せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~

オレが忘れてた話 $ビリー$

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何となく自室……カシュが俺の為に用意してくれた部屋……に戻る気になれない。
やる事も無いし、台所で取り敢えずお湯を沸かした。

一緒に暮らし始めた時、カシュは俺に「何もしないで」って言った。
本当に何もしないのは嫌だから、カシュの気に障らない範囲でちょっとずつ、部屋の片付けくらいはしてる。だけど炊事や洗濯は、カシュが嫌がるから何もしてなかった。
台所に立たれたくないのかもって想像してたけど、昨日、俺が夕食を作るのは許してくれたから。
たまになら、いいのかな……。

お茶でも飲んでゆっくりして、お昼になったらカシュを呼びに行ってみよう。
お昼ご飯、作ってみよう、かな。



食卓のイスに座って、お湯が沸くのを待ってると、ソファが視界に入る。
それを見たら……思い出してしまう。

カシュがいる前で、イグゥと、キスした。
唇が重なっただけじゃなく、舌が入って来て、舐められて、チュッて吸われた。

いきなりカシュが言い出したのにもビックリしたけど、まさかイグゥが俺に、そんな事をするなんて……。


本人にも言ったけど俺、イグゥはそういう……恋愛とか性に関する事って嫌いになってると思ってた。
そう思ってたから、あの朝。年上の人と一緒に歩いてるイグゥを見た時、「見覚えが無い」って言った。
カシュは、気付いてたかな。

イグゥの事が好きなのに……俺は嘘を吐いた。
あんなイグゥ、見た事が無い。
自分の名前が分からなくて困ってるって聞いたのに。イグゥは楽しそうで、困ってるようにはとても見えなかった。
どうせ名前なんか、養育所を出る時に新しい名前にする人が多いんだ。イグゥだって、さっさと新しい名前付ければ、それで済む話だから。

イグゥの事が好きだから……嘘を吐いた。
名前以外にもイグゥが忘れてる事があるみたいだったけど、『何もかも』じゃないって聞いた。
忘れてるのは、きっとイグゥが忘れたい事なんだろう。つまり必要無い記憶。
養育所には嫌な思い出もあるから。思い出さなくていい。
成人したイグゥが養育所の事を思い出せなくても、別に問題無い。
……そう思ってた。






俺がイグゥに気持ちを告白したのは、十歳になる誕生日の前の日。


イグゥは人気があって、色んな人がイグゥを狙ってて。
誰かに盗られるような気がして、焦った俺が。暴走して、告白して、無理矢理キスしたから……。
キスって言っても子供だから、ただ唇同士を触れ合わせただけ、だったけど。

普段は乱暴な事なんかしないイグゥが俺を突き飛ばして、泣きながら「なんでそんなことするの!」って、思いっきり怒鳴られた。
嫌われたショックで俺も泣いちゃって、そこにメリクルが来たんだ。
泣いてるイグゥがメリクルに縋り付いたのを見て、俺はその場から逃げ出した。



はっきり言うと、俺はこの時までメリクルが大嫌いだった。

俺より四歳くらい年上で、お兄ちゃん風を吹かせる割に何だかんだ言って、四~五歳の小さな子の面倒は見ないし。自分と同年代(十三~十五歳)の人達を馬鹿にしてたし。
でも一番の理由は、自分より少し年下(八歳~十二歳)の子達……特にイグゥの事を異常に可愛がってて、いつもベタベタと身体に触ってた事。
ちなみに俺も触られた事あるけど、その場で大号泣したらそれっきり触られなくなった。ヴィーが触られてるのは見た事が無い。

腹立たしいけどメリクルは勉強も運動も出来る奴で、顔はそこそこ良かった。
センセイや大人達の前では上手に取り繕ってた。巧く騙されてるのか、後が怖いからか、メリクルの事で文句を言う子供もいなかった。と思う。

俺は……メリクルの事が大嫌いな一番の理由が、自分の嫉妬なのが分かってたから、何も言わなかった。



その日の夜。寝る前。
イグゥと同じ寝室に入れなくて、建物の陰で蹲ってた俺の前にメリクルが来た。
絶対にイグゥの事で責められると思ったのに、メリクルは。俺がイグゥを泣かせたのを『子供同士の喧嘩』だって、軽く決め付けた。

「泣き過ぎた所為でイグゥはあんまり覚えてないみたいだ。ビリーも言いたい事はあるだろうけど、今は『お互いにご免ね』って仲直りするといい。」

お兄ちゃん顔のメリクルはちょっと嫌だったけど。
メリクルに手招きされたイグゥが来たから、どうでも良くなった。

お互いに謝り合って、俺はイグゥの友達に戻る事が出来た。


ただ、俺の告白は……無かった事に、なったけど。
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