せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

フィロウを連れてビリーを訪ねよう

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旧帝国語ってのは言葉通り、大昔に大陸の殆どを支配してた、今は無くなってる帝国が公用語として使用してた言語だ。
当時は上級帝国語って呼ばれてて、貴族とか役人とかが公式な場で、学者とかの知識階級が書く文献とかで使われてた。
帝国人でも、学校に行けないような貧民層や田舎暮らしの人は使えなかったり、読み書き出来なかったりらしい。
そんな人達を含め、一般的に使われてたのは汎用帝国語だった。

汎用帝国語を基本に、年月を重ねて発展したのが、オレ達が使ってるのは共通語だ。正しくは大陸共通語。
旧帝国語とは全然違う。気がしてる。

共通語はさ、ちょっとくらい正しい文脈じゃなくても通じるんだ。
でも旧帝国語はそこら辺が厳格で、単語の置き場所の前後とか、語尾を伸ばしたり跳ねさせたりでニュアンスが全く違う感じになっちゃう。

今はどこでも、会話も書類も共通語が使われてるんだけど。
もしかしたら王都とか、神殿の上の人達とか、頭の良い学者さんとか、まだ一部じゃ旧帝国語を使ってんのかな。




オレとフィロウは頭を寄せ合ってページを捲った。


装丁はゴツくて古かったけど、中の紙は古い物と比較的新しい物とが交ざってる。恐らく加除式なんだ、これ。
改訂部分のページを必要に応じて差し替えてるから、こんな風に紙が交ざるわけで。
つまりこの本は結構使えるヤツだ。

「えぇっと……これ、ハーレム法?」
「あぁ。ザッと見る限り、さっき読んだ法律書と同じだから……一応、現状の法律が載ってるみたいだな。」
「えっ、もぉ~、早いよぉ。」

流石に速読はしてないけど、ついパラパラッて早めに捲ったオレ。
頬を膨らませたフィロウがオレの腕を揺さぶる。

「ちゃんとゆっくり見せてよ、もぉっ。」
「あっは、ゴメン、ゴメンって~。」

ちょっとフザケてフィロウの機嫌を取りながら、オレは三分の一から四分の一辺りのページを開いた。
そこは単に法律を羅列したページよりも、ずっと長文がブロックみたいに分けて書かれてる。
その一つに人差し指を置いた。

「問題はこの、条解部分なんだけどさ……。」
「ん? どれどれ……あぁ……。」

フィロウはそっと顔を逸らして遠い目をした。

この本、法律文だけじゃなく、条文の一つ一つに詳細な解説が付いてる。
いわゆる『条解』ってやつ。だから分厚いんだ。
簡単に説明すると、条文を分かりやすく言い直したり、具体的な例も紹介したり。


「手続きをすれば必ず給付を受ける、……にも読めるけど。必ず手続きをして給付を受けること、……にも読めるよな?」
「うん……。だね……。」
「この……『ヒィッツ』の単語の場所が、さ……。」
「あぁ、『ヒィッ゛ツ』ね……。あれ? 『ヒィッツ』? ドッチだっけ?」
「たぶんフィロウが最初に言った方で合ってる。オレ……発音、苦手なんだ。」
「ボクも苦手。今のはたまたま発音出来たみたいだよ?」

顔を見合わせて苦笑するオレとフィロウ。
お互いに笑いながら、分厚い条解本を遠くに押しやってグラスに手を伸ばした。

「あれを読み込むのは時間が掛かりそうだねぇ?」
「ホント、そうだな。」

あ~、オレンジティーが美味しいなぁ。
カラン、カランって氷の音が涼し気だなぁ。


「お兄さんなら、きっとボクより堪能だと思うんだけど……。」
「エステードさんかぁ……。」

確か昨夜は深夜当番だったハズ。
頼りたいのは山々だし、もう勤務は終わってるだろうけど。
何時頃に訪ねてったら良いか分かんないぞ。夜勤明けで、いつ行っても寝てそうな気がする。

「うん、ボクがやる気を出した。って感じで、教えてくれそうだよ?」
「その前に、何処まで読んだか聞かれないか? 教えてくれる前に説教されなきゃいいけどな?」
「有り得る……。」

固まるフィロウ。
テーブルにコップを置いて、条解本を手元に戻そうとして。オレは気付いた。



「そうだ、ビリー!」

フィロウはハテナマークを浮かべた表情で首を傾げてるけど。


この町にビリーがいるじゃないか! 住んでる場所も分かってる!
速さも強さも持久力もオレを上回ってるビリーは、知識的な方面も勝ってて。つまり、旧帝国語の習得もオレより上っ!
ビリーはたぶんだけど、働いてないだろうから家にいるハズ!


「……ビリー、って…こないだ、店で会った人……だよね?」
「あぁ、覚えてたんだ。そう、その人。養育所で、旧帝国語がオレより堪能だったんだ。ビリーにちょっと助けて貰おう。」
「え゛っ゛?」
「今から呼んで来ていいか? 本を持ち出すのは良くないだろ? だからビリーに来て貰おうと思うんだけど。」
「……あ、うん。」

凄くビックリした感じのフィロウだったけど、頷いてくれたのを確認してオレは立ち上がる。
電話は無いから、呼びに行かなきゃならないんだ。
フィロウも一瞬遅れて立ち上がった。

「何処まで迎えに行くか知らないけど、徒歩より馬車の方が早いよ。一緒に行こ?」

親切に言ってくれるフィロウ。
王子様スマイルが何故か物凄く迫力を感じた。
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