せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~

ヒーローと(仮定)ライバル

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「……あっ、ゴメン。オレちょっと、晩御飯、作りながらでもいいか?」

フィロウと話してて。
晩御飯。作るの、すっかり忘れてた。危なかった。


慌てて台所に立つオレ。

「へー、えー? もしかして御馳走してくれるの?」
「あぁ……いや、あの。一緒に住んでる人、っていうか……。」
「ふーん。同棲してる相手、いるんだ。確かに……ここ、一人で住むには広いもんね。」
「いや、あの、同棲って言うか……。」

オレが居候させて貰ってるだけ、なんだけど。
その辺の話を始めたら長くなりそうだし、オレの微っ妙な記憶喪失のこと話すのもナンだしなぁ。

「照れる事無いじゃん。いいなぁ、そういうのって……。」

ホットミルクを飲み干したフィロウは、食卓に手を付いて立ち上がる。

「じゃ、そろそろボク、お暇するね。」
「あ、良かったら一緒に食べてく?」
「いいよ、いいよ。そこまで迷惑掛けられないって。……今度、ね?」

オレに手を振って玄関へ歩き出したけど、やっぱり片足を引き摺ってる。

「オレ送るよ。」
「いいって。一人で…」
「そんな足じゃ、家に帰れるのは何時になるか、分かんないぞ?」
「や、でも…」
「ちゃちゃっと作っちゃうから、ちょっと待ってろって。」

出来るだけ急いで晩御飯を作った。
フィロウを送って来てから、また火を入れて煮込めば大丈夫だろう、うん。




肩を貸して送り届けたフィロウの家は、広場や酒場通り、娼館も越えて。
どっちかって言うと教会とかに近い、割と良さ気なお宅が建ってるエリアの奥にあった。

結構遠かったなぁ、……あっ、そうだ。 
ここら辺は確か、ライバルキャラの住んでる屋敷があるハズ。

ネームドキャラの誰かか、ライバルでも見たいなぁ……って、無理っぽいか。
もう時間も夕方過ぎて夜になってるし、それで無くてもオレ、キャラ遭遇運が弱いみたいだしなぁ。



「ボクの家は、あれだよ。……あ。」

大きな建物を示したフィロウが、なんか硬い声を出した。
指差す方を見て、オレも色々ビックリだ。


まず驚いたのは建物。豪邸だった。
ゲームの背景で見た記憶がある。
ライバルの親は、貴族じゃないけど町を仕切ってる領主だから、豪邸に住んでるんだ。

フィロウが「ボクの家」って言ったのは、ライバルの家だった。


もう一つ、ちょっと驚いたのは。
たぶんフィロウが硬い声を出した原因になってるっぽい人。

不機嫌そうに門の内側からこっちを見てるのは、エステードさんだ。
ルサーを送ってく詰め所で毎朝会ってるから間違いない。

いかにも自分の家ですって感じで……まさか、エステードさんがライバルキャラなのか。


厳しい顔で待ち構えられて、躊躇してるフィロウを支えて、ちょい強引にエステードさんの前まで来た。

「あの、お兄さん……なんで今日は、ウチに?」

恐る恐るって感じでフィロウが聞く。

「わざわざ私の所に連絡があったんですよ。フィロウが、無駄に町でウロウロしてるって。」

エステードさんは百パーセント笑顔をオフして答えた。


……無駄に町をウロウロしてるって。なんか、オレが言われてるみたいだ。


「こんな時間まで町にいて。てっきり、それなりに活動してるのかと思いきや……。何もしてないそうですね?」
「それは……。ちょっと……。」
「代わってあげる事は出来ないんです。分かってますよね?」

明らかに叱られてるフィロウ。

オレ、立ち去った方がいいんじゃないかな。
エステードさんに挨拶して早く帰ろう。……って思ってたら。


チラってオレを見たエステードさんが、肩をガックリ落とした。

え? オレがなんだ?


「やっと……。男を連れ帰ったと思ったら。……彼じゃ、駄目ですよ。」

えぇ~、これって……。
オレ、なんか凄いショックなんだけど。


フィロウが町をフラフラしてることも、こんな時間まで遊んでたってことも、まぁ置いといて。
明らかにエステードさんは、フィロウが家に連れて来た相手が、オレ……って部分で叱ってる。
ってことだよな。

フィロウがエステードさんをお兄さんって呼んだから、たぶん、養育所から同じ人に、息子として引き取られて兄弟になったんだろう。
もしエステードさんがライバルだったら、ライバルとヒーローが兄弟っていう、ある意味アツイ関係だ。
エステードさん的には可愛い弟だから、相手は兄の目から見てもいい男じゃないと許さない。って思うのかな。



う~ん……いやあの、エステードさん?
その気持ちは分かるぞ? 分かるけどさ?

せめてもうちょっとオブラートに包むか、オレが帰ってからにしてくれよ。
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