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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~
忘れたかった過去・1 $ルサー$
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* * * 時間は前日に遡る * * *
名前を呼ばれ。王子と言われ。
気が動転した俺はアイツに、片っ端から物を投げ付けてた。
自分でも分かるぐらいにみっともねぇ顔……見られるのが嫌で、アイツを部屋から追い出した。
投げ散らかした物が散乱した部屋。
床に蹲った俺は小箱を腹に抱えたまま動けずにいた。
「ルサーを傷付けてゴメン。オレ、誰にも言わないから。安心してくれ。」
閉じた扉の向こうから聞こえるアイツの声に、返事してやる事も出来なかった。
やがて部屋の外から、アイツの気配が消える。
腹ン中や頭ン中でワケの分からねぇ感情がグルグルして、発作的に俺は抱えてた物を頭上高く上げた。
だが床に叩き付けようとした瞬間、アイツの声が耳に蘇る。
――― 「それは乱暴に扱っちゃダメだ。」
病院から帰って来てから、ちょっと物置き場の扉を開けてゴソゴソやってたら、上の方から落ちて来た……すっかり忘れてたソレ。何の変哲も無ぇ小さな箱だ。
見栄えは立派なモンだが、それが大事な物だなんて普通は分からねぇはずだ。
それをアイツは、『大事な物』だと分かってるような反応をした。
小箱の事を乱暴に扱うなと言ったアイツは、きっと知ってる。
本来ならその中に、『何が仕舞われる』かを。
俺の事を『ルサージュ第二王子』と呼んだアイツは、きっと知ってる。
ルベロとネモーリ以外に誰も知らないはずの……かつて俺が何者だったのかを。
両方知ってるなら。もしかしたら。知られてるかも知れない。
子供だった俺に……王子に何があったのか、も。
あれから二十年近く経ってるのに。
こんな小さな箱一つ見ただけで、簡単に思い出しちまった……。
* * * * * *
幼少期の俺を息子として引き取ってくれたのは、国の王様だった。
国土の大部分が海に面した、半島の小さな国、リスタニア。
第一王子の名は、アレイスティ。
四つ年上の兄王子には、次の国王になるという責務があった。
俺はルサージュと名付けられ、大事に育てられた。
第二王子である俺の責務は、その国の……小国だから片手で足りる数だが……ハーレムに入り、子供を授かる事だった。
国土が狭くて海が多いから、赤ん坊を拾える可能性を少しでも上げる為にな。
必要に応じていずれ引き取られるだろう、第三、第四王子の責務も同じだ。
俺が十二歳の誕生日を迎えた直後。
親父こと国王陛下に、神妙な面持ちで部屋に呼ばれた。
「ルサージュの……ハーレム入りの話だがな…」
「……またソレかよ。」
陛下の話を遮って俺は溜息を吐いた。
口調が乱暴なのはご愛敬……いや、当然の結果だ。
島国リスタニアの国民性は荒くれ漁師。全員とは言わないが、気性も口調も荒い奴が多い。
それは王族も同じで、国王陛下はある程度落ち着いたもんだが……兄王子や俺はこんなもんだ。
地形の所為で、他国との交流なんぞ殆ど無いし、この国に来る旅人ってのも少ないからな。
「十五になったらハーレムに入って、十六になったらヤルんだろ? 分かってるっつーの。」
通常はハーレムに入れるのは十六歳からだ。
だが、その年齢まで『手を出さない』ものの、先に入宮させておく事は出来る……らしい。詳しくは知らねぇ。
まぁ要するに予約って事だろ。成人後はハーレム妻になるって約束の、形式だけの入宮だな。
行く行くは妻になるって未来を俺が忘れてねぇか。それを確認する為の、いつもの遣り取りだと思ってた俺は軽い調子で言ったんだが。
相対する陛下の表情は酷く曇ってた。
いつもなら「ヤル、とか言うな!」って怒鳴られる所だぞ。
「その話だが……。」
「何だよ、歯切れ悪いな。まさか……無くなったんじゃねぇだろ?」
言い難そうな様子に、俺は嫌な予感がした。
茶化すように言ってみたが、陛下は怒りも笑いもしねぇ。
重たい口を開いた陛下は、まさかの内容を告げた。
「あぁ……。ルサージュがこの国のハーレムに入るという話は、無くなった。」
「……はあぁッ? 無くなった、って……フラれたのかっ? 俺が?」
突然の衝撃に俺は正直、ムカついた。
別にハーレムに入るのを楽しみにしてたワケじゃねぇが、周りからは常日頃から「可愛い」「美少年」って言われてたんでな。
なのにハーレム入りが無くなったと聞かされて、プライドが傷付いた。
「いや、そうじゃない。ハーレムには……入れと、言われているんだ。」
「結局ドッチなんだよっ。」
奥歯に物が挟まった言い方をされて苛立つ。
普段は海の男らしく豪快な陛下が、そんな態度になるぐらい苦しんでるとは、十二歳の俺には気付けなかった。
「予定していたのとは、別な所だ……。」
「じゃあ、大した変わらねぇだろ。」
どうせ同じ国内の別ハーレムだろう。
そう思った俺が気楽に、ぞんざいな態度を取っても陛下は声を荒げなかった。
後になって思えば、辛かったんだろうと思う。
父親として、自分が引き取った子供を守れねぇ事が。
国王として、小国であるが故に、大きなハーレムの天守に逆らい切れねぇ事が。
「お前に入宮の打診があったのは、大陸にある大ハーレムでな。天守はイクシィズという名だ。」
名前を呼ばれ。王子と言われ。
気が動転した俺はアイツに、片っ端から物を投げ付けてた。
