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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~
ハーレム関係者になりすましたオレ
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移動の途中、エレベーターのような装置を利用したんだけど。
寝そべったまま利用するもんじゃないな。本当にちょっと眩暈した。
「しっかりなさってください。お気を確かに。」
「あぁ……。」
「寒気などは御座いませんか? 毛布をお足ししましょうか?」
心配そうにオレを覗き込む少年神官。
金獅子ハーレムの関係者だって信じてるからだろうけど、丁寧で親切な対応だ。
なんか申し訳ない気分になるけど、これもオレが、ちょっとでも早く帰る為。
オレは心を鬼にする。
「いや……横になれば、たぶん大丈夫だ。」
せめて運びやすいようにと思って、オレは移動式ベッド上で、なるべく大人しくしてた。
運ばれた先である貴賓室は、その名に違わず大層広くて立派な部屋だった。
奥にある壁一面がガラス窓だ。窓の向こう側に、お洒落なバルコニーがあるのが見える。
オレは室内にある扉から、隣の寝室へと運ばれた。
窓に近い位置にある滅茶苦茶大きなベッドに寝かされる。
靴はベッドの近くに揃えて置いて貰った。
「窓の外をご覧になりたいのでしたら、クッションをご用意しましょうか?」
「そうして貰おうかな、ありがとう。」
気を利かせた少年神官が大きなクッションを背後に三つくらい並べてくれた。ちょうど良い具合に上体が斜めになる。
そのまま窓の方を向くだけで、なかなか良い景色を眺められた。
この部屋は結構な高層にあるっぽくて、窓から見える王都の街並みは、明らかな都会って感じ。
王都はきっと大勢の人で賑わってて、色んな店や施設があって、小さな町じゃ手に入らないような物とか売ってるんだろな。
旅行で来てたらなぁ。ルサーと……あるいは他の誰かと、一緒だったらなぁ。もっと楽しい気分になってるだろうし、王都をジックリ散策したり、遊びに行きたいんだけどな。
あーそういや、エステードさんの家で飲んだ珈琲紅茶は王都で手に入るんだっけ。お土産に買って帰ろうか……余裕があれば、だけどさ。
「暖かい御飲物を用意させていただきました。紅茶と珈琲とフルーツミルクが御座いますが、どちらになさいますか?」
「じゃあ、フルーツミルクを。」
暖かいフルーツ牛乳って何だよ。って、好奇心に勝てなかったオレ。
不味かったらどうしようってビクビクしながら、乳白色のマグカップを受け取る。
「……あ、美味しい。それに飲みやすいな。」
「ご体調が優れないようですので、ぬるめにさせていただきました。」
「あぁ、それでか。ありがとう。」
「恐縮です。」
窓の外を時々眺めながら、少年神官に見守られつつ、飲み物を楽しむオレ。
楽しんでる場合じゃないって、気持ちは焦ってるんだけど。
金獅子のハーレムから誰かが来てくれるまで、オレは待つしかない。
転移板を使わせて貰うのが一番早く帰れるからな。
「あの……。」
しばらくボンヤリしてたら、少年神官がオズオズ声を掛けて来た。
オレも特に無言でいたいワケじゃないから、そっちに視線を移した。
ちょっと笑顔で先を促す。
「本日は……若守(わかもり)様は、お戻りにならないのでしょうか?」
「あぁ……メリクル? う~ん、ちょっと取り込んでるけど、分かんないなぁ。」
「そうでしたか……。お忙しいのですね。」
若守って何? って思いながら適当に答えたけど。とりあえず合ってたらしい。
そっか、メリクルは『若守様』って呼ばれる立場なのか。
様付けだし、響きが天守様と似てるから、きっと偉い役職なんだろうな。そんなんだったら、そりゃあ転移板を自由に使えるワケだ。
こっそり情報収集しながら、こっそり納得してたオレ。
そんなオレをジッと見詰める少年神官。
「あの、もしや……貴方も、若守様なので……?」
「それはちょっと微妙って感じでな……。詳しくは言えないんだけど。」
言えないも何も、知らないんだけどな。
若守様って、そんなに何人もいそうなイメージじゃないんだけど。
転移板を使って来たから、オレもそうなんじゃ。……って考えたのかな。
なんかこの流れ、あんまり良くないぞ。これ以上のお喋りは止めといた方がいいかも知れないな。
なんてオレが思い始めた頃。
別な神官が、誰かを連れて姿を現した。
「失礼します。金獅子のハーレムの、シスターがお見えになりました。」
助かった。意外に早く到着したもんだな。
実はハーレムの宮殿って案外近くにあるのかも。……だったらいいなぁ。
シスターって呼ばれた男の人は、真っ白い神官服を着てた。
少年神官より更に上等で高額そうな、濃い白、薄い白、輝く白……白一色な衣装。
