せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~

このままじゃまた家出になっちゃうぞ

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メリクルに転移させられた先は、まさかの王都だった。

ノマルの町からどれだけ離れてるのかも分かんない。
分かんないけど。乗合馬車みたいなのを使ったら、何日も掛かりそうだ。今からどっかで調達した馬で速駆けしても、きっと今日中には帰れないだろう。
すぐ近くに転移板があっても、それをオレは動かすことが出来ない。


ルサーに何も言わないで、王都まで来ちゃったなぁ。
このままじゃ……。
またルサーが一人で夜を明かす羽目になっちゃうぞ。それはマズい。
一昨日の夜、オレがルサーの家を出たときより状況が悪い。
一晩置いてまた家出なんて、どんだけルサーを心配させる気だよ。



「あの、もしや……お加減が?」

心配そうな少年神官を無言で手招くオレ。
少年神官はちょっと戸惑う表情を浮かべたけど、オレが力無い感じで手を床へ下ろすと、一瞬周囲を見回してから室内へと駆け込んで来る。
入って来る少年神官は靴を履いたままだけど、ここが土足オッケーなのか、今が緊急事態だと判断したからなのかは分かんなかった。


階段の下で足を止めた少年神官に、オレはまた愛想笑いを向ける。

「ゴ……、ん゛んっ。済まない、ちょっと眩暈がして……。」
「そっ、それは大変です。」
「休んでいれば治るだろうけど……頼めるかな?」
「勿論ですっ。只今すぐ、貴方を貴賓室へお運び出来る者を呼んで参ります。」

ゴメンって言い掛けたのを、何となく格好良さげな感じに言い直したオレ。
オレの言葉を信じた少年神官が大急ぎで部屋から出てった。

一人になったから他の祭壇も見て回ろうかと思ったけど、止めておいた。
ウロウロしてる最中に戻って来られたらメンドくさそうだ。



それにしても……『金獅子』と『金の大クス』の称号を得たイクシィズのハーレムは、随分と権力があるみたいだな。権力? 権威? 正確なトコは分かんないけど。

ゲーム内にも、他の場所にワープ出来る方法はあった。教会限定で。
エンドレスモードの主人公は、自分のハーレムがある町の教会同士に限って、無料でワープ出来た。
主人公以外の人も、高額だけど有料で利用出来る……って設定だったハズ。攻略に影響無いからあんまり覚えてないや。
だからワープの為の転移板がある部屋は、割と色々な人が出入りするハズだ。

なのにさっきの少年神官は、この部屋に入るどころか、扉を開けるのでさえ謝罪してた。禁止されてるみたいに。
流石に不特定の人が利用する部屋の扉を「開けるな」は無いだろうから、もしかしたらこの部屋自体が『金獅子のハーレム専用』なのかもな。




少年神官は意外と早く、神殿側っぽい人達を連れて戻って来た。
神官兵に抱えられて、脚付きキャスター付きのベッドに寝かされるオレ。
手に持ってたオレの靴は、少年とは別の神官が恭しい所作で預かってくれた。


「僭越ながらハーレムにも連絡させていただきました。」

専用の転移板を使って転移して来たから、少年神官はオレを関係者だと思ったようだ。
それが分かってて訂正しなかった。
オレが絶対に、今日中に、ルサーの家に帰る為に。利用出来るかも知れないって考えたからだ。

「そうか。……ありがとう。」
「恐縮です。」

王都の神殿の人達に普段、メリクルやハーレム関係者がどんな態度を取ってるか分かんないから、お礼を言おうかどうか迷ったんだけど。
言っても大丈夫だったようでホッとした。


移動する間も少年神官は近くに付き添ってくれてる。
横たわってるオレを安心させるように笑みを浮かべて。

「すぐに迎えに来てくれるそうですよ。」
「……そうか、分かった。」

そっか、お迎えかぁ~。てっきり誰か『確認しに』来るって読んでたんだけど。
宮殿に連れてかれるのかな。宮殿って神殿から遠そうだぞ。
ハーレムの人にすぐ会えるのは有難いけど、神殿とハーレムとの往復に時間が掛かるのは嫌だな。

でも待てよ……。宮殿に行けば、天守のイクシィズがいるか。
転移板を使ってエステードさんの家にワープする為の許可を、イクシィズに貰えるなら、それが一番確実だ。
大ハーレムの天守だから簡単には会えない? いや、何とかする。


イクシィズにはオレ。……リッカやユーグの扱いについて、少なからず言いたいことはある。言わないけど。
何より、今のルサーがリスタニアの王族じゃなくなってる原因は恐らくイクシィズにあるって思うから、それにも大いに言いたいことがある。言わないけど。

何か言うツモリが無いのは、イクシィズに何を言ったとしても、それがオレの溜飲を下げるだけの行為だからだ。
ルサーもリッカもユーグも居ない場所で、どれだけイクシィズを罵ろうが、かたき討ちにもなりゃしない。
そうして欲しいって、望まれてもいないのに。

ましてや、リッカにとって……もしかしたらユーグも……愛してた男だからな。



ただ……オレには、積極的に揉めようって気は無い。無いけど。
オレが相手を怒らせちゃう可能性は、ある。

オレの不満や怒りや嫉妬が、オレの顔に一切出ないって保証も無いから。


そのときは、仕方ない、よな?
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