自分でも分かるぐらいにみっともねぇ顔……見られるのが嫌で、アイツを部屋から追い出した。
投げ散らかした物が散乱した部屋。
床に蹲った俺は小箱を腹に抱えたまま動けずにいた。
「ルサーを傷付けてゴメン。オレ、誰にも言わないから。安心してくれ。」
閉じた扉の向こうから聞こえるアイツの声に、返事してやる事も出来なかった。
やがて部屋の外から、アイツの気配が消える。
腹ン中や頭ン中でワケの分からねぇ感情がグルグルして、発作的に俺は抱えてた物を頭上高く上げた。
だが床に叩き付けようとした瞬間、アイツの声が耳に蘇る。
――― 「それは乱暴に扱っちゃダメだ。」
病院から帰って来てから、ちょっと物置き場の扉を開けてゴソゴソやってたら、上の方から落ちて来た……すっかり忘れてたソレ。何の変哲も無ぇ小さな箱だ。
見栄えは立派なモンだが、それが大事な物だなんて普通は分からねぇはずだ。
それをアイツは、『大事な物』だと分かってるような反応をした。
小箱の事を乱暴に扱うなと言ったアイツは、きっと知ってる。
本来ならその中に、『何が仕舞われる』かを。
俺の事を『ルサージュ第二王子』と呼んだアイツは、きっと知ってる。
ルベロとネモーリ以外に誰も知らないはずの……かつて俺が何者だったのかを。
両方知ってるなら。もしかしたら。知られてるかも知れない。
子供だった俺に……王子に何があったのか、も。
あれから二十年近く経ってるのに。
こんな小さな箱一つ見ただけで、簡単に思い出しちまった……。
* * * * * *
幼少期の俺を息子として引き取ってくれたのは、国の王様だった。
国土の大部分が海に面した、半島の小さな国、リスタニア。
第一王子の名は、アレイスティ。
四つ年上の兄王子には、次の国王になるという責務があった。
俺はルサージュと名付けられ、大事に育てられた。
第二王子である俺の責務は、その国の……小国だから片手で足りる数だが……ハーレムに入り、子供を授かる事だった。
国土が狭くて海が多いから、赤ん坊を拾える可能性を少しでも上げる為にな。
必要に応じていずれ引き取られるだろう、第三、第四王子の責務も同じだ。
俺が十二歳の誕生日を迎えた直後。
親父こと国王陛下に、神妙な面持ちで部屋に呼ばれた。
「ルサージュの……ハーレム入りの話だがな…」
「……またソレかよ。」
陛下の話を遮って俺は溜息を吐いた。
口調が乱暴なのはご愛敬……いや、当然の結果だ。
島国リスタニアの国民性は荒くれ漁師。全員とは言わないが、気性も口調も荒い奴が多い。
それは王族も同じで、国王陛下はある程度落ち着いたもんだが……兄王子や俺はこんなもんだ。
地形の所為で、他国との交流なんぞ殆ど無いし、この国に来る旅人ってのも少ないからな。
「十五になったらハーレムに入って、十六になったらヤルんだろ? 分かってるっつーの。」
通常はハーレムに入れるのは十六歳からだ。
だが、その年齢まで『手を出さない』ものの、先に入宮させておく事は出来る……らしい。詳しくは知らねぇ。
まぁ要するに予約って事だろ。成人後はハーレム妻になるって約束の、形式だけの入宮だな。
行く行くは妻になるって未来を俺が忘れてねぇか。それを確認する為の、いつもの遣り取りだと思ってた俺は軽い調子で言ったんだが。
相対する陛下の表情は酷く曇ってた。
いつもなら「ヤル、とか言うな!」って怒鳴られる所だぞ。
「その話だが……。」
「何だよ、歯切れ悪いな。まさか……無くなったんじゃねぇだろ?」
言い難そうな様子に、俺は嫌な予感がした。
茶化すように言ってみたが、陛下は怒りも笑いもしねぇ。
重たい口を開いた陛下は、まさかの内容を告げた。
「あぁ……。ルサージュがこの国のハーレムに入るという話は、無くなった。」
「……はあぁッ? 無くなった、って……フラれたのかっ? 俺が?」
突然の衝撃に俺は正直、ムカついた。
別にハーレムに入るのを楽しみにしてたワケじゃねぇが、周りからは常日頃から「可愛い」「美少年」って言われてたんでな。
なのにハーレム入りが無くなったと聞かされて、プライドが傷付いた。
「いや、そうじゃない。ハーレムには……入れと、言われているんだ。」
「結局ドッチなんだよっ。」
奥歯に物が挟まった言い方をされて苛立つ。
普段は海の男らしく豪快な陛下が、そんな態度になるぐらい苦しんでるとは、十二歳の俺には気付けなかった。
「予定していたのとは、別な所だ……。」
「じゃあ、大した変わらねぇだろ。」
どうせ同じ国内の別ハーレムだろう。
そう思った俺が気楽に、ぞんざいな態度を取っても陛下は声を荒げなかった。
後になって思えば、辛かったんだろうと思う。
父親として、自分が引き取った子供を守れねぇ事が。
国王として、小国であるが故に、大きなハーレムの天守に逆らい切れねぇ事が。
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~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
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※第11話を少し修正しました。
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※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
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