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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~
オレが帰った後の話 $ビリー$
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※ 文字が多くなるので『、…』を通常のビリーより少なめにしてます。
* * *
イグゥは割とすぐにお暇した。
懐かしい話とかもしたかったんだけど、夜勤明けのカシュに気を遣ったみたい。
カシュがそろそろ休みたいだろうってタイミングで、イグゥも家を出てった。
俺の恋人であり家主でもあるカシュが別室で休んでるのに、イグゥの事がまだ好きだって告白した俺と、二人きりでいるのは良くないって思ったみたい。
そういう所も変わってなくて、やっぱりイグゥが好き……。
ずっと胸の奥にあったのが、ポッと灯が燈ったみたいに暖かくなる。
……でも。俺。
イグゥの事だけじゃ、なくて……。
「っふ、ぅうう~~~んっ! ……ほわあぁ~っ。」
玄関でイグゥを見送ったカシュが、両腕を頭上に伸ばして、それから欠伸も。
ドアに鍵を掛けて、俺はカシュを振り返った。
「カシュ、眠たく……なった?」
「うん。ちょっと寝るねぇ~。……あ、お昼さ。もし起きなかったらぁ、悪いんだけどヴィル、適当に食べてぇ? どっか食べに行って来てもいいしぃ。……お金、あるよね?」
「…カシュ。」
おやすみの挨拶をするみたいに、ヒラヒラさせたカシュの手を強く掴む。
俺がこんな風に、乱暴な感じで触れたのは初めてで、驚いたようにカシュも目を見張った。
でも冗談か、何かの間違いとでも思ったみたいで、すぐに笑顔を向けて来る。
「俺は……カシュも、好き。」
イグゥも言ってた。
好き。は、何回も言っていいんだ、って。
イグゥの事が好きだから、カシュの事は好きじゃなくなる? ……そんな事ない。
だけどカシュは、もし俺とイグゥが上手く行った時には、自分から恋人を止めようと決めてたみたいだ。
友達とか兄弟とか、そういう間柄になるツモリだったって。
ずっと、そう思ってたんだって。
昨日イグゥと会った時から、ちょっとカシュの元気が無いように見えて、気にはなってたけど……それよりも前から、そんな事を思ってたなんて。
ショックだったけど……全く、思いもよらないかって言われたら、そうじゃない。
恋人として付き合うようになってからも、カシュは俺に対して、何処か一線を引いてるように感じた。
……恋人じゃなくなる事。いつも考えてた?
「ぇへっ。アリガトぉ~。」
「俺……別れるの、ヤだ。」
「別れないよ? ……好きだもん。」
ふにゃっ、って笑うカシュ。
かなり眠そうだから部屋に戻してあげなきゃ、だけど。
「ねぇ、カシュ? ……おやすみの、キス……していい?」
「えっ……。ぅん。」
カシュの視線は一瞬泳いだ。
了承の返事を貰った俺が顔を寄せると。カシュはやや俯いた。
俺の方が少しだけカシュより背が高い。
カシュの仕草は、唇にキスする事に対する、柔らかな拒否だ。
「………。……ちゅ。」
緊張気味のカシュのおでこに、キスを落とした。
悔しいくらい、カシュから緊張が解ける気配がする。
「……おやすみ、カシュ。」
「んっ。おやすみ、ヴィル。」
今の俺は酷い顔をしてるかも。
微笑みを浮かべたカシュは、俺から視線を逸らして背中を向けた。
カシュの部屋のドアが閉まってから、俺はトイレに入る。
浴室だと響くから。カシュの睡眠を邪魔したくない。
俺はまだカシュの部屋に入った事が無い。
カシュも、俺が来てから……あの部屋が『俺の部屋』になってからは、一度も入ってない。と思う。
それぞれの部屋に、それぞれのベッドもあって、お互いに一人で寝てる。
恋人だけど、カシュとの間に肉体関係は無かった。
挿入はおろか、胸や腰に触ったりもしてないし、俺はカシュの裸を見た事すら無い。
キスも……おでこや頭にはしてる。だけど、唇同士はしてない。
カシュは俺より十歳くらい年上だけど。
俺が子供だから……子供に見えるからって理由じゃないと思う。
出会った当初から俺は、自分の事をカシュに話してた。
同じ養育所にいたイグゥの事が好きで、恋心が叶わなくて。たまたま縁があった兵士達に頼んで、逃げるように養育所を出た話。
イグゥじゃないなら誰でも一緒、と思って。兵士をやってた一年ちょっとの間、望まれるまま何人も、何十人も、特別に好きでもない男を抱けてた……って話。
抱いてた全員を同じように扱った結果、取り合われて、争いになって。兵士を辞めたって話。
……だから、かな。
カシュにとっての俺は『イグザの事が好き』で『気持ちが無くても望まれれば行為は出来る男』なんだろう。
だから俺の気持ちがカシュにもあるって証明するには。カシュがそう思う為には。『セックス無しでもそばにいる』しか無いのかも知れない。
カシュの身体に触ったり、気持ち良い事をしようとするのは、『お世話になってるネコへのサービス』だ……って、思われるだろうから。
「っ、抱き…たい…」
イグゥの事を考えると、後ろが疼く。
カシュの事を考えると、前が滾る。
