せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~

オレはワザとやったワケじゃないぞ $シス・ティム$

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メリクルが不在の、とある日。

朝からイクシィズを妻と交流させる為、宮殿の中に押し込めましたー。
昼も夕方も、夜の分まで、妻達の予定情報を渡していますからー。今日は建物から出て来ないでしょーねー。


メリクルが居ないだけで仕事が随分と捗りまーす。
午前中の早い内に幾つかの報告を受けておきましょー。

国内外の各地から、新たにハーレム加入の可能性がある人物が挙げられてまーす。
この中から、イクシィズの利益になりそーな人を見繕わねばなりませーん。
メリクルの所為で停滞気味ですからねー。

他にも書類等を見なきゃいけませーん。
ハーレムの『支出』や『収入』管理もしなくてはー。

やる事が多いので、時間は瞬く間に過ぎまーす。
適当にパンを口に放り込んでー、午後も仕事でーす。



ところが、邪魔が入りましたー。

神殿でニルスが呼んでる。らしいでーす。


「わざと邪魔するんですねー。流石はメリクルの子飼い、でーす。」

ニルスは、メリクルが連れて来た少年でーす。
ワタシの仕事を補佐する為、とか言ってましたねー。
補佐役なんか既に数人いるんで足りてまーす、と言ったんですがー。結局はゴリ押しされてー、イクシィズが許可してしまいましたー。
しかも腹立たしい事に、他の補佐役が白旗を上げて認める程度に優秀でー、今ではまるでナンバーツーみたいな扱いを受けてまーす。
ワタシの、目下の敵でーす。


そんな少年の呼出なんか無視してやりたいですがー。
転移板で戻って来た途端に体調を崩した、と聞いたのでー。渋々様子を見に行く事にしましたー。

もし装置に何らかの不具合があったりしたらー。今後、イクシィズが使う時に事故があっては大変ですからねー。
それに最近のメリクルは装置の使用頻度が著しいのでー、それが原因かも知れませーん。
頻繁な使用で体調を崩すかも知れないのであればー、イクシィズの為にも確認・検討しなければー。

そうするべきだと思ったんでーす。



でも……行かなければ良かったでーす。





   *   *   *   *   *   *





神殿の貴賓室にいたのはメリクルじゃありませんでした。
ニルスからは何も説明無かったでーす。

メリクルよりも、どちらかと言えば……いえ、はっきり言って……イクシィズの若い頃にソックリで。
少しだけ違ってる所は、あの頃のイクシィズよりも。微妙にですが、何処となく雰囲気がある、気がしました。


「メリクルの知り合いなんだ。一応、証になりそうな物を貰ってるけど、見る?」

まるで二十年前の出会いを再現するように、イクシィズに似た男は微笑みながら近寄って来ます。
警戒する護衛二人の動きを、無意識の内に制してました。

「ご丁寧にどうもー。でも結構でーす。」

メリクルの知り合いだという証など、見たくもありません。
両手を広げて、証の提出は断りました。



それがどうして。


抱き締められたんでしょうか?



こんな風に優しく、誰かの熱を分け与えられる事はありませんでした。
いいえ、そもそも触られた事自体が。メリクルに犯された、あの一度きりです。


イクシィズには、一度も……。



気付いても仕方ない、どうでもいい感情が湧いてしまって。
激しく混乱した所為で、すっかり頭の回転が鈍って。

勝手に名乗ったイグザが求めるまま……多少は抵抗しましたが……自分の名前を教えました。
まぁその程度は構わないのです。外部の人間でも知ってる人はいるので。

問題なのは、イグザが勝手に「ティム」と呼び出して、その上。頼み事までして来た事です。


よりにもよって、メリクルの知り合いに。
抱き締められた姿勢で聞きたくなかった。

あの時のメリクルのようなケダモノっぽさは感じませんが。
それでも簡単には振り解けないような、強い力で腕の中に閉じ込められ。
……もし断ったら?
メリクルがしたように、やはり奪い取るのでしょうか?


どうやらイグザは。
一刻も早くノマルの町に戻って、メリクルに文句を言いたいようです。

他に頼れる人がいない。
その言葉がワタシを操りました。
普段ならば絶対に有り得ない事です。
イクシィズの頼みでも無いのに、ハーレムの為でも無いのに。

「どうしろ、と……?」
「ティム……転移板を使える起動スイッチみたいの、持ってる? ハーレムの天守が使うようなヤツ。」

イグザがどうしたいのか。それを言葉に出して聞いてしまいました。


聞かなければ良かった。
イグザが要求した物は。天守の権力の一部を貸せ、と要求したのと同じです。
とても叶えられる事じゃありません。

……常識で考えれば。


「持って…まーす、けど……。」

どうして答えたりしたんでしょう。しかも馬鹿正直に。
せめて、持ってないと言えば良かったのに。

そんな事を言ったりしたら。


「頼む。貸してくれ。必ず返すから。お願いだ。貸してくれ。」

案の定、強請られました。
勿論、貸すわけがありません。

……いいえ、貸してはいけない。

イクシィズ以外の男に助力してはいけない。


嫌な予感がしたんです。
メリクルの時と同じ。


「………。」

ワタシの手は、目的物をイグザの目前に出しました。
自分の身体なのにどうする事も出来ませんでした。

無言なのが精一杯の抵抗です。

ただ見せただけ。それを奪われただけ。
そんな言い訳をする為です。


ですが、抵抗する心と同じくらい。
イグザの為に何かしてやるべきだ。……そう感じる心がありました。



「ありがとうっ。ティム、ありがとう。」


喜びの余り、抱き締めて来たイグザは、両頬に口付けまで落としました。
意外と柔らかい感触で擽ったかったのですが、そんな事はどうでも良いんです。

それが気にならない程、嬉しかったんです。


――― ありがとう。


イクシィズからは一度も貰った事の無い言葉でした。


感謝して欲しかったわけでもないのに。
イグザの言葉で喜んでしまった。



四年前と同じ。
何かを無くした感覚がありました。

それが何かも分からないけど。
ワタシはもう、全てを無くしてしまった……でももう。

どーでもいーです。




イクシィズを……裏切ってしまった。



……いいえ。実は元から。

心は裏切っていた、のでは?



奪われた、なんて詭弁で。


きっと奪われたかったんでしょう。
奪われるのが分かってて、それを防がなかった。

嫌な予感がしたのに。
ハーレムを訪れたメリクルを、部屋に入れた。
イグザの願いを知りながら、目の前に出した。





「どうせ、イグザには使えませ…ん。……天守のシルシが無い人には無理…ですから、ね…。」

……自分の言葉が白々しい。


きっとイグザは、転移板を使えるでしょう。
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