せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~

忘れたかった過去・2 $ルサー$

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陛下が言うには、イクシィズって天守は大陸でも有数の大きなハーレムを築いてるらしい。
大陸の、末端の王子だの公爵令息だのって高貴な連中も妻にしてる、ってよ。

そんな大ハーレムの天守様が、わざわざこんな僻地の小さな半島国家なんぞ、本当に声を掛けて来るのかと疑わしい所だが。
先日、リスタニアを訪れた使者様は、飛空船って乗り物で空から降りて来たそうだ。
そんな物を使えるのは大陸の王族か高位貴族、よっぽどの豪商ぐらいだからな。使者が飛空船を使えてるってだけで、そこら辺のハーレムじゃねぇって分かる。


「意味が分からねぇ。……会った事も無いのに。」

俺の呟きも尤もだろ。
大ハーレムの天守から、妻にと望まれるような心当たりは無ぇぞ。

俺の正論を陛下は無視して話を続けた。

「アチラさんはお前を……。ルサージュを本妻に、と言って来た。」
「はあぁっ? 馬鹿じゃねぇの、そいつ。」
「……っ、ルサージュ!」
「十二歳の俺がっ、本妻とかっ、頭オっカシイだろっ。」

自分の事だが、流石は子供。沸点が低い。
陛下に窘められても俺の怒りは治まらなかった。


子供の俺でも知ってる事だが。

本妻ってのは一つのハーレム内に一人だけの、特別な存在。人数に制限の無い妻とは違う。
どんなに大きなハーレムでもそれは同じだ。
基本的に妻同士には、ハーレムに入宮した順番で先輩・後輩はあるが、ハッキリとした上下関係じゃない。
だが本妻は、明確に妻達のトップだと決まってる。
他に妻が何人いようが、後から入ろうが、年齢も地位も関係なく、本妻がそこのトップ。

更に本妻には色々な義務と権限があるらしい。
元々俺は単なる妻としてハーレムに入る予定だったから、あんまり詳しくは知らねぇが。
同じハーレムに新たな妻が加わるには本妻にも意見を聞かれるとか、ハーレムに関する手続きを天守に代わって行ったり、判断したり、と……まぁ色々だ。

それを十二歳の子供にさせるとか、狂気の沙汰だろ。


「それだけ……本気だって事だ。わざわざ本妻に…」
「打診されたって、別に……絶対に入らなきゃってワケじゃねぇだろ!」
「確かに絶対じゃない。だがっ……。既にハーレム内では予定として知られているようだ。ルサージュが、本妻として加わると。」
「そんなん、打診じゃなくて決定じゃねぇか! ……クソっ。」

頭に来た俺は陛下と言い争い、捨て台詞を吐いて自室に逃げ帰った。




      *      *      *




飛空船が俺を迎えに来たのは僅か二週間後だった。

結論から言うと、俺は大ハーレムに本妻として入る事を受けた。
子供の頭だが、薄々分かってたさ。
この話は断れない。俺が嫌がっても、婚約者のいる兄王子が入宮するだけだ、ってな。


「悪かったな、ルベロ。お前の出世……潰しちまった。」

停泊した飛空船までの道。
斜め後ろを歩く男に、俺は声を掛けた。

「なぁに、イイってことよ。里帰りの時にゃ、存分に護衛してやるさ。」
「……楽しみに、してる。」

十歳上のルベロは、兄王子の護衛騎士の一人だ。
俺が十二歳になったから、俺専属の護衛騎士を付けるって話になった時に、ルベロは俺の筆頭騎士になった。
だが俺が入宮して国から出る事になり、その役目は無くなった。

里帰りの話をしたが、本妻の立場じゃ、おいそれと宮殿を離れられないだろう。
家族の誰かの葬儀まで宮殿から出られねぇかもな。と、俺は思ってた。


「それにしても、よぉ。あんだけデカけりゃ、もっと荷物詰めるだろぉがよ。」
「向こうで精々イイモン買って貰うさ。」

入宮するに当たり、俺が従者を伴う事は認められなかった。
荷物の持ち込みも一つだけ。
家族が大急ぎで用意してくれた、本妻に贈られるハーレムリングを入れる為の綺麗な小箱。それだけを持って、俺は故郷を後にした。




飛空船は数時間で大国の王都にある、イクシィズの宮殿に到着した。
緩くカーブした高層な建物の屋上に直接降りるという豪快さだ。

執事らしき男と、それに付き従う数人の従者が出迎えに現れた。
自分の部屋へと案内されて廊下を歩く俺はさっそく、先輩妻からの悪意と聞えよがしの陰口を浴びる。

田舎者。男狂い。クソガキ。淫売。娼夫崩れ。恥知らず。野蛮人。
いきなり現れて本妻に収まるんだから、良く思われねぇのは予想の範囲内だったがよ。
……子供相手によくまぁ、こうまでアレコレ言えたもんだ。あの妻の中にゃ王族・貴族も交じってるハズなんだがなぁ。


「妻の皆さーん。寄ってたかって、は駄目ですよー。」

周りにそう呼び掛けてから、俺の前に立った綺麗な男は神官に見えた。
教会から派遣され、本妻の仕事を任されてると自己紹介した神官は、ハーレム内で強い権力があるんだろう。
執事や従者を下がらせた上で、ある部屋へと俺を招いた。


嫌な気配を感じて逃げようとしたが、突き飛ばされて室内に連れ込まれた。
部屋には数人の男が待ち構えてて、子供の俺が泣き叫んで失神するような地獄を味わった。




それから二時間後。
困惑顔の執事に、俺は泣きじゃくりながら自分の身に起こった事を話した。
震える指を突き付けられた神官が、それを嘲笑う。

「この子は嘘吐きですねー。大切な事を隠してましたー。天守様とお会いする資格がありませーん。」
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