せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第二章 ~ゲームの邪魔はしないから、せめてちょっとだけ~

果物屋のオッサンに怪しまれる

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何日間か、向かい側から見張ってた果物屋。
今はすぐ店先で、オレと果物屋のオッサンが向かい合ってる。


エステードさん達がいなくなってから。
また果物屋の見張りを再開したんだけど、やっぱりヒーローもリッカも現れなくて。

そろそろ夕方になるから、いつも通り果物屋でリンゴを買って帰ろうとしたら。
果物屋のオッサンに呼ばれたんだ。



「…………。」

オッサン、じ~っとオレを見てる。
なんでか分かんない。


「…………。」

これ……。あれかなぁ?
店の向かいに連日立たれちゃ営業妨害なんだよぉ……ってやつか?
今からオレ、このオッサンに怒られんのか?


「……お前さっき、兵士と話してたろ。」
「ん、あぁ。」

やっぱりオッサン、気の所為じゃなくて、あんときオレを見てたんだな。
そっか、どうしよっかなぁ。

オレはバレないように考え込む。
エステードさんと同じ内容で、このオッサンに言い訳しようかどうか。


「幸せかどうか見るだけでいい、って。」
「あぁ……えっ?」
「はーい、毎度ありー! 重たいから、気をつけてな~!」

会話がバッチリ聞かれてた。って恥ずかしいけど。
聞き返そうとしたオレの声も消えちゃうくらい、後ろからでっかい声がしてさ。
ビックリして振り返ったら、果物屋のもう一人のオッサンが……そうだ、果物屋はオッサン二人で営業してるんだった……買い物客を見送ったトコなんだけど。



えええっ、ちょっと待てってば!

あの後姿! バカみたいに山盛りなリンゴ入りの袋!


あれは……リッカだ! 間違いない!


よりにもよって! オレが、説教五秒前みたいな、こんな状況で!



オレは自分が叫び出さないよう、ぎゅって唇を噛んだ。


……さよなら、リッカ。
今日のところは、さよならだ。
流石に今、追えないし。



「あー……。悪かったな。」

目の前にいるオッサン、急にしょんぼりしたオレを見て可哀想に感じたんだろうな。

なんかバツが悪そうな顔で謝られた。
そして何故かリンゴを二つ差し出される。

「え? なんで?」

オッサンがオレにリンゴをくれる理由が思い付かないぞ。
流石にこれは受け取れないって。

「誤解した詫びだ。」
「や、ほんとに、なんで?」

オッサンもなかなか頑固だ。
オレが返そうとしても受け取ってくれない。

結果。オレとオッサンが、手でリンゴを挟んでグイグイ押し合ってる。

「いいから、取っとけ。……俺の気持ちだ。」
「んー……気持ちは有難いけど、さぁ。」

そもそも何の気持ちだよ、って話よ。
オッサンは詫びだって言うけど、何をどう誤解した詫びなんだろな。

……でも、あー、これは詳しく聞かない方がいい気がするぞ。



「お~い、なぁにやってんだ。あァ?」

声を掛けて来たのは、今度こそルサーだった。
リンゴを挟んだオレとオッサンを、呆れた顔で見てる。


……あれ? ルサー、もう仕事上がり?

「え、ルサー? あれ、もうそんな時間か。ごめん、オレ…」
「あーいや、違う、そ~じゃねぇ。」

ルサーはチラッと果物屋のオッサンを見てから、軽く咳払いして。

「エステードがよ、今日は早く上がれって……。」
「へぇ~。明日は休みなのに、いいのか?」
「いいらしい。……その、お前さんを……元気にしてやれ、ってよ。」
「そっかぁ。ありがとな、ルサー。……あ、晩御飯ど~する?」

むしろ別れ際のエステードさんの方が元気無かったんだけど。
モブなオレを気に掛けてくれるなんて有難いな。





「ルサー。お前よ…」

果物屋のオッサン、何故か厳しい声を出した。


「騙されてないか?」
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