教えてもらえんかった」
「やから、知らんでいい!」
 白倉を睨み付ける。
 肩で息をするその身体を。
 自分よりは小さなその肩。
 自分より、よほど悲しそうな顔。
「ほな、俺はいつまで蚊帳の外におったらええん」
 白倉の顔から視線を逸らして、低く呟く。
 自分のために悲しむ白倉の姿が、痛かったから。
「知らんままなんて無理や。
 …お前の左手に、消えへん痕があるんに」
 その言葉にやっと、村崎は何の話かを悟ったらしい。
 目を瞠って、息を飲んだ。
 血の気が引いたような反応を見てしまい、失敗したと思った。
 村崎に、ここにいて欲しくない。
「白倉や、流河や、…村崎に怪我させとったんに。
 殺しとったかもしれんのに、俺に知る権利はないとか、そんなわけないやろ」
「違う!」
 否定の言葉は、二人の人間のものだった。
 反射的に反論した、村崎と白倉の声。
 村崎がハッと我に返って、口を押さえる。
「お前は悪くない。
 お前のせいじゃない」
 白倉ははっきりと言い切った。
「…村崎も言うてたわ。
 …ほな、聞くけど、飲酒運転は罪やんな?」
「……」
 飛んだ話題に、白倉は一瞬ついて来れない様子だった。
「悪いやろ?」
「……そりゃ」
「ほな、飲酒もしてないし、居眠りもよそ見もしてない。
 全く落ち度はないんに、たまたま運悪く他人を撥ねてしまった車の運転手は、じゃああなたは悪くありません。無罪放免です。
 ってなると思う?」
 足を組んで、自嘲みたいに笑う。
「それと同じ」
「違うだろ!」
 白倉の声は、今度はひどく重かった。
 心臓が揺らされた気がして痛かった。
 自分が、余計小さい存在な気がして。
「それは屁理屈や。
 お前はなんも悪ない。
 なんの罪もない。
 お前は…被害者や」
「…そう」
 哀れまれてるわけじゃない。
 真剣に親身に、自分を思ってくれている。
 みんな優しい。
 だから、辛いんじゃないか。
 だから、痛いんだ。
 みんなが大事だから。
「……もうええ」
「…嵐?」
「平行線や」
 きっと、なにを言っても、誰もがそう言うだろう。
 お前は悪くないんだと、言うだろう。
 本当は、それに慰められて、甘えてしまうのが、楽なんだろう。
 それが普通なんだろう。
 でも、自分はそこで止まれない。
「…もう、お前は俺にかまうな」
「…嵐?」
「村崎も……別れようって言うた。
 撤回する気はない。
 他に、似合いの娘なんてようさんおるやろ。
 …自分から傷つきに来ることはない」
 あえて村崎の表情は見なかった。
 見たくなかった。
 本当はこんなこと言いたくなかったから。
 それでも、今の自分には、要らなかった。
 誰も。
 側に立った人の気配に、村崎を予想した。
 殴られるかな、と思った。
 空気を切る音がして、頬を打った手の感触。
 瀬生いた音がしたけど、驚いた。
 茫然と、目の前に立つ男を見上げた。
「…白倉?」
 てっきり、村崎だと思ったのに。
「アホ」
 そう罵った白倉は、やっぱり悲しそうだった。
 怒っていたけど、瞳の奥が辛そうだった。
「なんでそうなんねん。
 なんで一人で背負うねん。
 なんで……。
 …お前が大事やから、好きやから、静流はずっとお前を…!」
 うん。
 心の中で頷いた。
 知ってる。
 そんなのわかってる。痛いほど。
 隔離が解けたあと、202号室に戻ってすぐ探した。
 今年の誕生日。
 部屋の前の廊下に置かれていたプレゼント。
 覚えてる。
 誰からのものか、メッセージカードもなくて、わからなくて、捨てられなくて部屋の奥に眠っていた。
 包みの中にあったのは、シンプルな黒い手袋だった。
 自分の誕生日は冬だから。
 どんな気持ちで選んでくれたのかと思ったら、嬉しくて、悲しくて。
 祝ってくれていた。
 本当は祝ってくれていた。
 わかってる。
 どれだけ想われているのか。
「嵐の馬鹿!」
 うん。
 頷いた。心の底。
 自分が一番わかってる。
 知ってる。
 白倉は浮かんできた涙を拭って、背中を向けた。
 部屋から出ていく彼を、吾妻が追った。
 村崎が近寄ってきたので、思わず身構えたら、頬を両手で叩かれた。
 軽く。
 それに、びっくりする。
「…お前のせいやない」
 白倉と同じことを言う。
「お前は悪うない」
 聞いていることちが泣きそうになる、優しい声。
「……儂も白倉はんも、今は元気やろ…」
「……うん」
「…お前がおって、辛かったことはない。
 嘘はない。
 …頼む」
 伸ばされた手が、そっと抱きしめてきた。
「…傍におってくれ」
 一瞬、本気で泣きそうになった。
「お前に、ここにおって欲しい…」
 嬉しかった。
 このまま、それに甘えて、自分を許してしまえたらいいのに。
 そんな風に、自分を認められたならよかったのに。
 出来ない。
 だって、知りすぎてしまった。
 あの記憶の中には、知らなくていいものが、多くありすぎた。



 白倉は寮の屋上にいた。
 明るい太陽が照らしていて暑い。
 高いから、風が強い。
「白倉…」
 吾妻が近寄っていくと、白倉は振り返って笑った。
 無理した笑顔。
「……俺な」
 吾妻が口を開く前に、白倉が独り言のような調子で言う。
「…ショックだった。
 嵐は、なんも知らないはずだったんだ。
 誰も教えないようにしてたから」
「……ならどうして」
 自分にそう言ってくれなかったのか。
 自分はそんなに頼りないのか。
 悔しい。
「……だって、お前が好きなのは、俺じゃないもん」
 白倉は屋上から見える風景を見下ろして、そう言った。
「お前は、最初からずっと、俺を通して、違う人を見てた。
 俺にそいつを重ねてた。
 俺を前に、そいつに向かって、愛してるって言った」
 風が白倉の髪を揺らす。
 日差しに照らされた横顔が、自分を見て、切なそうに微笑んだ。
「……俺は、お前の白倉じゃないよ。
 違う世界の、…吾妻財前」
 言葉がなかった。
 見つからなかった。
 衝撃すぎて。
 わかっていたのか。
 知っていたのか。
 最初からずっと。
 そんなにも、俺は白倉だけを見ていたのか。
 そんなにも、お前は、吾妻を見てきたのか。
 俺がたった数ヶ月だと侮った関係、時間は、そんなにも重かったのか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

魔王城の清掃係ですが、ラスボスに懐かれて世界を磨くことになりました

由香
恋愛
異世界に転移したら、なぜか魔王城の清掃係に就職していました。 巨大な玉座、血のついた回廊、禍々しい装飾品の数々。 今日も黙々と床を磨いていたら―― 「お前の磨いた床は、よく眠れる」 恐怖の象徴と名高い魔王様に懐かれました。 見た目は完全にラスボス。 中身はちょっと不器用で、独占欲強めの努力型。 勇者は帰還の道を示し、魔王は隣を選べと願う。 光と闇のはざまで、選ぶのは――ただの清掃係。 戦争よりも、まず床。 征服よりも、まず対話。 これは、世界最強の存在に溺愛されながら 世界平和を“足元から”始める物語。 甘くて、少し熱くて、ちゃんと選ぶ恋。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

処理中です...