……下劣な話だけどこれが俺の正直な気持ち。自分がタチでもネコでもない、リバなんだって事がよく分かる。
「……っ!」
俺の欲望はトイレに流した。
* * *
イグゥは割とすぐにお暇した。
懐かしい話とかもしたかったんだけど、夜勤明けのカシュに気を遣ったみたい。
カシュがそろそろ休みたいだろうってタイミングで、イグゥも家を出てった。
俺の恋人であり家主でもあるカシュが別室で休んでるのに、イグゥの事がまだ好きだって告白した俺と、二人きりでいるのは良くないって思ったみたい。
そういう所も変わってなくて、やっぱりイグゥが好き……。
ずっと胸の奥にあったのが、ポッと灯が燈ったみたいに暖かくなる。
……でも。俺。
イグゥの事だけじゃ、なくて……。
「っふ、ぅうう~~~んっ! ……ほわあぁ~っ。」
玄関でイグゥを見送ったカシュが、両腕を頭上に伸ばして、それから欠伸も。
ドアに鍵を掛けて、俺はカシュを振り返った。
「カシュ、眠たく……なった?」
「うん。ちょっと寝るねぇ~。……あ、お昼さ。もし起きなかったらぁ、悪いんだけどヴィル、適当に食べてぇ? どっか食べに行って来てもいいしぃ。……お金、あるよね?」
「…カシュ。」
おやすみの挨拶をするみたいに、ヒラヒラさせたカシュの手を強く掴む。
俺がこんな風に、乱暴な感じで触れたのは初めてで、驚いたようにカシュも目を見張った。
でも冗談か、何かの間違いとでも思ったみたいで、すぐに笑顔を向けて来る。
「俺は……カシュも、好き。」
イグゥも言ってた。
好き。は、何回も言っていいんだ、って。
イグゥの事が好きだから、カシュの事は好きじゃなくなる? ……そんな事ない。
だけどカシュは、もし俺とイグゥが上手く行った時には、自分から恋人を止めようと決めてたみたいだ。
友達とか兄弟とか、そういう間柄になるツモリだったって。
ずっと、そう思ってたんだって。
昨日イグゥと会った時から、ちょっとカシュの元気が無いように見えて、気にはなってたけど……それよりも前から、そんな事を思ってたなんて。
ショックだったけど……全く、思いもよらないかって言われたら、そうじゃない。
恋人として付き合うようになってからも、カシュは俺に対して、何処か一線を引いてるように感じた。
……恋人じゃなくなる事。いつも考えてた?
「ぇへっ。アリガトぉ~。」
「俺……別れるの、ヤだ。」
「別れないよ? ……好きだもん。」
ふにゃっ、って笑うカシュ。
かなり眠そうだから部屋に戻してあげなきゃ、だけど。
「ねぇ、カシュ? ……おやすみの、キス……していい?」
「えっ……。ぅん。」
カシュの視線は一瞬泳いだ。
了承の返事を貰った俺が顔を寄せると。カシュはやや俯いた。
俺の方が少しだけカシュより背が高い。
カシュの仕草は、唇にキスする事に対する、柔らかな拒否だ。
「………。……ちゅ。」
緊張気味のカシュのおでこに、キスを落とした。
悔しいくらい、カシュから緊張が解ける気配がする。
「……おやすみ、カシュ。」
「んっ。おやすみ、ヴィル。」
今の俺は酷い顔をしてるかも。
微笑みを浮かべたカシュは、俺から視線を逸らして背中を向けた。
カシュの部屋のドアが閉まってから、俺はトイレに入る。
浴室だと響くから。カシュの睡眠を邪魔したくない。
俺はまだカシュの部屋に入った事が無い。
カシュも、俺が来てから……あの部屋が『俺の部屋』になってからは、一度も入ってない。と思う。
それぞれの部屋に、それぞれのベッドもあって、お互いに一人で寝てる。
恋人だけど、カシュとの間に肉体関係は無かった。
挿入はおろか、胸や腰に触ったりもしてないし、俺はカシュの裸を見た事すら無い。
キスも……おでこや頭にはしてる。だけど、唇同士はしてない。
カシュは俺より十歳くらい年上だけど。
俺が子供だから……子供に見えるからって理由じゃないと思う。
出会った当初から俺は、自分の事をカシュに話してた。
同じ養育所にいたイグゥの事が好きで、恋心が叶わなくて。たまたま縁があった兵士達に頼んで、逃げるように養育所を出た話。
イグゥじゃないなら誰でも一緒、と思って。兵士をやってた一年ちょっとの間、望まれるまま何人も、何十人も、特別に好きでもない男を抱けてた……って話。
抱いてた全員を同じように扱った結果、取り合われて、争いになって。兵士を辞めたって話。
……だから、かな。
カシュにとっての俺は『イグザの事が好き』で『気持ちが無くても望まれれば行為は出来る男』なんだろう。
だから俺の気持ちがカシュにもあるって証明するには。カシュがそう思う為には。『セックス無しでもそばにいる』しか無いのかも知れない。
カシュの身体に触ったり、気持ち良い事をしようとするのは、『お世話になってるネコへのサービス』だ……って、思われるだろうから。
「っ、抱き…たい…」
イグゥの事を考えると、後ろが疼く。
カシュの事を考えると、前が滾る。
……下劣な話だけどこれが俺の正直な気持ち。自分がタチでもネコでもない、リバなんだって事がよく分かる。
「……っ!」
俺の欲望はトイレに流した。
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