せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

旧帝国語ってあんまり得意じゃないんだよ

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豪邸の中は、豪邸だった。


お前は何を言ってるんだ、って感じだろ? 本当にそうなんだってば。
足元のカーペットも、落ち着いた色合いの壁も、高い天井も、玄関も階段も綺麗で豪華で上品でさ。

で、フィロウの部屋に案内されたんだけど。
これがまた、広くて。

大きくて綺麗な窓。開いてるカーテンの向こうに、たぶん見晴らしの良さそうなバルコニー。解放感バッチリだ。
明るい部屋の中は、明らかに高級品の家具ばっかり。でもゴテゴテしてなくて激しい主張はしないで、圧迫感も無い。
応接セットはユーグのトコで見たより、確実に大きい。値段は……分かんない。
ちなみに窓の近くにも。外の景色を眺めながら寛げるように、足を伸ばして座れるくらい座面の広いソファが置いてある。ここは癒しの空間か何かなのか?


どうしよう、オレ。
凄い高級なリゾートホテルに普段着で来ちゃった感が半端無いぞ。



「何か飲もうか?」
「いや、今は止めとく。……結構ホネが折れそうだし。」

気を遣ってくれたフィロウの提案を断りながら、オレは部屋の一角に目を向ける。


壁際に置かれた背の高いテーブル上に、うず高く積まれた本や資料の山。
高級感・解放感・癒しの雰囲気がある室内で、そこだけ明らかに浮いてた。

「さっそく読んでもいいかな?」
「ん、いいけど……疲れるから座って読みなよ。」

近寄ってみたら、どうも山は一応、二つに分けられてるようだ。
どんなのがあるかザックリ確認したかったんだけど、それをするにもこのテーブルじゃ狭過ぎる。本とかを広げられるだけのスペースが足りない。
応接テーブルに移動させてからの方が良さそうだ。


フィロウが本の山を指差す。

「これ、ね? コッチはお兄さんが教会で借りて来た物。で、コッチが元々ウチにあったのとか、お兄さんがどっかから持って来たやつ。」

なるほど、それでこんなに沢山あるのか。
オレが思ってたより多いから、実は一つの本が複数に分冊してるのかと思った。

「分かった。混ざらないよう気を付ける。」
「あ、運ぶの手伝うよ。」



フィロウに手伝って貰って。
まずは教会から借りて来た方の山を応接テーブルに移動させた。

一つずつ重ならないように並べる。
フィロウも、小首を傾げながら同じように並べてくれた。

オレはソファに腰掛けると一冊ずつ手に取って、中身に軽く目を通してく。

「意外と、読む数は少ないかもな……。」

エステードさんはあくまでも、フィロウに読ませる為に用意したから。
天守になるぞ。ハーレム作りを頑張るぞ。って思わせるような、天守やハーレムの重要性を説くような、意識啓発的な本も結構あるんだ。


でも、ちゃんとハーレムの法律が載った本はあったし、教会で出来る色々な手続きの資料もあった。
それらは読みたいから、一旦ソファの上に避難させとく。

残りを元の場所に戻し、もう一方の山になってる本類を移動させた。
同じように並べて、ザザッと確認する。
内容は同じ物、一部抜粋したような物、同じ内容をもっと簡単な文章に直したような物が多いようだ。
一応念の為、数冊選んで取っとく。


「あ……これ、凄いな。」

明らかに一際ゴツイ、古そうな、分厚い本があった。
それを数ページ捲って。思わず呟いてた。
本当に興味が無さそうなフィロウが「へぇ~」って心の込もらない相槌を打つ。

「まずはそれを読む?」
「いや、これは後にしとく。先に『普通の』から読んだ方が良さそうだ。」
「何か冷たい物でも飲もうよ。ボク、用意して来るね?」
「あぁ、ありがとう。」


部屋を出るフィロウを見送って、オレは教会から借りた方の法律書を手に取った。
さっそくページを捲る。
法律書の割に、書いてある文章は意外と難しくない。だけど親切でもなくて、ただ淡々と『取り決め』が書かれてるだけだ。

天守や妻は……簡単に言えば、公的資金を貰える。
妻の人数が六人以上になれば公的な土地を借りて、そこに公的資金で宮殿を建てても良い。宮殿は強制じゃないし、妻が余分に費用を出して宮殿のグレードを上げても良い。
ハーレムへの加入は、天守の許可と、妻になる本人の同意が必要。
妻が他の天守と性行為をした場合、天守は妻をハーレムから追放しても良い。その原因となった相手の天守に損害賠償を請求出来る。
天守や妻には他にも色々と権利が認められてる。
全部を説明したら結構ヘビーな量になるから止めとくけど。簡単に言ったら例えば、様々な場面で優先して貰える、とかだな。



読み易かったから、速読で一気に読み終えた。
養育所でも習ったし、日本人時代のオレも持ってた技術だ。

「お待たせっ。何も聞かないで冷たいオレンジティーにしちゃったけど大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう、フィロウ。」
「どう? 読んでみた?」

読んだ本を閉じるのと同時にフィロウが戻って来た。
テーブルにグラスを置いて、隣に座るフィロウ。

「今ちょうど読み終わった。コレだけな?」
「うそぉ、早過ぎっ。」

持ってた法律書をテーブルの端に置く。
フィロウは大袈裟に驚いた。



オレはチラッて、例の分厚い本を横目で見る。
あれはたぶん、パンパンに詰まった情報の宝庫だ。

ただ一つ、ちょっと問題がある。書かれてる文字に。


「……さて、読むかな。」

分厚い本を、テーブルに乗せたまま表紙を捲った。
フィロウも覗き込んで来た。

「えっ、これ……。もしかして、旧帝国語じゃない?」
「そう。この中、全部な?」

パラパラ、ってページを最後の方まで捲って見せたら、フィロウは心底からウンザリしたような溜息を吐いた。


もしかしたらフィロウが堪能なんじゃないかって期待してたんだけど。
その様子でオレは察した。

たぶんオレと同じで、フィロウも……苦手なんだろうなぁ。
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