ニッコリした笑みを顔に貼り付けてて、年齢が良く分かんない。大人だろうとは思うんだけど、妙に子供っぽいような印象も感じる人だ。
この人に頼み込んで。どうにかして。
転移板を使わせて貰わなきゃ、な。
寝そべったまま利用するもんじゃないな。本当にちょっと眩暈した。
「しっかりなさってください。お気を確かに。」
「あぁ……。」
「寒気などは御座いませんか? 毛布をお足ししましょうか?」
心配そうにオレを覗き込む少年神官。
金獅子ハーレムの関係者だって信じてるからだろうけど、丁寧で親切な対応だ。
なんか申し訳ない気分になるけど、これもオレが、ちょっとでも早く帰る為。
オレは心を鬼にする。
「いや……横になれば、たぶん大丈夫だ。」
せめて運びやすいようにと思って、オレは移動式ベッド上で、なるべく大人しくしてた。
運ばれた先である貴賓室は、その名に違わず大層広くて立派な部屋だった。
奥にある壁一面がガラス窓だ。窓の向こう側に、お洒落なバルコニーがあるのが見える。
オレは室内にある扉から、隣の寝室へと運ばれた。
窓に近い位置にある滅茶苦茶大きなベッドに寝かされる。
靴はベッドの近くに揃えて置いて貰った。
「窓の外をご覧になりたいのでしたら、クッションをご用意しましょうか?」
「そうして貰おうかな、ありがとう。」
気を利かせた少年神官が大きなクッションを背後に三つくらい並べてくれた。ちょうど良い具合に上体が斜めになる。
そのまま窓の方を向くだけで、なかなか良い景色を眺められた。
この部屋は結構な高層にあるっぽくて、窓から見える王都の街並みは、明らかな都会って感じ。
王都はきっと大勢の人で賑わってて、色んな店や施設があって、小さな町じゃ手に入らないような物とか売ってるんだろな。
旅行で来てたらなぁ。ルサーと……あるいは他の誰かと、一緒だったらなぁ。もっと楽しい気分になってるだろうし、王都をジックリ散策したり、遊びに行きたいんだけどな。
あーそういや、エステードさんの家で飲んだ珈琲紅茶は王都で手に入るんだっけ。お土産に買って帰ろうか……余裕があれば、だけどさ。
「暖かい御飲物を用意させていただきました。紅茶と珈琲とフルーツミルクが御座いますが、どちらになさいますか?」
「じゃあ、フルーツミルクを。」
暖かいフルーツ牛乳って何だよ。って、好奇心に勝てなかったオレ。
不味かったらどうしようってビクビクしながら、乳白色のマグカップを受け取る。
「……あ、美味しい。それに飲みやすいな。」
「ご体調が優れないようですので、ぬるめにさせていただきました。」
「あぁ、それでか。ありがとう。」
「恐縮です。」
窓の外を時々眺めながら、少年神官に見守られつつ、飲み物を楽しむオレ。
楽しんでる場合じゃないって、気持ちは焦ってるんだけど。
金獅子のハーレムから誰かが来てくれるまで、オレは待つしかない。
転移板を使わせて貰うのが一番早く帰れるからな。
「あの……。」
しばらくボンヤリしてたら、少年神官がオズオズ声を掛けて来た。
オレも特に無言でいたいワケじゃないから、そっちに視線を移した。
ちょっと笑顔で先を促す。
「本日は……若守(わかもり)様は、お戻りにならないのでしょうか?」
「あぁ……メリクル? う~ん、ちょっと取り込んでるけど、分かんないなぁ。」
「そうでしたか……。お忙しいのですね。」
若守って何? って思いながら適当に答えたけど。とりあえず合ってたらしい。
そっか、メリクルは『若守様』って呼ばれる立場なのか。
様付けだし、響きが天守様と似てるから、きっと偉い役職なんだろうな。そんなんだったら、そりゃあ転移板を自由に使えるワケだ。
こっそり情報収集しながら、こっそり納得してたオレ。
そんなオレをジッと見詰める少年神官。
「あの、もしや……貴方も、若守様なので……?」
「それはちょっと微妙って感じでな……。詳しくは言えないんだけど。」
言えないも何も、知らないんだけどな。
若守様って、そんなに何人もいそうなイメージじゃないんだけど。
転移板を使って来たから、オレもそうなんじゃ。……って考えたのかな。
なんかこの流れ、あんまり良くないぞ。これ以上のお喋りは止めといた方がいいかも知れないな。
なんてオレが思い始めた頃。
別な神官が、誰かを連れて姿を現した。
「失礼します。金獅子のハーレムの、シスターがお見えになりました。」
助かった。意外に早く到着したもんだな。
実はハーレムの宮殿って案外近くにあるのかも。……だったらいいなぁ。
シスターって呼ばれた男の人は、真っ白い神官服を着てた。
少年神官より更に上等で高額そうな、濃い白、薄い白、輝く白……白一色な衣装。
ニッコリした笑みを顔に貼り付けてて、年齢が良く分かんない。大人だろうとは思うんだけど、妙に子供っぽいような印象も感じる人だ。
この人に頼み込んで。どうにかして。
転移板を使わせて貰わなきゃ、な。
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